あらすじ
「いま、専門知識を持たない人間はどのようにテクノロジーと付き合うべきか?」という疑問に応える1冊。興味深い事例とともに、「テクノロジー×産業・民主主義・国家」への著者の思索と、その方法論のエッセンスが綴られる。読者は知的興奮を覚えながら、「技術という要素を入れた思考法」を養うことができるはずだ。
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Posted by ブクログ
「テクノロジー思考」とは、テクノロジーが支配的な立場として世界に強い影響力を与えている事実に焦点を当てた思考アプローチのこと。この本は筆者が普段実践しているテクノロジー思考を持って世界を眺めるプロセスをまとめたもの。
テクノロジーが世界に与えてきた影響、米国・欧州でのデータ資本主義に対する議論、インド・中国のテクノロジー革命とスタートアップ育成の動向がきれいにまとまっている。
・「イノベーションか、死か」、「テクノロジーか、死か」そういう時代を今、我々は否応なしに生きている
・イノベーション至上主義と過剰流動性によってスタートアップブーム、ユニコーンブームが生じた
・地方の都市化よりも早く、テクノロジーが地方に行き渡る。世界のテクノロジーリーダー達は、地方が都市化されるよりも前に、自ら地方に出向いて行ってその経済圏を獲得する競争(テクノロジーの地方革命)をしている。
・世界の優良企業はテック/ノンテックに関わらず、軒並みインドでR&Dとイノベーション探求に着手している。
・世界がグローバリズムとテクノロジーの二輪駆動で成り立つ現代社会において、マネジメントで最適化された人種はインド人。これは、インド移民の人的ネットワークとインドのテクノロジー教育によるもの。
・地理的意味において、米中印はその他の国とは別格。大国かつプライメイトシティを持たない国家というのは地球上でこの三大国の他にない。
・目的を持たないものを人はテクノロジーとは呼ばない。目的という抽象と、法則性と再現性を獲得した物質や物理現象という具体の融合こそがテクノロジー。
Posted by ブクログ
テクノロジーの視点で世界の変化を考察した本
DXとは何か?なぜリアルやローカルに向かうのか?よく分かった。
加えて、中国やインドの成長の理由と今後のチャレンジも。
Written about transformation of the world from technology view.
I deeply understood what DX means and the reason why tech companies are targeting the real operation, local market.
In addtion, the reason why China and India acheived exponential growth and their next challenge too.
Posted by ブクログ
テクノロジーという切り口で、産業、政治、国際関係等の様々な分析を行っており、部分部分では理解もしくは感じていたことを一気通貫で纏めてあった読んでいて非常にすっきりした。すっきりすると同時に、自らも一つのストーリーをもって世界を理解し、行動することの重要性を再確認した。
・ソーシャルインパクトファンドとベンチャーキャピタルの交差点(P74)
・米国移民からインド人移民一世への歴史的パワーシフト(P139)
・フリップカートエフェクト(P157)
・「投資の目的地」から「世界の投資家」へ(P170)
・テクノロジー標準化戦争と国家安全保障(P200)
複数個所に、「そのような考えは非テクノロジー思考だ」との記述があったが、言い方にあまりいい気分がしなかった。
Posted by ブクログ
素晴らしい良書。知識量、論理、現場感、どのアングルから見てもわかりやすい。
前半で言及されているアーバナイゼーション話
後半のインド、中国、米中の関係の話
物凄く重要かつ自分でも考察が必要
人にはあまり本は薦めないが、この本は確実に読む価値がある
Posted by ブクログ
圧倒的知識量
僕もテック系で働いているが知らなかったことだらけ
起業する前に読むべき本。
テクノロジー分野は寡占、飽和状態。オフラインが主戦場になるつつある。新たなイノベーションを生み出すのは参入障壁も増えさらに困難に
Posted by ブクログ
1.持っている課題と、この本を読んだ理由--------------------------------
【課題】テクノロジーに関する仕事をしている中で、歴史や未来への思考について整理が必要
2.得た知識・気づき----------------------------------------------------
★・DXの定義、組み合わせの概念
★・3つのネクストフロンティア:①DX、②地方革命、③ソーシャルインパクト革命
