あらすじ
大伴家持(七一八頃~七八五)は、天平文化を代表する歌人であり、『万葉集』の編纂にも関わったとされる。橘奈良麻呂の変など、無数の政争が渦巻く時代を官人として生き、さまざまな美しい景色や多くの親しい人々との思い出を歌に込めた。その歩みを追うと、時代に翻弄されながら、名門一族を背負った素顔が浮かび上がる。本書は、残された資料と各所で詠んだ歌から、謎の多い彼の全生涯を描き出す。
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Posted by ブクログ
歌人としての側面だけでなく、政争に翻弄された官人としての歩みも含め、その生涯を追う一冊。官人として栄達する前提としての人や社会情勢との関係を、折々の詠歌を素材にして浮かび上がらせる内容が面白かった。
Posted by ブクログ
古代より、大王と伴に戦ってきた名族、大伴氏も天平の時代には、荒々しい武人ではなく、優雅な貴族文化を代表する歌人となっていた。でも、その詠んだ歌には、先祖の武人たちから脈々と受け継がれてきた魂が感じられ、防人たちの歌を愛し、万葉集として、今に残してくれた。それは、千年の時空を超え、身近に感じさせてくれる。
今も、赴任先の富山で、やか餅となり名前を残す彼は、今よりもさらに激しい政争の中、転勤や昇進、不遇の時代を繰り返し、宮勤めを全うした。当時も人事評定や収支報告書の提出期限があったり、サラリーマンのような部分も一層身近に感じられた。
Posted by ブクログ
万葉集の歌人として知っているくらいで本人の事は何も知らなかったので面白く読めた。天平と言う時代はあまり分からないので橘奈良麻呂の変や藤原仲麻呂の乱などこう言う事件に直接ではなくてもある程度の関わりがあったとか藤原氏が政権を独占していく過程の話が面白かったな。そんな中でも中納言までも出世するような官僚だったのも意外な感じ。こう言う知らない時代の本を読めるのは良いな。