【感想・ネタバレ】ザ・ファースト・ペンギンス 新しい価値を生む方法論のレビュー

あらすじ

「会社の将来を支える新しい価値の創造を君が担当してくれないか」。この上司のひと言から僕たちの会社を変える新しい価値創造の実践的メソッドである「フォーサイト・クリエイション」を物語の形で書籍化。会社を変える若手社員たちの笑いと涙の大活躍と共に、最新のクリエイション・メソッドが学べる。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。

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Posted by ブクログ

私たちの行動の多くは、自身の経験や知識が練り込まれたアスファルトの舗装された道路、もしくは安全という名の枕木が敷かれた線路の上を走っていくかの如く、皆同じ様な手段と時間で目的地に向かっている様なものだ。誰も道の無い茂みに入ったり、降車予定の無い途中駅で降りたりはしない。だが私の子供の頃は違った。そもそも舗装された大きく広い道路が少なかった事もあるが、学校の帰り道は、探検心を出して暗い林の中に飛び込んだり、すごく遠回りになりそうだと解っていながらも、いつもと逆方向に歩き出して、新しい行き方を探してみたりしてみたものだ。いつも発見を求めてた。
今は実家の周りは街並みもすっかり変わり、大きく舗装された道路、東西に網目の様に張り巡らされたアスファルトの上を、小さい子供たちが整列しながら学校から帰ってくる。やがて私も社会人になり、以前は駅などなかった場所に新駅がいくつも出来て、巨大なビルや商業施設が整然と立ち並ぶ。どの街も大方見た目は一緒、均一で無機質な街並みは、果たしてそれがどこの駅なのか見間違うレベルだ。何もかもが作られて、整備されて、秩序だっている。会社勤めの早足で歩く人々は一様に黒や紺のスーツ、ジャケットを纏い、1秒でも遅刻したらクビになるのではと思うくらい、無表情に急ぎ足で会社を目指している。道を踏み外さなければ大丈夫、皆と同じ服装なら問題ない、今日も昨日と同じ1日を平和に過ごせたら、それなりの給与が貰える。それでもこれまではやってこれたし、これからもある程度の期間は変えず、変わらずで過ごせるだろう。でもその様な時代もいつかは終わる。意外と早く終わりそうだと感じるのは、少子化による人手不足だけではない、消費者自体が少なくなり、世代も変わっていく。何よりもAIをはじめとする技術進歩のスピードが半端ない。シンギュラリティが来たと言われてしばし経ったが、振り返ればそれが確かだった事が解る。昨日と同じ事をしていて、同じ生活を送り続けられるのは、あと僅かな時間しかないのかもしれない。
どこの企業もDXの旗印であらゆる事に挑んでいるが、多くはPoCはやってみたけど、何だか「取り敢えずやってみた」程度の自己満足で終わってしまったり、とてもじゃないが業務を根本から変える様な素晴らしい「やり方」などは滅多に見られなかったのではないか。それでも続けさせてくれる会社はまだマシな方だが。
今、会社でも散々新規事業立ち上げを狙って、イノベーションを起こす人材を社内で探したり、外部から招き入れようと躍起になっている。勿論自分は現行業務の蟻地獄から抜け出せず、頭の片隅では考えていながらも、トラブル発生、上司からの急な指示、部下からのクレームなどとてもじゃないが、時間は次々と奪われ、疲れ果てて考えるのも嫌になっている。毎日がこの繰り返しだ。本書だけでなく、たまに時間を見つけてビジネス書の様なものを手に取ると、総じて新しい価値を生み出すことの重要性が語られるが、一体いつ、私はそれをやれるのだろうか、いや、やるのだろうか。
偶々参加したセミナーで本書を知り、その日の夜に一気に読んだ。ああそうか、私は毎日忙しい事に安心して、新しい何かを探すことから逃げていたのかもしれない。私の経験・知識の範囲で過ごしていれば安全だから。新しいリスクを抱える事もないから。だが、ふと実家の周りにあった広大な森や沼地、裸足になって遊んだ小川や田んぼの風景を思い出して、今の自分が冒険から逃げている事に気づく。あの頃の燃えるような探究心は、現在の様に、街が整備されていないからだけじゃない、私自身が冒険を楽しむ気持ちで毎日過ごしていたからではないだろうか。知識も経験もなく、何がいるかわからない、もしかしたら崖になっているかもしれない暗い森の中を、太い枝を片手で振り回しながら走り続けたあの日々が懐かしい。毎日が発見の連続だったのは、自分自身が真っさらであった事、自分が新しい何かを常に求めていたからだったのだろう。
さて仕事に戻れば、新規ビジネスの話もそうだが、これからの自分の所属する組織をどうしたいか、役員の前でビジョンを説明しなければならない。きっと恐らく今のままの延長線上の話をしてしまいそうな自分がいる。目の前の問題ばかりに囚われ、新しい価値ではなく、マイナスを取り戻すのに精一杯になるだろう。いやダメだ。新しい価値を作っていかなければ、同じビジネスを展開する同業他社などいくらでも居るから、きっと淘汰されるだろう。会社の中期計画や、ビジョンを眺めながら、私の使命、組織の使命、提供すべき価値を探す。そして会社が今後2030年迄に大きく変革しようとする中で、私と所属組織がどの様に変わっていくべきか、何を価値として作り出すか。その答えは我々を取り巻く社会にあり、顧客のいる現場にある。そして私自身の中からも生まれる。きっと生み出せる。
本書の内容とは少し違うかもしれないが、新しいビジネスを作り出すためのフレームワークや、考え方を学ぶには、ストーリーも面白いし、自分の日常に容易に置き換えられるような、誰もが会社で直面するシーンも多く、入り込みやすい。そこに様々な気づきや仕掛けが準備されているから飽きさせずに一気に読める。何より、読んだ私を現状から突破しなければ、という気持ちにさせてくれた。どこで私に火がついたか上手く説明は出来ないが、兎に角目覚めた(改めて火がついた)のは間違いない。新規事業提案が行き詰まった方だけでなく、何か日常をモヤっと過ごしていて打破したいと考えてる方にも、お勧めの一冊だ。

