【感想・ネタバレ】告白 あるPKO隊員の死・23年目の真実のレビュー

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Posted by ブクログ 2023年08月17日

1993年5月4日、国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)に派遣され、現地で「文民警察官」としてPKO(国連平和維持活動)に従事していた岡山県警の高田晴行警部補らの一行は、任地のカンボジア北西部で何者かに襲撃され、高田警部補は残念ながら亡くなられた。それから、23年。2016年8月にNHKが、NH...続きを読むKスペシャル「ある文民警察官の死~カンボジアPKO 23年目の告白~」、更に同年の11月にBS1スペシャル「PKO 23年目の告白 前編・そして75人は海を渡った/後編・そこは"戦場"だった」を放送した。この番組は大きな反響を呼ぶと同時に、多くの賞を受けた。本書は、その番組を書籍化したもので、2018年に発行されたものだ。
悲惨な内戦を経たカンボジアは、まがりなりにも各派で停戦合意が成立し、カンボジアでは、民主選挙が行われることになった。上記のUNTACは、その選挙を成功させるために暫定的に統治するための組織であり、各国からPKOに参加するための要員を求めた。UNTACへの参加は、日本が参加する初めてのPKO活動であり、当時、大きな議論を呼んだことを記憶している。派遣されるのは、自衛隊と「文民警察」。自衛隊を含む、各国の軍隊が治安活動を行うと同時に、「文民警察」が選挙民の登録を現地警察を指導しながら行うことになっていた。
当時、自衛隊を海外に派遣するために国会では大きな議論が起こった。議論の結果、成立したPKO協力法に、「PKO参加5原則」というものが制定された。それは、下記のようなものだった。
1)紛争当事者間の停戦合意の成立
2)紛争当事者の受け入れ同意
3)中立性の厳守
4)上記の原則が満たされない場合の撤収
5)武器の使用は必要最小限
当時の議論は、「自衛隊の派遣の是非」に集中しており、「文民警察」の派遣についての議論は行われず、きちんとした準備を欠いたまま、各都道府県からの警察官、計75名がカンボジアに「文民警察」として派遣され、UNTACの指揮命令下でPKO活動に従事することとなった。「準備を欠いたまま」ということの具体的な中身は、例えば、以下のようなことだ。
■現地では、実際には紛争が起こっていて、派遣された警察官たちは身の危険を感じていた
■そのような状況の中、「文民」である警察官たちには武器の携行が許されないまま、「丸腰」で派遣された
■自分たちの安全を自分たちで守らなければならない状態に加えて、食糧や水、日用品の確保まで、基本的に派遣された警察官が自分たちでやらなければならない状態になっていた
■現地派遣者たちは、UNTAC組織、日本政府に対して、現状を訴え、改善を求めるが、基本的には何の援助も得られなかった
■こういった状況にあることを、警察官たちは知らされないままに、カンボジアに派遣された。現地の生活や、安全等についての教育も何も受けないまま、「丸投げ」された状態であった
高田警部補の死は、このような中で起こった事件であった。
当然に、現地に派遣されていた警察官たちは憤慨、憤懣やるかたなしの状態に陥れられるが、「PKO参加5原則」に抵触した状態であることが明らかになることは許されず、襲撃者は「紛争当事者」ではなく、「正体不明の強盗」とされ、それに対して、現地の警察官はコメントすることが許されなかった。それを、取材によって、当事者たちの口を開かせ、「告白」を促し、「23年目の真実」を明らかにしようと試みたのが、この番組であり、本書であった。

一読、素晴らしいノンフィクションだと感じた。
テーマの選定、取材の徹底度、番組・書籍としての構成、書籍化された内容(文章の巧拙なども含めて)など、素晴らしいものだ。
当時の現場の事情、現場で奮闘する警察官たちの怒りと我慢。本書の中に、PKOに実際に参加された元警察官の方のコメントがあり、それが、本PKO活動を一言で言い表していると思う。
「PKOの活動は、極秘ということですよね。だからこれまでほとんど語ってきていない。安全だと言われていたのに、実際は現地では戦闘していたわけですから。
PKO(中略)、平和をキープするのはたいへんなんですよ。みなさん、PKOとおっしゃる。平和がキープできないから、助けてくれって言うんですよ。そこに助けに、渦中に入るんですから、危険に決まっているんですよ。
でも20年以上経っても、政治家の方がおやりになるパフォーマンスは、まあ今も昔も変わらないのでありまして、政府側も耳当たりのいい話をやはりしたいわけで、政治というものはそういうものなのでしょうけどね。
私たち現場の人間は、その命令を受けたら粛々と完遂するのが任務ですから。やるしかないんです。しかし、あやふやな状態で行かされると、現場はそれだけたいへんなんですよ」
現場を知らない国連や日本の政治家たちが、理念をもとにオペレーションの中身まで(例えば、現場への武器の携行は出来ない等)を決めてしまい、それに合わない事実が(例えば、PKO参加5原則に合わないことが)出て来たとしても、柔軟に対応せずに、現実を無視したオペレーションを継続する。それは、第二次大戦の大本営と、現場の軍隊、一般市民との関係と全く同じではないかと感じた。
当時、PKOには多くの国が参加した。参加した多くの国で反省が起こり、実体はどういうことになっていたのか、どうすべきであったのかの「検証」が行われ、レポートが作成された。PKOではないが、イギリスではイラク戦争への参加に関しての、6000ページにわたるレポートが作成され公表されている。日本では、そのようなレポートは作成されていない。どこの国も、現場と遊離した意思決定とオペレーションが行われることはあり得るが、その結果がどのようなものであったのかを「検証」し、「次に生かす」ことが大事であるはずだが、日本ではそれが起きない。何か欠陥があるのではないだろうか、と思う。本書籍自体は「検証」ではあるが、民間機関によるものであり、政策・行政には反映されない。だからといって、番組や書籍の価値を減じるものではなく、素晴らしいノンフィクションだと思う。

