【感想・ネタバレ】日本銀行「失敗の本質」(小学館新書)のレビュー

あらすじ

黒田日銀はなぜ「誤算」の連続なのか?

「異次元緩和」は真珠湾攻撃、「マイナス金利」はインパール作戦、「枠組み変更」は沖縄戦に通じる――。

「誤算」と「迷走」を重ねる黒田日銀の金融政策は、かつての日本軍の失敗を彷彿とさせる。

組織論の観点から見ても、「あいまいな戦略目的」や「短期決戦志向」「属人的な決定プロセス」など、両者は驚くべき相似をなす。

だとすれば、その行き着く先は「第2の敗戦」ではないのか――。

いち早くアベノミクスに警鐘を鳴らした朝日新聞編集委員が、間違った金融政策を修正できない政府・黒田日銀の問題点を浮き彫りにする。

「メディアも有識者も経済界も、この政策をまったく批判しなくなったら、それはまるで戦時中の大政翼賛会のようなものだ。あまりに無謀な太平洋戦争を引き起こした戦争責任は時の政権や軍部にある。だとしてもそれを無批判に受け入れ、時に支持したメディアや有識者たちにも責められるべき点が多々ある。
批判を許さない抑圧的な体質も、都合のいいことしか説明しない、させないという大本営発表的な手法も、戦前や戦中に通じるもののように思える。私たちは今、相当に危なっかしい時代の淵に立っている。」(プロローグより抜粋)

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Posted by ブクログ

2013年-異次元緩和は成果を挙げられず、時間の空費
追い詰められ、2016年01月マイナス金利・・・不評だが
2019年01月黒田総裁 人口減少・高齢化潜在成長率低下
「長期化リスク」を否定していた

「失敗の本質」
①曖昧な戦略目的   「デフレ脱却」とはなにか?
②短期志向の戦略立案 「2年で達成」
③空気の支配・非科学的思考「アベノミクス成功」連呼
④進化しない戦略    代案なき政策の長期化
 敗北の想定はあり得ない 精神主義の悪弊
⑤属人的な決定プロセス リフレ派に席捲
⑥修正されない組織とりあえず現状維持 失敗を認めず
⑦結果よりプロセス重視 やった感よりやってる感
⑧言葉を奪った組織 セントラルバンカーの苦悩
⑨繰り返される大本営発表 真実を伝えない会見
⑩財政ファイナンスの罠 

人口減少と高齢化 団塊Junior
⇒社会保障制度の再構築

株価下支え 〇〇プット バブルを拡大→ショック
米国の家計債務13兆$ リーマン超える
トランプは株バブルで再選を図る
自分ファーストであって国民・国家は何も無い

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2019年05月01日

Posted by ブクログ

安倍・黒田が主導した異次元緩和政策を、旧日本軍の太平洋戦争敗戦になぞらえて痛烈に批判する。

安倍政権開始から6年が経過したが、今のところ経済は(少なくとも見せかけ上は)堅調だ。これに伴って政権の基盤は安定しているし、国民の支持も大きい。が、事実上の財政ファイナンスを続けて将来にツケを回し、緩和政策の出口も見えなくなっている。一時的な好調の間に取り組むべき成長戦略も手がついていない。政権批判を許さない安倍一強ムードが続くなか、いびつな政策はいつまで続いてしまうのか。

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2019年09月16日

Posted by ブクログ

本書は表題からよくあるアベノミクス批判本かと思ったが、読むと内容は実に堅牢で説得力がある。
アベノミクスについては今現在も賞賛派と批判派がバトルを繰り広げているが、安倍政権の支持率をみても、政治的には一定の成功を収めたといえると思う。
しかし金融政策としてみると、振り回されて翻弄された「日銀」はやはり「敗北」したのではないかと思った。
日々経済新聞を読んでいても、数年単位の経済の動きを把握することはなかなかできないが、本書で日銀の活動や考えの変転を読むと胸にストンと落ちる思いをもつ。それにしても一国の金融政策や政治を司るエリートたちがみな短期的な視点のみを追求し、課題を先送りしていて良いのだろうかとの懸念を抱いた。
本書を、小生のような素人にもわかる「日銀ウオッチ本」として高く評価したい。

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2019年07月31日

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