あらすじ
1953年、初の民間テレビ放送局・日本テレビ放送網が開局してテレビCMの時代が始まった。しかし、その草創期の姿はナゾに包まれ、これまでほとんど実態が分かっていなかった。本書は、そんな知られざる草創期のテレビCMについて、数々の発掘資料を駆使してその実態に迫っていく。ほとんど誰も覚えていないであろう無名の発掘物たちから、どんな歴史が見えてくるのか? 豊富な画像と分かりやすい解説で解き明かす。
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Posted by ブクログ
「広告は時代を映す鏡」という文言は、記録される文字情報以外に現代史的記述を求めて新聞広告を繙くといった形でも実践されていたように思うが
サブカル的な興趣に富みながらも、伝聞の伝聞といったような遠いステロタイプに凝り固まった昭和像の異なる一面を覗くことができる。
言われてみれば確かにだが、「トリスを飲んで」の広告の先進性は時代背景にもあったのだと知見を得られた。
Posted by ブクログ
歴史的に貴重なCM映像資料が紹介された本。「こんなのあったのか?」という見たことがないもの、我々の固定概念を柔らかくしてくれるような話がいっぱいです。
一方でビデオやインターネット以前のアーカイブされていない映像というのがこうやって守られているという事実も凄い!書籍ゆえに権利関係者への配慮もされていたり、自分ももっと調べてみたいとも思いました。
Posted by ブクログ
番組を録画しているハードディスクレコーダーではCFが来るとスキップしてしまうし、YouTubeのプリロールの動画もスキップしてしまうし、最近はすっかり邪魔者扱いのコマーシャルフィルム。先日、若い人から自分の大切な時間を見たくないコンテンツに奪われるくらいだったらポイントぐらいつけるべき!という意見を聞いて、こりゃ広告業界の人たち、大変だわ…と思いました。でも、本書に取り上げられているのは見たくないコンテンツじゃなくて見たいコンテンツだった時代のテレビCMアーカイブスです。その見たい、はタレントやストーリーや成熟したCF技法の結果としての面白がりかたではなくて、取り上げられている製品や生活そのものに対する欲望によるもの。そういう意味で、今だに記憶の隅に引っかかっている名作ではなく、忘れ去られていく無名テレビCMに目をつけた切り口が鋭いと思いました。今までのテレビCMアーカイブスは賞を受賞したものや有名クリエイターの手になるものとか作品としての価値を記録することに目的をおいていましたが、この無名作品群は、時代の空気のタイムカプセルなのでした。それだけに、権利関係クリアしてぜひ動画として鑑賞し、昭和30年代の空気吸ってみたくなりました。作者は「ノスタルジー解体」を書いた大学研究者。もっとも近い歴史ほど、フィルターかかって記憶の捏造が起こるという、主張を展開していましたが、本書はそれをテレビCMで軽く実証していて、一貫したものを感じました。
Posted by ブクログ
<目次>
はじめに
第1章 最古のCMたち~アニメ編
第2章 最古のCMたち~実写編
第3章 今はなきCMたち
第4章 ちょっと気になるCMたち
第5章 伸びゆくニッポン産業~高度成長とCM
第6章 便利な生活
第7章 楽しい子どもたち~おもちゃ、お菓子、おまけのCM
第8章 外国と外国人
第9章 こんな映像もありました~お宝アラカルト
おわりに
<内容>
現在立命館大学アート・リサーチセンターが所蔵するアーカイブ「20世紀のテレビCMデータベース」の豊富なデータから抜粋した本(もちろん、本なので動画はない)。CMは昔から興味があり、協会で賞を取ったCMのDVDを買ったほどだ。授業でもちょっとだけ生かしている(もっと生かしたいが、なかなかうまい手を思いつかない)。有名なCMの話はないが、この本はそういうヒントも隠されている気がする。