【感想・ネタバレ】藤原氏―権力中枢の一族のレビュー

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Posted by ブクログ

面白かった。一応(伝説上の)ご先祖も出てきたし。それはそうと、一部の文系寄りの本て、「根拠は私がそう感じた」みたいのが結構あって、論理を追えなくなるのですが、そういうことがない本は私にも読めるのかなあと思ったり思わなかったり。

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2018年02月18日

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藤原鎌足から藤原頼道まで詳細に記載し、中世以降も要所要所述べており、一冊読むと藤原氏の流れがよくわかります。読んでいて思うのは、藤原氏がどれだけ日本の歴史に影響及ぼしている一族だったかということ。絶頂期には外祖父、摂政として天皇をも凌ぐ影響力を持っていました。ただそれでも天皇の代わりにはなれませんでした。それを物語るのが藤原仲麻呂の乱(恵美押勝の乱)です。天皇に対し反乱を起こすも呆気なく負けます。その当時貴族としては圧倒的な権力を持っていた藤原仲麻呂が、天皇を前にするとどうしようもなく南家が衰退するまで後世に影響を与えた出来事は、その後の藤原氏に多大な影響を与え、天皇に逆らうのではなく外戚関係を築くことで天皇を取り込む方向へ進んでいきます。藤原氏と聞くとやはり平安時代を思い浮かべてしまいますが、中世以降も摂関家として貴族の中心ではあり続け、武士としても足利氏など輩出し歴史の主役であり続けた一族と言えるでしょう。近年ですと昭和初期の総理近衛文麿や平成の総理細川護熙も藤原氏にルーツがあります。また藤原氏族は果てしなく裾野を広げており『藤原氏族一覧』には3452の苗字が記載されてるそうです。私自身、苗字に『藤』が付くのでもしかしたら先祖を辿ると藤原氏に行きつかないかなと思いを馳せてしまいます。

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2024年01月10日

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副題は「権力中枢の一族」。
藤原家が日本の権力の中枢にいたことは疑いがない。
藤原家の始祖、鎌足と天智天皇の二人三脚から、鎌足の息子 不比等と持統天皇の二人三脚へ。
梅原猛と上山春平が注目するまで、不比等の存在はそれほど大きなものとは思われていなかった。
しかし、二人の業績により、現在、藤原家1300年の礎を築いたのが、素性もあまり明らかではない不比等であることが明らかとなった。
徳川幕府が260年だから、日本史上、天皇家に次ぐ長期繁栄を誇った一族だと言える。
そして、不比等が「日本書紀」と「大宝律令」の主導者だとすると、日本と言う国家の礎を築いたのも不比等だと言うことになる。
そして、日本書紀が天皇制のイデオロギーを確立したことを考えると、天皇制の礎を作ったのも不比等だっと言える。
(不比等は日本書紀を完成させた年に死んでいる)
恐るべき男だ。

不比等が持統天皇に認められたのは、持統天皇が皇位継承を望んだ「息子草壁皇子(皇位継承前に死んでしまう)—>孫 文武天皇」という皇位継承をやり通した事だ。
それを正当化させるイデオロギー確立の企てが「日本書紀」の編集だった。
その難しい皇位継承を、呪術的にサポートしたのが柿本人麻呂だった。
こうして、また読書は止まるところを知らず、白川静の「初期万葉論」の白眉、阿騎野冬猟歌の分析をまたしても読んでしまうことになる。

不比等の四人の息子たちが藤原四家を作るが、その内の北家から道長が出て、全盛を迎える。
藤原氏の絶頂はこの時だが、藤原氏はその後も連綿として権力の中枢に居続けていたことが本書によって分かる。
藤原氏は摂関家として朝廷権力の中枢で政治を担い続けたのだ。
その権力維持の戦略は、ハプスプルク家と同じ「DNA戦略」だ。
天皇家に、一族の女性を送り込み、藤原氏の「DNA」を持った皇子を設けさせ、それを天皇にする。一番力を持つのは、天皇ではなく、天皇の母、でもなく、天皇を産んだ藤原家の娘の父親(外戚)だ。
「ジージ戦略」と言っても良い。
道長の娘彰子は一条天皇に嫁いだときまだ幼かった。
一条天皇にはその時、年上の姉さん女房(中宮)がいた。
道長の兄である道隆の娘 定子だ。
定子のサロンには、才女 清少納言がいて、華やかな雰囲気を作り出していた。
一条天皇の足が、定子のサロンに向かうことはやむを得ない。
道長は、その対抗策として、宮廷の大ベストセラーを執筆中の紫式部をリクルートして、彰子のサロンのセンターに据える。
一条天皇は絶賛連載中の「源氏物語」の話が聞きたくて、彰子のサロンを訪れるようになる。
こうして、次の天皇、後一条天皇が、更にその次の天皇、後朱雀天皇が生まれる。
そのそれぞれに、道長は自分の娘たちを入内させる。
何と用意周到。
しかし、DNA戦略を実行に移すためには、多くの美貌な娘を持つ必要があった。
その点は、光源氏も苦労したが、光のモデルとも言われた道長は軽々とその必要条件をを満たしてみせる。
「DNA戦略」と言ったが、「源氏物語」を読むと、生物学的なDNAには、こだわっていないことが分かる。その意味では、「幻想のDNA戦略」と言うべきかもしれない。

