【感想・ネタバレ】童話迷宮 下巻のレビュー

あらすじ

扉の向こう、そこは物語の海――。グリム、アンデルセンにも比肩する児童文学の金字塔、小川未明。彼の美しい童話の世界を、新鋭・釣巻和が、私たちの生きる現代まで、世紀や世代を越えて、ていねいに掬い上げたとっておきの連作集。不思議な看板に誘われてやって来た小川少年の行き着く先は? 豊饒の物語の海にたゆたい、ゆめとうつつのあわいで、少年は何を見、何を感じるのか? 読切「月のナイフ」も同時収録。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

下巻に入ってから、枠物語に位置していた少年が、活躍というのかなんというのか絡んできて、学校の先生へと。
各話が短いのもあって読みやすいし、雰囲気もいい。

んで、んで!「月のナイフ」という連作外の短編が入っているのだけれど、これが!これが!
わざと悪く言えばただのフシギクンの話なのだけれど。
現実べったり散文的日常を送る自分にも、かつてこんな少年だったときがあったような気がする……それはもちろんまやかしに違いないが、そう思わせてくれるくらい引き込まれた。
ラストは息を止めて読んでいた。
少年が単体で出るのではなく、視点人物が少女にも振り分けられ、その少女の存在が今後彼にとってどれだけ援けになるか、それを思うだけで胸塞がる。
「放浪息子」への別角度のアプローチと言ってもいいかも。
この短編が断然好きだ。いや好きかどうかわからないくらい切実さを感じた。

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2020年11月30日

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