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2024年12月01日

Posted by ブクログ

新たな仮説、それも妥当性の高い仮説を生み出すことが重要。

組み合わせることは機械でもできるが、それが価値を生むのかという評価はヒトにしかできない。ここが組織として新規事業を生む悩み…。

書かれていること、置かれている状況一つひとつがとても共感できる。

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2021年12月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

以前読んだ「インサイト」という本も合わせて読んでいくと理解が進む。全体的な流れは本質的には同じもので、少しずつ方法論に違いがあるだけかなあという印象。

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2018年07月22日

Posted by ブクログ

松波さんの講演に2度参加しており、実はまったく知らない内容ということではなかったが、とても新鮮に読めた。
登場人物に感情移入しすぎたのか、ウルッときてしまった。
「承認の貯金」が足りない自分にも気がつき逆に勇気ももらえた。いろんなことが線で繋がり、すっきりした気分です。ありがとうございました。

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2018年07月21日

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大阪大学フォーサイス社の方法論は、新規事業開発に関するフレームワークとしては、非常に構造化され実践的なものであり推薦できる。
定番の、『リーン・スタートアップ』などと合わせて読むとよいだろう。

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2025年02月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

新たな価値はどうすれば発想できるか、画期的な新価値を同志意思決定するか。
新たな価値を生む人になるための本
物語仕立てで非常に読みやすくてよい!

メモ
・気づきから始まる
 着観力 unlearnすること 受容し学習すること
     自ら場に足を運ぶこと
・アブダクション
  推論 新しい仮説を出す 意外な真相をつきとめる
・統合
  優れた知性とは二つの相反する考えを同時に持ち、しかも、それらを機能させる能力のこと。
  アウフヘーベン

・リフレーム ボケよ
  ビジネスにおいてそれまで常識とされていた解釈や枠組みを新しい視点発想で前向きに作り直すこと
  新たな仮説の評価
   新規性、妥当性、汎用性
・統合たすリフレーム
  クリエイティビティ。イノベーション。
  セレンディピティと遊び心
・メタファー 
  発想を広げやすくなる
  どこに向かうのかというコンセプトをわかりやすく表現する。

・先見力
  創造性は予測と関与から成り立つ。
  将来重要になる洞察をだれよりも先に抱くこと、
  洞察の実現に向けて努力し続ける信念

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2024年09月02日

Posted by ブクログ

書いてあることは頭では理解できる。
でも、実際には中々上手くいかない。
今までとは違う脳を使う必要がある。慣れるには時間がかかりそう!