藤原氏の作り上げた幻想の「DNA戦略」を、レヴィ•ストロースの婚姻理論を使って、構造学的に分析したのが社会学者の上野千鶴子だ。
「日本王権論」と言う対談で上野が述べた「不婚の皇女」論は、日本史では理解できなかった斎宮存在の謎をみごとに解き明かして驚かしてくれる。
こうして、読書は次々と増植して行く。

その後、時代は武家の時代に移行する。
小室直樹モデルによると、天皇が無謬な神として君臨した「予定説」の時代が終焉し、正しい政治を行う者が日本を統治すべきだとする「因果律」の時代に入ったと言うことだ。
この時代の大転換にも、藤原氏は生き残り、天皇家の政治の中枢を担い続ける。
あまり、藤原の名を聞かなくなるのは、姓の藤原を名乗らなくなり、近衛、一条、九条、鷹司、二条(5摂家)を名乗るようになるからだ。
これらは皆、藤原氏だ。
そして、江戸時代も生き残るのだ。
明治維新で、藤原氏は家族となる。
首相を務めた近衛文麿は五摂家筆頭の近衛家出身だが、元は藤原氏なのだ。

著者とは大学の教養時代同じクラスだった。
「愛読書は?」と問われて「群書類従」と答えて、クラスメートを唖然とさせていた。
塙保己一の編集した「群書類従」は、正編530巻、続編1150巻、全1680巻にも及ぶ巨大文書群なのだから。
18歳にして、将来の姿を明確に見据えていたのだろう。

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2023年08月16日

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鎌足から概ね、院政期あたりまでを詳細に書かれている。
古代では、後発組として豪族との覇権争い、朝廷の首班に近づくと皇族や他氏、そして以降は同族間で政権争いを繰り返す。

藤原氏の一族が広がると共に、一族の中での争いがよく分かった。

ただ、よく似た名前が多くてルビが多ければ、もっと読みやすかった。

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2023年07月22日

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鎌足の創始から武家の時代まで、日本の政権の中枢に関わり続けた藤原氏。
時間の広がりと、空間的な広がりの中で一族の盛衰を追うのは大変なことだろう、と素人でも想像がつく。
とはいえ…正直、自分はこの本の真価があまりよく理解できていないに違いない。

膨大な人の羅列。
簡潔な説明が添えてあるのだが、あまりにも人が多すぎて、今何が問題なのか、だから何か、見失ってしまうことがしばしばあった。
この調子なので、読み終わるまでかなり時間がかかったし、率直に言えば苦痛でもあった。
あのベストセラーになった『応仁の乱』でもかなり苦しんだことを思い合わせると、自分には歴史学者の方の地道な文章を読みこなす力がないようだ。
多少知っている平安中期以降は、幾分読みやすくなったことを考えると、やはり絶対的な予備知識不足が原因だと思うけれど。

五摂家と家格、家業など、中世以降の話は、今回しっかり理解が整理できた気がする。

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2023年05月21日

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藤原氏がどのように誕生し、貴族の中で揉まれ、他のライバルを蹴落とし、天皇家と密接に結びつく過程を描く。権謀術数の歴史。

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2023年04月15日

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藤原氏の始まりから中世に至るまでの血統を事細かに解説してくれる。中世以降の分流についても記載があり、幕末、明治維新、昭和史にも藤原氏の血統が影響することに驚くばかり。天皇家の動向を左右するだけの力を持ったのに、天皇家に取って代わろうとしなかったのは何故? それとも取って代われなかった? 

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2022年02月13日

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藤原氏の起こりから中世の諸家分立について概観しています。摂関政治の発展によって衰退した御堂流以外の藤原諸氏が、院政期には上皇と結びついて権力を高める、というのは大変興味深く読みました。

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2021年03月04日

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歴史上の藤原氏の歩みを、始祖鎌足から中世までを中心に辿る一冊。摂関期までの権力の推移を眺めるのも面白いが、時代と共に拡大を続ける氏族の全体像に圧倒させられる。

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2020年08月21日

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藤原氏という古代から中世にかけて日本の中心にいた一族。中臣鎌足の話はあまりにも有名ですが、そこから始まる藤原氏のことについてははっきりとした一本として把握できていませんでした。日本史の中ではところどころにその名前が出てくるので、政治組織には絶えることなく続いていたのだとはわかるのですが、その実態はあまりにも広大で良く分かっていませんでした。
鎌足の子供の不比等があり、そこから四家が起こり、平安時代に道長などが栄華を誇り、その後武士の世の中になり、近衛家、九条家に別れ、さらに五摂家になり・・・という日本史にところどころ顔を出す藤原氏。その間を埋める、藤原氏の流れを、本書を読むことで把握でき、少しすっきりとしました。
ただ、読んでも読まなくても分かることですが、藤原氏は広大に膨らんでおり、とても全体を把握しきることは不可能です。できるだけそれに挑戦しようとしたところに、本書の価値はあると思うのですが、同時に読むものに忍耐を強いるものでもあると思います。日本史の古代と中世についてあらかじめ勉強しておかなければ付いて行きにくい、前提として知っているはずで勧めてくる部分もあります。中級者向けと言えるものではないでしょうか。

