【感想・ネタバレ】世界が驚くニッポンのお坊さん 佐々井秀嶺、インドに笑うのレビュー

あらすじ

いまインドで激増中の仏教徒、その中心人物は日本からやってきた僧侶だった!
女性ライターによるインド仏教最高指導者・佐々井秀嶺上人の密着同行記。

大多数がヒンドゥー教徒のインドで、不可触民と呼ばれる人々を中心にカーストのない仏教に改宗する人々がいま爆発的に増えている。
不可触民とはインド人口12億人のうちの約2割を占める、一番下の階級シュードラにさえ入れないカースト外の人々、ダリット。
3000年間にわたり、「触れると穢れる」と差別されてきた人々が、次々に仏教に改宗し、半世紀前には数10万人しかいなかった仏教徒がいまでは1億5千万人を超えている。
その中心的役割を果たしてきたのが、佐々木秀嶺だ。

わずか十畳ほどの部屋で暮らし、擦り切れた衣をまとった自称「乞食坊主」。
子どもを見ると顔を綻ばせて喜ぶ心優しい小柄なお坊さんだが、核実験が起きれば首相官邸まで乗り込み、ヒンドゥー教徒に乗っ取られた仏教遺跡を奪還するため何ヶ月も座り込みを敢行。
弱い立場の人々のため、「これが武士道だ」と言ってみずからの命も惜しまず、モラルに反することには断固抗議。
日本からやってきた怪僧にインド人もビックリだ。

次から次へと押し寄せる色情因縁に悩み、3度の自殺未遂。
龍樹菩薩のお告げに従い、インドで一生仏教布教に専念すると決めてからは、ブッダガヤ闘争やマンセル遺跡の発掘など、インド中を巻き込む闘いを単身挑んできた。
三度の暗殺の危機に晒されても、敵対宗教の陰謀に巻き込まれてもなお、インドの貧しい人々のために身を捧げ続ける。

佐々井上人がインド仏教の最高指導者になるまでの半生をはさみながら、100万人がいっせいに仏教に改宗する「大改宗式」の様子や、不可触民とともに生活している上人のリアルな日常、そして陰謀と迷信うずまくディープなリアルインドを、爆笑必至のユーモア溢れる筆致で描く。

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Posted by ブクログ

佐々井みのるさんこと、佐々井秀嶺。
インド仏教1億5千万人の頂点、最高指導者は、日本人の僧侶であった。「ジャイ ビーム!」と口々に叫ぶ信者の真ん中で「私は小さな坊主です。命懸けで差別や貧困と闘っていく所存である!」と。
市井の人々の声に耳を傾け、時には悪魔祓い、インドの秘密警察と対決、陰謀渦巻くアーグラーや大荒れの記者会見に臨む。食事はお供物をいただき、儲けたお金は騙されながらも病院や学校を建てインドに貢献していく。
そんな元日本人、インド国籍を何とか有した佐々井さんに密着取材を重ねて一冊にまとめあげた。とても読みやすく面白く、混沌としたインドをありのまま表現された一冊。

とてもおすすめ!


アウトカースト不可触民
僧侶、王族や戦士、商人、最下位の奴隷と4層になるカーストにも入らない。きつい仕事しか選べず学もなく、触ると汚れると言われていた人々が全人口13億の2割もいる p.37

佐々井さんの生まれは岡山、菅生村すごう。真面目な両親の元、成績優秀、女性に興味ありすぎの子供時代を過ごす。
佐々井さんの祖父、土井家は近郊では有数の金持ち庄屋だが、女狂で家から追い出され父である秋夫さんは奴隷のような生活から一代で佐官業をなし母、澄子さんと結婚。p.48〜

卵重箱で高校入試を突破するも、酒に溺れ、大菩薩峠で自殺未遂。津軽海峡、大山に次いで3回目も失敗に終わり、拾われた?救われた真言宗の名刹、大善寺の井上和尚に弟子入り。

負の連鎖をプラスの連鎖に変えていく。それが本当の宗教家の力なのかもしれない。

ニッティコーティ、インドの世渡り術、敵にはあえて友達のようにして近づいて、本心とは逆のことを言う。

法名「秀嶺」高尾山薬王寺、山本秀順から賜る

無情とは、情けが無い、常なるものは無い の意味

3000年前から続くヒンドゥー教に関わるカーストは
僧侶=ブラーミン
王族、戦士=クシャトリヤ
商人=ヴァイシャ
奴隷=シュードラ 
の4階層、さらにその下、奴隷にも入れないダリット=不可触民は、最底辺のアウトカースト、インド全体の約2割 p. 121

アンベードカルは法務大臣に就任し、ガンジー亡き後不可触民制度廃止の憲法をほぼ1人で作り上げるが、差別は減らない。最後の手段として、仏教への改宗。1956年50万人の不可触民とともに、ビルマから高僧を呼んでナグプールで大改宗式を行う
国旗にも、仏教の法輪、ダルマ、を意味するアショーカ チャクラの図が入っている p.130

