あらすじ
SNSは戦争や政治のあり方を根底から変えた。個人の「いいね!」「シェア」は瞬時に拡散され、それによる憎悪の連鎖は世界各地で紛争や虐殺を起こしている。軍事研究とSNS研究の第一線で活躍する著者が、誰もが戦争の当事者となり得るリアルな恐怖を突きつける衝撃作。
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Posted by ブクログ
エクササイズ関連アプリは、はからずも、犯人がまさに殺人を犯している現場や、中東にあるCIAの極秘秘密基地の位置(諜報員たちが基地の周囲をジョギングするのを日課にし、そのコースの熱分布から、ある施設の完璧に近い外郭が浮かびあがった)まで明らかにした。
Posted by ブクログ
ハイブリッド戦争は物理的な戦争、サイバー戦争に加え、ソーシャルメディア上の戦争も含まれる。SNSを使って世論の誘導、戦争の正当化、反対勢力の抑止などが行われる。インターネットの基本精神は自律・分散・協調と言われるが、本書はこの逆の状態である他律・集中・対立が生み出されていることを豊富な事例で明らかにしていく。フェイクニュースもこうした武器化するSNSという文脈で捉えないといけない厳しい状況にあることを改めて認識した。骨のある一冊。良い。
Posted by ブクログ
事実誤認や裏付けのない情報を基にしたフェイク・ニュースの方が多くの人の感情を揺るがしているというポスト・トゥルース時代の到来について人類の通信手段の発展から説き起こす。今や「平和な国」の読者には荒唐無稽としか思えない世界の有り様を豊富な実例をもって語り、ISIS、トランプ大統領、ロシア国などを糾弾するのではなく、ソーシャル・メディアのここ10年間の急激な「発展」から現在のネット界の惨状が必然的に生み出された、という冷徹な事実を述べている。
Posted by ブクログ
ソーシャルメディアが戦争の力学を変えたというが,それは日本にはまだ当てはまっていないような気がする。
日本では政治について語ることがタブー視される未熟で幼稚な環境が,逆に「いいね!戦争」を小規模で限定的なものにしているのだろうか?
それとも自分が知らないだけで「いいね!戦争」は他国同様繰り広げられているのだろうか?
平和ボケだろうか?
「いいね!戦争」の対処策として,プラットフォーマーに開発を吟味させるのは理想的だが事実上困難だろう。何事も事後対処より事前対処のほうが楽でお金もかからない。しかし,それでも人間、誘惑には勝てずお酒を飲んだり甘いものを食べ過ぎたりするものだ。
また、いちいちプラットフォーマーが開発を吟味しているようなスピード感では,そのプラットフォームは環境についていけなくなるだろう。「とりあえずやってみて、問題があれば対処する」精神の中国に出し抜かれるのがオチだ。
自分に決定権があるという結論も納得できない。むしろわれわれはプラットフォーマーに操作されているのだから。
Posted by ブクログ
あらためて、自分の住んでいる世界の変化、身近ではないところで起こっているたくさんの知るべき事実を知りたい人にオススメしたい。
タイトルの通り、これまでの世界にSNSが登場したことで、誰もが最新の情報に触れられるようになったこと、そして、そこには客観的事実よりも「個人の目」が決めた正義が溢れており、正しい・正しくないの基準が受取手次第となったことから始まる様々な争いに、SNSが使われるようになった事例が多く記載されている。
見聞きしたことで、記憶にあることが沢山書かれているだけだろうと思って手にし、分量に「しんどいかな」と思っていたが、思いのほか新たに気づかされる背景や、その詳しさに、非常に面白みを感じた。
Posted by ブクログ
インターネットの普及と各種SNSの登場がもたらした新たな“戦争”を、2人の著者が5年の歳月をかけて著した労作。とりあげられるSNSは主にツイッターとフェイスブックだが、これはトランプ大統領の誕生に大きな影響を及ぼした。就任後のやりたい放題(重要な政策を“つぶやく”、メディアをフェイクと決めつける)は言わずもがなである。それ以外にも様々なSNSが登場する。現大統領だけでなく、テロ組織が巧妙にSNSを利用していたこと、見破れないほど巧妙なフェイクニュースが登場している現状など、ネットユーザーは知っておく必要がある。