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2018年07月21日

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藤原氏がその盛名を近代まで永らえさせた理由とは何だったのか。
大化改新の「功臣」であり藤原氏の祖・鎌足でも「摂関政治」の頂点を極めた道長でもなく、律令国家整備の立役者だった二代目・不比等こそが藤原氏繁栄の礎を築いたプロデューサーだったと著者は指摘する。

平安期と比べれば、白鳳〜奈良朝までの藤原氏は未だ未だ不安定な存在。氏族としてのスタートが鎌足一人で、後継者も不比等以外に官途に付く子弟がいない状態。著者も言うように鎌足だけの「一代限り」で絶えてしまうこともあり得た訳だ。

そこで鎌足の功績を「人臣最高クラス」と顕彰した上で、父祖の経歴が子孫に「下駄を履かせてくれる」蔭位制を鎌足直系である自身の四子(南家・北家・式家・京家)により有利に働く制度として導入する一方、姻戚を通じて天皇家と「ミウチ(血縁)」となり、自らの血筋による皇統維持を願った持統太上天皇との協力関係を築き上げた。この二つの手法が藤原氏の権力掌握のロールモデルとして機能していく。

事実、不比等没後に四子が揃って天然痘で亡くなったり、仲麻呂(恵美押勝)の失脚など権力中枢に不在の期間がありながら、その都度権力の座に返り咲いたのは、不比等の制度設計が有効に働いた証拠と言えるだろう。

不比等の深謀遠慮とその仕組みを活かす人材の登場もあって栄華を極めるに至った平安中期、藤原氏とは距離を置いた上皇の登場と王家・藤原氏共に内紛を抱えた院政期、その混乱から生まれた武家の時代へと移り行く中、氏長者の資格を持つ「五摂家」から院政を支えた中下級官人に至るまで、藤原氏一族の家格と家職がそのまま朝廷の秩序として江戸時代まで受け継がれていくことになる。

「おわりに」で記される藤原氏各流派を眺めれば、帯に「日本史の真の“主役”」とあるのも頷ける。これほど枝分かれしながら、且つ多くの家名が残るほど栄えた一族は例を見ないのだから。

本書では語られなかった中世藤原氏一族同士の激しい就職活動や暮らし振りについて、同じく中公新書『日本史の森をゆく』の「中世一貴族の慨嘆」「貴族の日記と朝廷儀礼」辺りを読まれるのもお勧めです。

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2019年05月15日

Posted by ブクログ

大化の改新で功績があったとされる藤原鎌足に始まり、天皇家とのミウチ的結合を基本戦略として日本古代・中世政治史の中で中心的役割を果たしてきた(その後近代史に至る中での時々政治の表舞台に顔を覗かせる)氏族である「藤原氏」について、主に古代国家の成立過程から院政期、そして中世の成立までを舞台として、どのようにして権力をつかみ、それを形を変えながらも後世にまで伝えていったのかを描く。
本書を読んでいて、藤原氏の歴史をたどることは、まさに日本古代・中世政治史をたどるのとほぼ同義であると感じた。日本古代・中世史の良い復習になった。一方で、同じ「藤原氏」といってもそれぞれの家系や人物により、悲喜こもごも、それぞれの時代でその境遇の差が大きかったのだということも感じた。
藤原氏というあまりに大きな存在を扱っているので仕方ないのだが、登場人物が多すぎ、読んでいて親子関係や姻戚関係などについて、頭の中で混乱した。また、比較的広範囲の時代を扱っているので、大きな流れを俯瞰するのには良いのだが、一つ一つの人物やエピソードの記述は薄いので、そこは別の専門書等で補完する必要があるだろう。

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2019年07月05日

Posted by ブクログ

以前読んだ「藤原道長の権力と欲望 御堂関白記を読む」
がムッチャ面白かったので。
他の方の評価にもあるように今回は淡々とした内容で
面白いとかそういった感じではないかな。

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2018年05月14日

Posted by ブクログ

古代日本を語るには不可欠の藤原一族の栄枯盛衰を描く。
小説ではないのであくまでも事実を淡々と箇条書きの如く書き並べていく感じ。
中臣鎌足から始まり、天皇家と絡み合いながら武家政権勃興まで。細々と江戸時代終焉まで続くけどその辺は大雑把。
私も殆んどスルー。大筋においても話が細かすぎていま一つ読み物としての面白みには欠ける。最後まで読んだ自分を褒めてあげたい。
マニア向け。

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2018年04月16日

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