★・失敗のコストが極小化しており、それを回避することによって生じる機会損失の方が相対的に大きくなった。
3.ひらめき・アクション------------------------------------------------
・失敗の回避に対しての機会損失を念頭に行動する
4.新たに持った疑問----------------------------------------------------
なし
5. 以下メモ------------------------------------------------------------
▼序:テクノロジー思考とは
・【テクノロジー思考】:近年において世界のあらゆる事象、組織、そして人間にテクノロジーが深く関与し、また支配的な存在として強い影響を与えている事実に焦点をあてた、新しい思考アプローチ
・本書においてテクノロジーの在り方を正しく理解するとはすなわち、テクノロジーの歴史やそこから演繹される未来、あるいはテクノロジーの人間社会に対する可能性や適用手法、インパクトを正しく理解することである。
▼1.テクノロジー産業の現在
・テクノロジーとは進化の道具。それを使いこなす者は進化し、そうでない者の時計は止まっている
★・増え続ける莫大な投資資金はどこに向かっているか。A.「インターネットの外」。医療、交通、物流、教育、製造業等々、リアルでフィジカルな世界をテクノロジーによって再定義する競争が既に始まっている、一般にDXと言われるものと同義と考えて差し支えない。
・「インターネットの外」の産業はデジタル完結するインターネット産業と違い、タフでシリアスで、時間がかかるビジネスである。タックル戦とする産業の構造、実情を深く理解してなければならない。インターネットは最終消費者のみ向き合っていればよかったが、複数のステークホルダーと真摯に向き合わねばならず、適切なコミュニケーションコントロールを行う必要がある。ステークホルダーには行政や地方自治体など一筋縄ではいかない相手も含まれ超制能力も必要である。
★・【DX】:既存産業のテクノロジーによる革新、置き換え、再定義のこと。これを論じるにあたり極めて重要な概念がある。それは「組み合わせ」である。産業の確認とは常に、2つのものの組み合わせによって起きる。①にある技術と別の技術の組み合わせであり、②に技術と市場の組み合わせである。市場という言葉は、ニーズ、問題という言葉に置き換えてもよい。
・社会に解決すべき問題や、産業や社会に何らかの負の構造、あるいは圧倒的にセクシーなウォンツがなければそれに対するソリューションはそもそも不要であるし、また一方で、それが求められていても高度に実現可能な技術が実用レベルで確立されていなければ無意味なのである、
・DX活況の背景は、①各分野のテクノロジーが実用に耐えうるレベルの進展を見せているということと、②社会の構造変化に伴いあらゆる産業やインフラにガタがきつつあるがゆえの「メジャーアップデート要請」この大きな2つの理由に他ならない。
▼2.イノベーション至上主義と、スタートアップ全盛時代
・そもそも人類の歴史は常に技術と共にある。技術史=人間史。テクノロジー革命によって人類は自らの生存の確立と期間を飛躍的にこうじょうさせ、また富の生産性を指数関数的に向上させてきた。
・このように強烈なテクノロジーが、“ コンピューティング”であり、加えてその力をエンハンス(拡張)する翼であるところの“ 情報通信技術(インターネット)”。さらにインターネットの外でのDX
・このような世界においては、「社会の変化のスピードとインパクトよりも自らの革新が速く、大きければ価値、逆に遅く小さければ負け」、これがルールとなる。このルールがイノベーション至上主義という現代社会のドグマを生んだのである。
★・イノベーションに取り組む者は失敗を量産すべきである、という命題。失敗のコストが極小化しており、それを回避することによって生じる機会損失の方が相対的に大きくなった。失敗を取り込みながら成功する、成功するまで失敗のマネージを続ける。これがイノベーターの新しい常道である
・将来収益の成長性に基づいた投資スタイルを“ グロース投資”、現在の価値に着目したそれを“ バリュー投資”という
▼3.次なるフロンティアはどこにあるのか
・インターネットの外に広がってる以外にもう一つのフロンティアが“ 地方”
・地方革命を論じるにあたり重要な概念、世界人口の都市化(地方⇒都市への大移動)、アーバナイゼーション
・これによって何が起きるのか、地方が都市化していくよりも早くテクノロジーが地方にいきわたる。今や世界のテクノロジーリーダーたちはこの競争に躍起になり始めた。40年かかって起きる都市化の前に、自ら地方に出向いて行ってその経済圏を獲得する競争、それがテクノロジーの地方革命である。
★・3つのネクストフロンティア:①DX、②地方革命、③ソーシャルインパクト革命、この3つはよく似ている。(別の顔をした同じ取り組み)
