【感想・ネタバレ】落下世界 下のレビュー

あらすじ

フォーラーは、〈最初の日〉にみずからが持っていた写真の女性と瓜二つのストームや、“村”で出会った男スネークバイトを旅の仲間にする。だが、ストームやオーキッド、フォーラー自身とそっくりの人びととも出会い、世界の謎はますます深まってゆく。一方、ピーターの世界では、戦争と生物兵器による死病が蔓延していた。それらすべてを解決しうるピーターの量子クローニング技術はしかし、取り返しのつかない事態を招く……。世界はなぜ、これほど奇妙に変貌してしまったのか? フォーラーたちはすべての答を求め、虚空の島々を降りてゆく!/解説=堺三保

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Posted by ブクログ

ネタバレ

フォーラーがその名の通りどんどん落下していく世界も、いよいよ終着点にたどり着く。
カスリーンだらけの島はかなりの狂気で、すごいホラーを感じたんだけど。こんな島1秒たりともいたくない。

どんどん複製を作る神経は全く理解できないし、アメリカファーストのような主人公たちの気質も第三次世界大戦勃発という世界では当然なんだろうけど、やっぱり行き過ぎた狂気を感じる。
ウーゴもピーターも利己的過ぎて、好きになれない。

ストームとメリッサやピーターとフォーラーなど、同じ顔が入り乱れると、誰だかよくわからなくなる時が多々あった。スネークバイトの子供達は、ラスト見つかってるって理解でいいのかな?デイジーと仲良く暮らせるといいんだけど。

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2025年03月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

物語が現在と過去の両輪で軽快に進むのでスラスラと読み進むことが出来た。
物語終盤まではスリリングな展開で不満はないがエピローグの部分はハッピーエンドながらちょっとご都合主義・・というよりも帳尻あわせが面倒になったのか?という感じがした。

最後の場面でペニーが元気そうにしているのだが、フォーラー達と同じ島にいたのではないのか(なぜ記憶を保持しているのか、記憶を失っていたところを回収されただけなのか)や無数にある浮島からフォーラーが最初にいた島を速やかに見つけられたのか(燃料は多くないだろうからしらみつぶしにはできないハズ)はちょっと釈然としない感じもする。

主人公らの複製が多数いることや、すべての人の記憶が無くなっていることもトリックとして良かったと思ったが、地面が無数の浮島となったことに関しては種明かしでガッカリした。
上巻の終盤にシンギュラリティが現れる場面はSF的に良かったので期待していたのだが、下巻での暴走や浮島に関する部分はファンタジー(SFではなく)として読んでも腑に落ちない点が多く、著者が扱い切れていない感じがした。

世界があの有様になった詳しい描写は描かれなかったし、世界の上下方向の広さについては著者の感覚がおかしい。浮遊する島のオチが無かったことで、このことが違和感として強く残ってしまった。
自由落下は永遠に落ちることができる場合でも落下速度と空気抵抗が釣り合い一定の速度に落ち着くが、それでも時速200km前後の速度は出る。島から飛び降りるたびに書かれる"何日も落ちている"がフォーラーらの錯覚だったとしても、1時間も落ちると大気圏を余裕で抜けていくほどの高さを落ちたことになる。物語最終盤で垂直離着陸機で移動している描写があるが、落下に関する物理が元のままなら鉛直方向への移動はかなりきついはずだ。島は1Gだが、島から離れると重力が極端に弱くなる(けれど落ちているので気付かない)+ 空気抵抗を上げる服装というような設定でもないとつじつまが合わない。
物語中で最上部にあたる最初の世界でも空気が薄い描写も紫外線が強い描写もないので、世界が縦長になり三次元的にも閉じているドーナツのような世界なのかと思っていたが、地面は存在しているようなので、地殻(というよりごく表層の土壌)だけが浮いているとなるならその下の地面はどうなっているのかや、地球や太陽系の姿はどうなっているのかという疑問も生じた。
「シンギュラリティは新しい世界をつくることもできる(だから何でもあり)」だけでは物足りないので、そのあたりの違和感を気持ちよく丸めてくれると良かったなぁと思った。

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2024年06月11日

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