あらすじ
「ねえ、あの袋の中に入るって素敵だと思わない?」…表題作/「ねえ、もう一度だけ試してみよう。もし僕たち二人が本当に100パーセントの恋人同士だったなら、いつか必ずどこかでまためぐり会えるに違いない」…「4月のある晴れた日に100%の女の子に出会うことについて」村上春樹が「毎月一篇ずつ楽しんだり苦しんだりしながら産みだしてきた」、都会の片隅のささやかな18篇のメルヘン。※電子版はテキストのみです。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
短編でとても読みやすかった!
特に「彼女の街と、彼女の緬羊」が気に入った。
北海道の友人を訪ねる。友人も自分もお互い結婚しており、北海道と東京で別々の人生を歩んでしまっている。会話も弾まなかった。ホテルに泊まり、ビールとスモーク・サーモン・サンドウィッチをつまむ優雅で気楽な時間を過ごすが、どうしようもない退屈感に満ちている。テレビに映る田舎町の広報の女性は垢抜けないが、地味な暮らしへの誠実さがある。自分はそんな彼女に会いたいような気もするが、結局はその街になんか寄らずに東京に帰るのだと考える。
人生への強い倦怠を感じる、好みの短編だった。
一人前の大人になったが、昔の友人とも心が通わなくなり、お金も娯楽もあるが気持ちは鬱屈としている。そんな社会人は80年代ですらいたのだろう。今自分がそういう年齢になり気持ちが分かる気がした。
Posted by ブクログ
村上春樹さん…有名すぎる小説家の方ですが、あまり読んだことがなく…なんだか難しそうなイメージがあって、手を出せずにいました。
でもある時「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」というタイトルを何かで聞いてから、気になってしまって。このタイトルだけでもうわくわくして開いてみたら、え?8ページ…。短くてびっくりだったのですが、とても読みやすかった。
小説を読んでいると、目から入ってくる文字を頭の中で映像化していくわけだけど、村上春樹さんの小説ってなぜだか背景が海外になってしまう。この100%も、ヨーロッパのお洒落な街並みが自動的に脳内で設定されてしまって、そして素敵な男女が出会って別れて(分かれないで欲しかったなぁ)すれ違っていったけど、最後にもガッツリ「原宿の裏通りを西から東へと向い」って書いてあるのに、なぜか背景はヨーロッパの街並みのままだった。
「君は僕にとって100パーセントの女の子なんだ」と言われたら、自分だったらどんな反応をするだろう、なんて考えてみた。信じるとか信じないとかよりも、この小説を読んでしまった以上「あ、村上春樹さん読みましたね?」って返してしまうと思う。そしてこの小説についての感想を語り合えたら嬉しい。