【感想・ネタバレ】虹を待つ彼女のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

6月の合同サイン会のサイン本の一つ。
若き天才的ゲームクリエイターの女性が,自分の作ったゲームと現実をリンクさせる仕掛けをして,ゲームに自分を殺させるという特殊な自殺を諮った。
晴というその女性は伝説化し多くのファンを生んだ。AIの研究者である主人公・工藤はAIのキャラクターと人間とのように会話できるシステムの開発者の一人だが,その発展形として死者をAIとして蘇らせるプロジェクトに携わることになる。プロトタイプとして蘇らせる対象となったのが晴である。有名人でもあったが謎の多かった晴を蘇らせるためのデータ収集は難航するが,工藤は次第にのめり込んでいく。工藤が最終的にたどり着いたのは...。という話。
なかなか面白かったし,AIのこともよく勉強してるとは思った。が,お約束としてIT関係にダメ出しをしておく。ITがテーマなのだから普通の作品と違ってリアリティはさらに重要となるはずだ。しかしIT企業のことはあまり良く分かっていないのかもしれない。ITを生業としている企業にあって,社内会議の資料を紙で配布するなどということはもう10年以上前からしていないはずだ。ペーパーレス化という言葉が一般に使われだしてからも久しい。更に笑えるのは,SNSで見つけた情報を保存するために加味に印刷して(ここまでは100歩譲るとしても),印刷された紙をスキャンしてPCに取り込むところ。ITを馬鹿にしてるのか。印刷する際にプリンタに出力するのではなくPDFに出力するなんてことはもう何十年も前から普通に行われているのですよ。印刷してスキャンなんて不毛なこと誰もしない。他にも細かいことを言い出すときりがない。AIについても微妙に勘違いしているところがあるように思う。
本筋と関係ないので書いておくと,AIチャットに背中を押されて,離婚したり,自殺したりということが起きて,裁判沙汰になるなんてことは今後起こりうるのだろうか。AIにはアルゴリズムはあるが,学習の結果AIモデルがどういう出力を出すかは基本的にブラックボックスなところがあって,事前に予想することは難しい。それについて企業が責任を負えるのか,負うべきなのかは今後,倫理関係を含めて議論が起こるところだろう。

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2023年07月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ミステリ……の皮を被った本質は恋愛小説なのではないかと思います。

人工知能のモデル(故人)に惚れてしまった男と、亡くなったモデルの女性、そしてその恋人の関係を中心に描かれています。モデルの女性は亡くなっているので、最初から報われない恋なのですが。

主人公の男が本当に腹の立つやつで、斜に構えたプライド高くすかした男で最初は本当にイライラするんですが、恋をしてから少しずつ愛に狂っていき、人間味が出てきてよかったです。

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2022年06月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

SF色の強いミステリ。道具立てが多彩で死者を再現する人工知能開発の話を軸に、AI囲碁の対戦、主人公の人格の欠損など面白い部分が多い。
人工知能開発に必要な「晴」という自殺した女性の人格調査がメインとなってくる。この部分で調査を妨害する者の正体は意外に早くわかってしまう。早くわかりすぎて、ミスリードか?と訝しんでしまうくらい。この点はストレートだった。
晴の謎の行動については、ちょっと説明不足だと思う。
自殺の理由がいまいち分かり難い。
自分が同性愛であることを検証するなら、三か月男と付き合い、三か月女と付き合う対照実験実験が筋が通っているけど、それは物語の構成なので仕方ない。
ラストまでの流れは情緒的で、論理性の面でいまひとつすっきりしなかった。

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2021年02月25日

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