あらすじ
約50年前、東南アジアに1つの国が誕生した。マレーシアから分離独立した“シンガポール”である。だが、シンガポールは、自ら望んでその独立を果たした訳ではない。資源も、産業も、軍事力も、人材も、土地も、何もないシンガポールは、マレーシアから追放される形で、無理やり独立させられてしまったのだ。
東京23区よりも少し広い程度のこの小国の前途は、余りにも多難に見えた。だが、みなさんもご存知のとおり、現在のシンガポールは、1人当たりのGDPではとっくに日本を抜き、世界でも有数の富裕国となっている。
シンガポールはいかにして、この奇跡とも言える発展をなし遂げたのか。シンガポール在住7年目の著者が、シンガポールのカラクリを解き明かす。
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Posted by ブクログ
シンガポールは、なぜできたのか?
その興味深い歴史について、峯山さんが執筆した本となります。
約50年前、東南アジアの国の一つであるシンガポールが、なぜできたのか、資源も産業も軍事力も人材も土地も何もない状態から、国として機能することができたのか、その経緯が詳しく書かれています。
この本には、ご自身の事業や会社にも役立つ成功の秘訣が含まれています。
シンガポールは中華系の方々も多く、アヘン戦争以降、中国の港が多く開港され、中国から海外への道が開かれた際、新自由移民と呼ばれる単純労働者や、戦争、内戦、革命で生活ができなくなった方々が災難を逃れるためにシンガポールへ移住したことが知られています。
1949年にはシンガポールの華人人口は77.8%にまで増大しました。
シンガポールは自由貿易港であり、関税収入がなく、国庫収入のほとんどはアヘンの請負収入に依存していたとされています。
イギリス人の発言権を持つ人も多くいましたが、次いで中華系の方々も上記の理由から権力を持つようになりました。
そして、シンガポールを語る上で外せないのが初代首相である「リー・クアンユー」氏です。
彼はバラバラだったシンガポールを一つにまとめ上げ、国民の生活水準や生活環境を飛躍的に向上させ、シンガポールを世界最高峰の富裕国家に押し上げました。
彼の公約は「建国以来、常に成長し、成功し続ける明るいシンガポールの未来」であり、その実現に向けて努力する国民に希望と勇気を与えました。
そして、ついに2014年には国内総生産(GDP)を5万6284ドル(約670万円)まで上昇させることに成功したんです。
シンガポールの貢献の礎となったリー・クアンユー氏の公約を守る強い意志から、多くのことを学ぶことができます。
約束を守ることがいかに大事かを学ぶことができる本です。
Posted by ブクログ
5年前出版だけど今のシンガポールについて歴史もふまえてわかりやすくまとまっていた。
繰り返しが多いけれど、繰り返しの内容は語るに重要なセンテンスだからこそな感じ。
おわりに(あとがき)のインド系のご家族との共同生活のエピソードが面白くてエッセイなど出版してほしいと思いました!
Posted by ブクログ
良い本である。
読みやすく、著者の視点からの考察も分かりやすい。
今後、日本が真剣に考えて行かなければならない方向性を示してくれていると思う。
Posted by ブクログ
社会とか経済についてあまり興味がなくてこういう本は読んだ事がなかったけど、わかりやすくて面白かった。
頭の良い人が国のトップに立てるような仕組みや、資源がなくてもヒト・モノ・カネを集めて経済を回すビジネスの方法はすごく感心した。
一方で、少子化の問題はいろんなアプローチを仕掛けているが苦戦しているそう。日本に官製マッチングアプリがあるけど、シンガポールはもう少し前に婚活支援プログラムがあったらしい。まあうまくいかないよね笑
とりあえず読んだら頭良くなった気がするのと成長欲が湧いてくる。
Posted by ブクログ
シンガポールに住んで3か月になり、そろそろ街のいろんなところが見えてきたタイミングでこの本を読んでみた。
マレーシアから追放される形で独立したシンガポールが、資源も食料も技術もない中で、アジアのハブとして大いに発展するまでの歴史がわかりやすく説明されている。リー首相の強力なリーダーシップ、そして何より、国が小さいからこそ、変化を恐れずにスピード感を持って新しいことを取り入れてきたことが功を奏して、現在の発展に至っている。
すでに一人当たりGDPで日本はシンガポールに抜かれて久しい。人口も多く、今でもそれなりに豊かさを享受できておりつつ、保守的になりがちな中高年が多い日本が、変化を恐れずチャレンジすることは難しいのかもしれないが、内向きで過去の栄光に浸っていてはやがて沈む。素直にシンガポールの取り組みに目を向けてみるのも必要だと強く感じた。
Posted by ブクログ
なぜ?シンガポールは成功し続けるのか事が出来るのか
■シンガポールの歴史は世界史の奇跡
・シンガポールは技術・土地・食料・水・軍事力・人・国民の連携がない
・100回シミュレーションしても現在のシンガポールにはたどり着かないが、
現実としてアジアで最も豊かな国となった。
■シンガポール人はバラバラな民族の集合であり、団結力が希薄。
→経済を発展させ続けるしか1つにつなぎとめる手はなかった。
■独自の経済成長しようとしても何もなかったため、他国からヒト・モノ・課ねを呼び寄せるための環境整備づくりに全力を注いだ
→世界経済フォーラムが発表する各種の指標でもビジネスをする最高の場所という地位になった。
■「馬鹿を政治家にしない」教育制度は学生を選別し、優秀な官僚を調達することに全力を注いできた。
→国防の次に「教育」を重要視。唯一の資源である「ヒト」に最高の教育環境を与える国是。
→多国言語政策に力を入れ、他国の成功時れを現地の言葉で学び、それを経済発展に生かすという外国語学習。
→結果、各国の成功事例を模倣し続け、無敵になった。
■実力主義
・自分のキャリアを糧に巨額の収入を求める世界中の優秀な人材が集まる。
■水の需要
・水の需要に対し、供給が追い付いていない。
・2061年にマレーシアからの水の輸入契約が切れてしまう。
・50年以上先を見越して、100%自給できるニューウォーターと海水の脱塩水の供給能力の確保に取り組んでいる。
・下水処理水が最大の供給資源となる予定。無味無臭で衛星レベルは問題ない。
■観光業
・建国から起算して入国者数は180倍
・理由:政府が主体となって観光客が来たいと思えるよう、改革している。
①観光資源の建設と歴史の保存・再活用
②安全
③とにかく快適
④4つの公用語
⑤クリーン&グリーンシティ
⑥国別のマーケティング戦略
■世界のハブ
・政府機関が中心となり、あらゆる産業の「ハブ」になるために、世界中からヒト・モノ・カネを呼び寄せる仕組みを作り続けている。
■少子化対策と今後
・日本以上に深刻な少子化問題に直面している。
・対策を講じたが、少子化に歯止めをかけることが出来ず、将来的には「移民受け入れ」によって少子化問題を解決することを明言している。
■日本が学ぶべき事
・多様性を受け入れる。
→シンガポールは多様性を受け入れて変化することを前提に作られたため、世界中からヒト・モノ・カネを集めて社会そのものを進化させてきた。
→日本は多様性を受け入れることに抵抗があり、変化することが出来ない。
→日本の発展のために、海外の素晴らしい成功事例を積極的活用し、「新しい(世界)視点」を獲得し、進化する。