・地方は相対的に年寄り貧しい、ゆえに地方に対するエンパワーメント(手助け)はそれ自体がソーシャルすなわち社会貢献的な意味合いを帯びる
・例;アグリテックは①農業のDXであり、②地方をエンパワーメントする革命であり、③相対的貧困層に対する社会貢献を実現
▼4.データ資本主義社会
・個人データとはだれのものかという問いを尽きつめると、誰のものでもないというのが正しい答えになる。しいて言うならば個人データとは社会のものである。
・データを管理することによってたっせいされるべき目的
(1)プライバシーの保護 (イデオロギー論争(正解はない):尊重される人権vs利便性の享受)
(2)データの独占による不当に偏った富の独占の排除
(3)データの独占による不当に強大になった、あるいはなり得る社会的影響力の排除
▼5.欧州という現代のデータ十字軍 VS データ中央集権企業群
・【GDPR】:欧州で活動する企業に対して、データ主体すなわちデータを集められる個人の同意を得たうえで、データの収集や処理を進めることを厳密に義務付けた法律。違反した場合の罰金は最大で全世界の売上高4%。
▼6.インド - 復権するテクノロジー大国 -
・数学は文明の基礎であり、テクノロジーの基礎である。インドは理工系の高等教育に力をいれており3000項以上あり毎年150万人以上卒業。これは日本の全大卒者の3倍である、そして日本の場合その圧倒的過半が文系である。
・インドをい未だにオフショア拠点、BPOのターゲット国として見ているならば、それは非テクノロジー思考による事実誤認。インドはイノベーションの産地、先端技術開発、上流工程の地である。
▼7.米中テクノロジー冷戦とは結局のところ何か
・冷戦とは、文字通り火力すなわち武力によらない国家間の衝突ないしは利害対立の事
★・テクノロジー冷戦の最大のイシューはフィジカルなそれではなく、バーチャル上で起きている。サイバーセキュリティである。データとネットワークにまつわる国家人民の安全保障が驚かされている。
★・いまネットワークの中では「第一次世界サイバー対戦」という状況にある。毎秒無数のクラッキング、DoS攻撃のトランザクションが世界中で飛び交っている。そこで先制攻撃をするものはロシアや北朝鮮や中国のような国家や、米英などのいわゆるファイブアイズと呼ばれる国家諜報機関等であるが、そのような国家のみならず非政府組織、しなわちハッカー犯罪者集団や、テロリスト集団、ラジカルなナショナリスト集団らもまたそこに参戦している。それらがバトルロワイヤルで各国の政府機関や金融機関、電力・航空・鉄道網の機関システムをアタックしている
・【技術移転】:国際社会において先進国が新興国に対して対外直接投資を行うことにより、当該投資先国家に対してさまざまな技術・ノウハウが移転することをいう。その結果、当該国が経済発展することでひいては国際経済全体が潤うことを目指すものであった。それこそがODA(政府開発援助)
▼8.テクノロジー思考の実践に向けて
・我々が学ぶべきは、何らかのテクノロジーが現れたとき、その具体(素材や物理現象)と抽象(目的の有無及びその高度さ)に注目するということは、そのテクノロジーの発展段階や人間社会に対するインパクトを洞察するために決定的に重要ということである。
・テクノロジー思考では、社会問題・ニーズと、個々のテクノロジーのレベルにおける目的を分けて考える。前者を「大目的」、後者を「使用目的」と言ってもよい。
★・「ソリューションとは何か」という問いは、「それが解決している問題は何か」という問いと同義である。
Posted by ブクログ
## 感想
- テクノロジーそのものではなく、どのように世界や企業が動いているのかをテック面から考える、というアプローチの本。
- インドの話は印象的。数学に強い文化、ITならカーストを乗り越えられる、外に出ることに抵抗がない、みたいな色んな要素が今のインドを作っているという話。
## メモ
- テクノロジー思考=あらゆる事象にテクノロジーが関与している現代において、テクノロジーの影響度に焦点をおいた思考アプローチ。
- 2018年、スマホの出荷台数がゼロ成長に。インターネット産業は成長産業ではなくなった。次はインターネットの外がくる。
- 米国19年1月時点のスタートアップ時価総額はUber,Wework、Airbnb。どれも非インターネット。
- 外では、金融が真っ先に来たが、今はモビリティとヘルスケア。次いでバイオ・医療。
- 世界人口が地方から年経移動していることを都市化(アーバナイゼーション)という。
- 今は5割が都市にいる。7割にするまで40年かかる。しかしスマホは10年で40億人に行き渡る。つまり都市化をテクノロジーが抜く。
- GDPR、マルグレーテベスタエア。市場の独占、税金、個人データ保護、の3つを、GAFA等に突きつけているすごい人。
- インドめちゃめちゃ伸びてる。
- BPO先と思ってたらダメ。
Posted by ブクログ