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2023年03月17日

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一章
全ては気付きから始まる
事実と気付きは違う
偏見フィルターを意識的に外して受容的に気付きを感じよう

2章
意外な真相を追求しよう
それがアブダクションするということ

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2022年05月21日

Posted by ブクログ

新規事業を作り出す考え方の道筋を大まかに知ることができる。
会社の理念に根ざしていることを確認するプロセスは、新規事業を起こそうとしているメンバーが上位層から理解を得るための動きに参考になる働きかけと思い、興味深かった。

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2022年03月20日

Posted by ブクログ

マインドセットの重要性、近しいマインドセットを持つ人間とのプロジェクトは楽しく、有意義に感じる理由が良く分かった。

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2021年12月13日

Posted by ブクログ

起業家であれば、100人の投資家にプレゼンして1人でも納得してもらえればビジネスを始めることができるが、会社員の場合、1人の上司を納得させなくてはビジネスを始められない。

理解のある、行動力のある、先見性のある上司に当たるかどうかが重要である。
それは、上司は失敗しないことで評価されてきたため、行動することで失敗する可能性のあることをやりたがらないためである。
如何に納得させる材料を集めるかが大切。

気づきを集める。
仮説を立てる。
推論する。統合する。リフレームする。
新規性、汎用性、妥当性で評価する。
フォーサイトする。未来を描いてみる。

fact→insight→foresight→action→reflection

Learn and do.よりもDo and learn.を。

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2020年11月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

久々に読み応えのあったビジネス書。
ストーリー展開も秀逸で、最後まで飽きさせなかった。
きちんとした理論がわかりやすく整理されており、気づき、固定のマインドセットからの脱却、仮説と検証、新事業の骨格の決定!までがよくあるHOWTO本だが、この本はそこから先の決定に向けたプロセスも書かれていて、現実的で良かった。

いきなり課長が敏腕な人に変わったり、アートさんがマヤさんを説得したり、、、あり得ない事態が起きては居たけど、、、面白く読み切れた。

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2020年08月30日

Posted by ブクログ

・イノベーションは従来の価値軸で100点を120点にするのではなく従来軸は80点に下がっても別の新しい軸を生み出してそこで100点を狙うということ

→ウォークマン 音質は下がっても外で聞ける価値を生んだ

・クリエイティビティとは「統合(異質なものの組み合わせ)」と「リフレーム」

・クリエイティビティを発揮するためには「セレンディピティ」→すぐに役立つかどうかわからなくてもとにかく引き出しをたくさん作ること

と「遊び心」→知性ではなく遊びの本能から新しいことは生まれる

・仕様を考える前に「提供する価値」をインサイトを元に検討しなければならない。

・もしシンプルに説明できないのであれば、そのことについて十分理解していないということだ。アインシュタイン

・ポケットの中のダイヤモンド

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2018年12月09日

Posted by ブクログ

1.目的
新しい価値を見つける仕事は、常に否定されるから

2.得られたこと
根底に必要なことは、自己肯定感、マインドセット。

3.アイデア
Learn and do から Do and learnへ。
さらにunlearnというキーワードも大切。ここがないと、過去の経験則とか、固定概念を破れない

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2018年10月14日

Posted by ブクログ

移動中の機内で読ませていただきました。
小説仕立て(時にコラム的な解説記事も)な構成は、一世を風靡した「もしドラ」を想起させる印象もありました。
確かに、このような構成ですと移動時間などには読みやすいと感じました。
各章の終わりにある、世界の偉人による名言はとても味わい深いものでした。
著者の松波晴人さん、著者の勤務先である大阪ガス行動観察研究所は以前から注目していますので、次回作にも期待したいところです。
付箋は15枚付きました。

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2018年07月16日

Posted by ブクログ

いつでもアンテナはって気づきを得ること
ちょっと違う角度が大切
普段の何気ない生活も意識しながら過ごしてみようと思った

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2018年08月28日

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