あらすじ
トランプ大統領によって世界の盟主の役割を変えようとするアメリカ、経済覇権をめぐってアメリカとの摩擦が激化する習体制の中国、人口規模で中国を凌駕するインド、大国の狭間で漂う日本--。2050年に向けて新しい世界秩序がどのようになるのかは、多くのビジネスパーソンにとって重大な論点です。60年の超長期の景気循環であるコンドラチェフ・サイクルに基づく長期サイクル論をもってすれば、覇権国家の興亡も併せて長期の世界像を読み解くことが可能です。
本書は、2050年の世界経済・覇権国を読み解く政治経済予測の書。軍事力・科学技術、人口、国際収支、交易条件の動向も併せて次の覇権国、経済秩序を予測します。
長期サイクル論は、圧倒的国力を持ったひとつの国(世界大国)が国際公共財を供給して、世界秩序を維持し、世界大国の力が衰えると、世界秩序は不安定になり、覇権継承戦争が起こり、その中から次の世界大国が出現するというもの。世界経済の超長波を上昇30年、下降30年の計60年が1周期であるコンドラチェフの超長波ととらえ、それが世界政治システムの長期サイクルと連結しているとします。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
ここ数年、インデックス投資に於いても投資対象はS&P500やNASDAQだけで良い!って論調があります。その理由として、米国には下記観点の優位性があるからだそうです
・経済大国
・軍事力
・技術が集まる
・人口増加
本書は技術革新などによって経済サイクルが50年周期に訪れるといわれるコンドラチェフサイクルを、経済・軍事・技術・人口さまざまなマクロデータを基に、2050年の経済覇権はどのようになるのか?を考察する本です。
本書の結論から言うと、2050年まで米国一強であり続けることは『無い』ですね。
本書は「予測」というより、コンドラチェフサイクルとマクロデータからの考察なので、あくまでもサイクルに沿った考えが主体であるということ。
そして未来がどのような姿になるのかは、少し濁した印象です。ここは期待を裏切られたとこで、残念です。
読んでて2,3疑問に感じたのは、著者の考察に
・資本主義システムを、何かを前提条件で固定して、考えを展開してる
・現代のネットワーク技術による、情報網の水平展開と共有の凄さ
・日本に対する利用可能ヒューリスティック
ここらが、強いバイアスかかってる印象でした。
しかしそこを割り引いたとしても、本書前半部分はマクロデータと、他の書籍との関連性含め、そこらに転がってるインチキ経済学者やコンサルが書いた本からは、一線を超えてますね。これから米国が中国とやり合うにあたっては、これまで以上に米国+日本の関係性が、GDPの観点で重要だと。特に、制海権を維持することが、覇権国である重要性を、過去のデータからも説かれてました。
私の知識が足りなくて理解しきれない部分が多々ありましたが、確実に言えることがあります。
50~100年周期の経済・覇権サイクルは、これからも起こり続けるってことです。