テクノロジーで今の景況トレンドを捉えた一冊。難解な技術用語はないがIT系バスワードは満載なので、そのあたりの予備知識は必要。第6~7章の印中分析は非常に面白い。インド人CEOは多いが、IT極集中がさらに加速すると米国と伍する存在として中国とともにインドは並ぶかもしれない。そして今や核の代替としてITがポスト冷戦構造の武器として使われているのも興味深い。
冒頭は短絡的&断定的な見解が多く、それベースの三段論法が展開されるので無責任ブログにありがちな謂いっ放し感はやや強い。(例えばグーグルの数々のトライを長期視点を持たず「失敗例」として列挙したり)第3章の次のフロンティア分析(既にDX化した広告含め、医療、自動車)あたりから面白くなってくる。「テクノロジー思考」自体は本節とあまり関係ないのだが昨今のIT界隈のグローバルトレンドの変遷が分かる本である。
Posted by ブクログ
素晴らしい本だった!なにより基礎的な考え方から理論がまずあり、後半に向けてオンゴーイングな米中テック冷戦や、GDPRを巡る欧州 VS GAFAの今日的地政学のホットイシューに焦点がスライドしていく構成が気持ちよかった。
Posted by ブクログ
内容は再読するほどでもないものの、所々に「ああ、これこれ。」というようなワード、表現がありました。インターネットの中と外。なぜモビリティやヘルスケアがDXの激震地になるのか、など。主に前半に気になる記述がありました。
後半のインド中国考察などは参考程度。
Posted by ブクログ
テクノロジー思考そのものについて論じられているのは、最初と最後の数ページのみであった。むしろ、全体を通して著者の「テクノロジー論」、ファクトに対する分析が述べられていたのではないかと思う。
そういう観点で読むと、現在のテクノロジー産業を俯瞰して捉えることができたのが良かった。
Posted by ブクログ
スタートアップを含むテック業界を巡る現況、米中欧のパワーバランス、インドや中国などスタープレーヤーの環境について、と網羅的に幅広く記述されており、勉強になった。
スタートアップブームが生じている理由として、イノベーション至上主義(社会変化のスピード・インパクトよりも自らの変化が小さい場合は負けるというドグマ)と過剰流動性(金あまりにより機体収益が低いアセットクラスへ落ちてきたこと)が挙げられている。
リーマンショック後の10年間でスタートアップの企業評価額の中央値が5倍になっているという話は面白い。
一方で、本書は2019年8月に第1刷が出ているが、既に状況は変わり始めているように感じることが、この業界の展開の速さを如実に表しているように思う。
WeWorkに見られるようなスタートアップ企業への疑念、コロナウイルスを経て表面化してきたGDPRにおける個人情報の扱いに対する議論、など...。
ただし、本書は業界の地図を示しているだけではなく、こういった思考を持つことの必要性を説いている。
データに関する企業・国家の戦略、IoTプロダクツを利用した現実世界のIT化等、今後より一層重要性を増してくるのは間違いないので、引き続き勉強していきたい。
Posted by ブクログ
社会や国際関係、歴史をテクノロジーという切り口から覗く本。新刊のため、直近のテクノロジー動向も把握できる。なぜ欧州がデータ保守主義に走っているか、なぜインドや中国がテクノロジー大国と化したがよく分かった。テクノロジーを学んでいるからこそ活きる。
ただ、タイトルから想像してたフワッとした概念的な話ではなく、具体的な話であり、真面目に読むには辛かった。
Posted by ブクログ
基本的には資本が多ければ、研究費も多い。
都市に人が集まれば、市場は活発になり、資金の流動性も上がる。
インドと中国。
この二つの国は、今まさに資本が入り、都市に多くの人が流入している。
何も考えなくとも、普通に年月が流れれば、
成長しかない国だろうと感じた。
未来年表では2025年には東京の人口も減少していくという。
日本という国でも、地方というフロンティアに技術で橋がかけれれば、
もう一度世界と戦うことができると思った。
そしてもう一つの未来を考えてみる。
これまで地方から都市という移動だったかもしれない。
この事実を線形伸ばすだけで、
これからは国から国への移動がより活発になることが容易に想像できる。
さらに非線形で考えれば、
国の移動ではなく、
現実と仮想の空間を行き来するのも十分あるなと思った。
(以下抜粋)
○いまからたった60年前には、世界の人の7割が地方に住んでいた。
それが徐々に都市に流れて行き、2007年には都市人口と地方人口が均衡した。そして今後たかだが40年で、中国やインドやアフリカなども含めて全地球上の人の7割が都市に住む世界になる。(P.65)
○フェイスブックが解決している問題とは何か、それは端的に言うならば、豊かになった現代人類が世界共通にさいなまれる二大プロブレム、すなわち「暇」と「孤独」である。(P.228)