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Posted by ブクログ
葉村晶と小林警部補の共演。トラブルまみれの晶とすべてに飄々と対する小林警部補は、どっちももやっとするのに面白くてやめられない。 晶、若かったなー。職を転々とし、事件に遭遇して、うっかり解決してまた居場所を変える。羨ましい。責任転嫁も、おかしな姉も、どうしてそんなに、って思うほどに不運、のようで本人は達観しているのか諦めているのか、やっぱり飄々と生きてる。小林警部補はコロンボのように、いつの間にか真相の目の前にいる。ちゃんと進んでるのだろうけど。ふたりがタッグを組んで解決する超長編が読んでみたい。
Posted by ブクログ
職を転々とする中で何故か事件を引き寄せる葉村晶と、娘の自転車が主な移動手段という一見ほがらかな風体の中に鋭さを隠し持つ小林警部補の連作短編集。
『ぼくのミステリな日常』を読んで宮部みゆき氏に似てるかなと思ったけれど、続けて読むとやはり違うかなという印象。
でも、くせのない真っ直ぐな文体は読み易くて、読むのが遅い自分でもさくさく読める。
序盤はそれぞれ独立した主人公達の物語だが、最終章で待ってましたとばかりに交錯する。
なんと言っても葉村パートが面白過ぎる。
20年以上前の作品にして、女性主人公で面の皮が厚過ぎる言動、怪しい状況・ありきたりの展開に対する冷めた皮肉交じりの一刀両断っぷり。
それでいて姉達との歪んだ確執を抱え込んでいたり、ふとした瞬間に見せる繊細さのギャップ。
事件の究明やフーダニット、ホワイダニットもさることながら、やはりこの人物の生き様を読むのが楽しい。
正直、小林パートなんて、なんかぼんやりしていて要らないんじゃあとも思ったけれど、最終的には緩急という意味でも、最後のまとめという意味でもあるべくしてあるものなのかなとも思った。
続編もこの2人で展開していくのだろうか。
Posted by ブクログ
あえて、辛いと言おう。
宮部みゆきは心が揺さぶられ過ぎて、辛いことがある。
それは、人の心や人の世の
暖かさと冷たさを行ったり来たりするから。
それに比べると、
「冷たさ」ばかりを感じるこの作品集は、
その変わらぬシニカルさが心地よい。
「海の底」は短いながらも伏線の回収も鮮やかだし、
ホテルのエグゼクティヴデスクの女性のキャラクターも
思い込みが強い編集者の設定も見事。
「トラブル・メイカー」はそのシニカルさが少し崩れて
甘さが顔を出したのが、印象的だった。
面白かった。
Posted by ブクログ
葉村晶と小林警部補の話が交互に繰り広げられる短編集。
葉村がまだ少し若い頃でなんだか感慨深かった。
ドラマで見た姉の話はこれかあとようやく見つけた感じ。
相変わらず葉村のところには理不尽な人々が現れる。
対して小林警部補の話は、先に犯罪というか事件の当事者から始まる。サスペンスドラマのよう。
全体的にダークというかシニカルというか、そんな雰囲気を醸し出してるような感じだけど、文章がテンポ良く読みやすかった。
Posted by ブクログ
メモしたくなるセリフも多く、人生の酢いも甘いも噛み分けた、物語の潔い幕引きがいつもカッコいい。そして苦いコーヒーのような余韻を連れてくる。
小林警部補は読後も未だ掴みどころがなく、私にとっては謎の人物のままだ。葉村晶に対しては、クールな彼女の苦労してきた部分をそっと見守るような気持ちだ。