ブッダガヤで座り込み抗議、300人の僧が核反対行進をデリーで行うと、佐々井さんも座込み連中とデリーへ乗り込み首相に抗議行動をとる p.155〜

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2024年06月02日

Posted by ブクログ

佐々井さんに関する本を読むのは、「必生 闘う仏教」に次いで2冊目です

この人の波乱万丈な人生は本当に面白く、また今回は、著者の白石あづささんとの温かい交流も読んでて嬉しくなります。

発言でよく「日本男子たるもの」が出てきます。今こんな発言を日本の著名人がすれば「ジェンダー差別」と非難されるかもしれません

その活動も一部の人には気に入らないところが有るのかもしれません。

しかし、圧倒的なその存在と意志の強さは、論語の「匹夫(ひっぷ)も志を奪うべからざるなり」を思い起こさせます

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2020年11月02日

Posted by ブクログ

波乱万丈というか、壮絶というか。地元の出身者にこんな人がいたとは。

これを読んだすぐ後に、パウロ・コエーリョの「アルケミスト」を読んだ。インドへ向かう佐々井氏と、ピラミッドを目指す少年が重なる。

だけど、こっちはフィクションじゃないんだよな…。

これだけの人物に、まるで親戚のおじいちゃんであるかのように普通に接している著者も只者ではない。

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2020年09月06日

Posted by ブクログ

インド旅行帰国後に読んだ。
こんな日本人いたんだ... と驚愕。
まさに現実は小説より奇なりを地で行ってる人。
全体的に笑えるライトなエピソードになってるが、冷静にやってることが多くの"偉人"と比較しても桁違い。

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2020年05月06日

Posted by ブクログ

カーストの外側にいて”触るとけがれる”とされる不可触民を中心に、仏教に改宗する人々が増えているインド。今やその数、1億5千万人。そして、そのインド仏教最高指導者を勤めるのが日本人僧侶、佐々井秀嶺だ。
と言うと、非常にストイックな人格者の僧侶を連想するかもしれないが、然に非ず。佐々井上人、かなりぶっ飛んでいる。(仏教だけに「仏飛んでいる」か) 若かりし頃はかなりモテたらしく、色恋沙汰に巻き込まれて自殺未遂を3度。反省して仏教の道へ入り、インドでの仏教布教を心に誓うというあたりからして、ちょっと違う。
元々仏教遺跡であった所がヒンドゥー教徒に乗っ取られたと知ると座り込みを実行し、インド政府が核実験を行うと大勢の仏教徒を引き連れて首相官邸まで乗り込む。正義のスイッチが入るともう止まらない。宗教間の陰謀に巻き込まれても、暗殺の危機にさらされても、「これが武士道だ」と言い切って、弱者に救いの手を差し伸べる。パワフルで豪快でストレート。こんな日本人が海外で活躍していることを知ると、こちらも何だか元気が出る。あっぱれ、佐々井上人。

ところで、ガンジーは、実はカースト擁護の立場を取っていたため、インド国内では海外で言われるほどの支持を得ていないらしい。これは意外な事実。

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2020年03月08日

Posted by ブクログ

日本人のお坊さん、佐々井和尚がインド仏教の頂点に立ち、1億5千万人の信者をまとめている。
なぜ、そんな和尚になったのかを密着取材してその人間味を書き記している。凄い人の一言。

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2024年05月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 YouTubeの動画よりこの著書に出合う。
何と表現して良いのか戸惑うほどの人間臭さと豪快さが魅力である。

『 佐々井さんがインドで目指している仏教は今の形骸化した日本の仏教ではなく、生活のなかに溶け込んだ実践仏教なのだ。』

 わたしの知らないインド・世界だった。 
平和な日本では知り得ない、賄賂や陰謀などが渦巻く恐ろしい事態が次々に起こるが、著者のユーモアある温かい文章が、読みやすくしている。 とてもありがたい。 そして、感動をもたらす。
とてつもなくスケールの大きな人生(人)と、感動した。

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2023年10月03日

Posted by ブクログ

知人に面白かったとオススメしてもらい読んでみました。
お坊さんの本と聞いて、よくある怒らない穏やかな心になるには、みたいな本だと思ってました。
でも全然違った!!ものすごい波乱万丈な人生を送ってインドで仏教を広める活動をしている、エネルギッシュな猛烈おじいちゃんなお坊さんの本でした!
こんなすごいおじいちゃんがいるなんて全然知りませんでした。
秀嶺さんの奇天烈な人生と今の活動を綴っているんだけど、それが私の価値観を飛び越え過ぎて驚きの連続でした。
インドが好きで興味があり、少し知識をつけてきていると思ってたけど、本当の宗教事情をちゃんと分かっていなかったことも分かりました。
なぜ仏教発祥の地なのに、今はほとんど信仰されてないんだろう?と少し前から疑問に思ってた事情も描かれています。
改めてインドの広さと混沌さを垣間見たよう。
いろいろ考えさせられることもあるけど、かなりぶっ飛んでるので取り敢えず、うわー!!ってなりながら面白く読みました。

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2019年10月14日

Posted by ブクログ

すごいお坊さんの話だった。
こんな方がいらっしゃるとは全く知らなかった。
密着取材された著者にも興味が出てきた。

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2019年08月28日

Posted by ブクログ

佐々井秀嶺師の現地インドでの活動を追ったドキュメント。当然のことながら、その生い立ちからインドに行くに至った経緯もざっと触れられている。ただ、山際素男氏の著書『破天』を読んだ者としては、すこぶる物足らない。あの迫力が全然感じられないのだ。この本の中で、佐々井師が「これぞ儂の遺書だ」と述べたそうだが、少々甘いのではないか。佐々井師の現在のインドでの行動や、現地仏教徒の同師への傾倒ぶりが活写されているから、読み物としては面白い。それにしても、50万人足らずのインド仏教徒を1億5千万人余に増やし、なお増やし続けているとは、佐々井秀嶺師は桁外れの人物だ。読みやすいので、是非若い人に読んで欲しいと思う。

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2019年07月07日

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