【感想・ネタバレ】贖罪のヨーロッパ 中世修道院の祈りと書物のレビュー

あらすじ

中世の西ヨーロッパでは、禁欲の達成のために自らの欲望のありかを特定し、意識的に摘出する思想が生まれた。この贖罪の制度化は、社会に大きな影響を与えるとともに、修道院の生活を厳しく規定していく。絶え間ない祈りと労働のなかからは、さまざまな書体や華麗な写本も生み出された。本書は、6~12世紀までのアイルランドやフランスの社会を、修道院の制度、王侯との関係、経済、芸術等から読み解くものである。

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Posted by ブクログ

5世紀から12世紀,ベネディクト戒律〜カロリング・ルネサンス〜シトー派の誕生についての社会史を扱う。世界史では目立ちにくい領域を拾い上げてくれる。

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2022年05月28日

Posted by ブクログ

五世紀ころ聖ベネディクトが定めたベネディクト戒律は修道院における生活を厳しく律した。
罪を告白する習慣は六世紀アイルランドの聖コルンバヌスに由来する。フランク王国においてコルンバヌス修道世が広まった。貴族は魂の救済を求め教会に土地を寄進した。地上の喜捨が天国の宝になるというアウグスティヌスの論理に基づく。
弛緩していたガリア教会に比べ厳しい戒律を持っていた。シャルルマーニュの子ルイ敬虔帝は公開の贖罪儀式を行った。これは政治的紛争の解決の手段であった。
修道院は多くの土地を所有し農奴による生産が行われた。中世農奴制にとって修道院は重要な存在である。
分割後のフランク王国は、9世紀頃、ムスリム、バイキング、マジャール人らの侵略を受けた。修道院へ相当の打撃となった。
10世紀からクリュニー修道院が再興の篝火を掲げた。修道院の系列化が図られた。ローマ教皇権力が守護者となった。

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2022年07月08日

Posted by ブクログ

本書の題名を見たときには今現在のヨーロッパの混乱の原因をヨーロッパ自身の罪の意識に求める贖罪思想に関連する本だと勘違いしたのだが、その贖罪思想の源流を辿れる事が結果的に出来た。原罪から派生した贖罪意識は人類共通の感情だが、キリスト教で抽象化された事で人類全体に波及し再帰的に積み上げられた人工的な概念でもあるのでは無いか?

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2016年12月29日

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