【感想・ネタバレ】事故の哲学 ソーシャル・アクシデントと技術倫理のレビュー

あらすじ

ディープラーニングしたAIの判断の責任は、だれがとればよいのでしょうか?人工物が複雑化すればするほど、事故の因果関係は不明瞭になります。被害は存在しても、加害者を特定できなくなります。また、小さな過失が、巨大事故を引き起こす可能性もますます大きくなっています。人工物が第二の自然になり、事故が第二の天災となる時代に、倫理はどうあるべきなのでしょうか。現在進行中の問題に深く切り込みます。

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Posted by ブクログ

人工物に囲まれていることが当たり前になってしまったわたしたちの社会は、これからどうなってゆくのだろう? と思いを馳せてしまうような内容。
社会課題提起をしている本だと個人的に感じる。

エンジニアの倫理観を始点に(エンジニアは今の時代にどうあるべきか)、エンジニアを取り巻く人工物と所属する組織、ユーザーという周辺環境を、事故(過失)を中点にダイナミックに繋ぎ、俯瞰した観点で解説する。

エンジニア(技術者)の為の書だと感じるのだけれど、門外漢で素人のわたしが読むと、日常の環境の見方が少しずつ変わっていく本だと思い面白かった。

確かにわたしたちユーザーは人工物にもう取り囲まれていて、所有者であっても事故がもしも起きた場合の責任を取ることができず、それは人工物(というコントロールがある程度できても予測が難しい複雑系のもの)を創り出した専門家であるエンジニアも同様で、現代では責任の所在はメインとして法人(企業、組織)になっていることが多いのだと知り、人工物だらけの中で生きているわたしたち現在の日常の不思議さと不具合さに改めて気づかされた。

人工物という完全に予測可能ではありえないものをコントロールしなければ共に生きられず、ルール等社会実装の追いつきという課題もはらんで、現代もこれからの未来にも人工物を介した事故(過失)が絡んでくるだろうという予見、その時のエンジニアの倫理、これを本書は繋いでいる。

2019年の本だけれど2026年の今読んでもリアルタイムに感じて個人的に勉強になる。(つまり人工物に囲まれている環境はより当たり前に、激化しているからだと思う)
研究をまとめた本という感じで激しい意見を述べるような性質の本ではないが、車という日常的にわたしたちに身近な人工物がよく出てくるので、文章の内容はイメージしやすく踏み込みやすいかと思う。

エンジニアとして働く人々にももちろんおすすめだけれど(そのために書かれている本)、自分のことをずっと悩んでいる人、最近、世界がてんで面白くない人におすすめ。
自分以外の視点にときおり立ってみると、自分の世界観が少しずつブレてズレてくるので、凝集した悩みやひとつの価値観しかない世界線がグラつき、少し深く息を吸えるかもしれない。

ぜひ読んでみてください。






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2026年09月27日

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