あらすじ
☆強い既得権、しがらみが存在する産業領域をどのように変えていけばよいのか。農協改革をはじめ、行政官として、数々の改革に携わった前農水事務次官の著者が、自らの体験を語る。
☆経済・社会環境の大きな変化など、改革が必要な状況にあって、どのように政策が立案され、利害関係者や政治との折衝など、具体的なルール、制度となっていくプロセスも詳細に語られる。また、さまざまな改革や政策策定における行政の役割も併せて明解に解説する。
☆農政は、まさに国民の暮らしに直結する分野。これまでの改革、さらに今後の日本の農林水産業のあり方についても明示する本書は、農業、行政関係者、研究者のみならず、広く読まれるべき一冊である。
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Posted by ブクログ
日本農業がどのような変遷を辿り、今日に至るのか興味を持ったので読んだ。
補助金頼みの業界であるので経営意識が低く、他国と比較しても競争力が低いことは何となく理解していた。
本書ではその背景には、戦後の国が生産量を管理する方式が供給過多になったにも関わらず、農協の集荷するのが仕事であるという思考から仕組みを中々変えることが出来なかったことが根本にあることを理解した。また、農協自体もバブル期に金融機関の斡旋から金融に注力し、本来の農業者の共同組織ということが薄れていたことも一因としてあった。
著者が仕組みづくりをしたことは大きな功績であるが、それを実現していくのは農業者であり、民間組織である。これまで国の保護を大いに受けてきたからこそ業界として未熟であり、ある意味伸び代の大きな業界であると感じた。
Posted by ブクログ
行政官としての心構えが勉強になる。
実際、完璧に誰からも嫌われずにやるのは無理だから、ある程度達観することが必要。
「自分の意見を常に持つように心がける」
「自分の専門領域内外を常に学習」
「政策の立案・遂行に必要なのは、想像力と創造力」
「政策課題に正面から対応した解決策を考えることが重要」
「政策には、方向性とスピード感の二つの要素がある」
「新しいことを始めるには、従来の無駄な仕事をやめていくことも必要」
「やるべき項目を整理し、定期的に点検する」
「部下には、管理職が自分の考え方を明確に説明することが必要」
行政は、政治のシンクタンクのプロフェッショナル。遂行だけではない。
それから、農協改革について、理念や背景がわかりやすかった。
「知将秋山真之」ある参謀の生涯