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Posted by ブクログ 2023年05月07日

全国民が読むべき。戦争の脅威を身近に感じる昨今だが、日本の平和を維持していく上でもこうした事実があったことを知った上で進めていかなければいけない。何も知らなかった事を恥じる。平和な生活の裏には様々な立場の決断や尊い犠牲があることを思い知らされた。そして公表するかどうか、できるかどうかは別として、何事...続きを読むも記録し、歴史を紡いでいくことがとても大事なのだと教えてくれた。

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Posted by ブクログ 2023年01月18日

あまりにも政府が杜撰で酷くて、メディアの意識不足も甚だしく、読み続けるのが辛かった。しかもちゃんと検証する形が整えられている他国、特にスウェーデンに比べいかに日本の幼稚な事か。上昇時ですら改善出来なかったのに、未だその頃の脳内お花畑しか見えていないとしか思えない現時点のその職の人々を考えると暗澹とな...続きを読むる。が、時間がかかったとはいえこのような本を書け、協力の結果出来上がり、出版できているという事は救い。読めて、知れて、良かった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年11月19日

NHKの取材班が、PKO隊員の死の真相を解き明かし、その死の意味を国民に問うノンフィクション。
やっぱりこういう本は読むのに覚悟が要ります。
けれど、当時の関係者たちに話を聞きながら、冷静に過去を掘り起こす文章は、とても読みやすいものでした。
だから余計に、意識的に読むことを中断して、自分なりにいろ...続きを読むいろと考えました。

世界中から日本の国際貢献が批判を受けていたこと(金だけ出せばいいのか論)、国連の常任理事国入りを狙っていたことなどから、PKOの名のもとに自衛隊と文民警察官(丸腰の景観)とボランティアがカンボジアに送られた。
国民の関心のほとんどが自衛隊の海外派遣に向けられ、安全をアピールするために自衛隊は強力な根回しの結果、ごくごく安全の地域に派遣されたが、文民警察官とボランティアにはそのような配慮はなかった。
結果、ボランティアの青年1名と警察官1名が亡くなることになる。

そもそも政府は「停戦合意しているので安全だから」ということで、民主的な選挙を支援するために警察官を派遣した。
つまり、送る側も贈られる側もほとんど危機意識を持ってはいなかった。
だから事前準備なんてほとんどしていなかったと言っていい。
そもそも現地での滞在費用として自腹で100円くらい用意しとけとか、マラリアのワクチン接種も自腹だとか、送り出す側の正気を疑ってしまう。

命令は次々下されるが、現地の要求・要望はほとんど無視された。
そんな中、現地の責任者であった山崎裕人が行ったこと。

”そこで山崎が派遣前に行った危機管理は、七五名の隊員を八人の各班長のもと、最低でも班員の半数が同じ血液型になるよう半分けしたことだった。万が一、輸血が必要な事態に遭遇した際、日本人の同僚がすぐに付き添い、命を助けることができるようにという配慮からであった。”
これが唯一のリスク管理!
後は祈るだけ。

電気もない、水もない、食料もない、マラリアにならないために必要な蚊帳さえなく、もちろん武器もない。
防弾チョッキすら、体の前面しか守らず、それも拳銃に対してのみ。
カンボジアで普通に使われている小銃には何の効力もないものだった。
他国は当然体の前後を守る防弾チョッキと、防弾用のヘルメットを支給し、軍警察か群で訓練を積んだ警官が、それでも命がけで任務を遂行しているというのに、日本だけは本当の丸腰。

ボランティアの青年が殺されたとき
”政府は、今回の事件は散発的なものだとして、日本のPKO協力法が定めた停戦合意の順守など五原則は全体としてなお満たされているという立場を取っています。”

この時にきちんと事件について調査していたら、その後の悲劇はなかったと思う。
その後警察官一人が襲撃されるが、「武器を持っていなかったから助かった」と考えた本人とは逆に、国連側では文民警察官の武器携行が検討され始める。

なので山崎は隊員たちに撤収についてメッセージを送る。
”臆病と周囲から笑われようと、罵られようと構いません。われわれは戦場で勇気を見せるためにこの国に来たのではありません。平和を造り、助けるために来たのであって、本人たちにその気がないならば、旗を降ろして帰るしか選択肢は残されていません。”

これがきっかけとなり、山崎は選挙支援のミッションから外されることになる。

国際間のパワーバランスを肌で知っている理想主義者の国連職員・明石康は徹底的にカンボジアの安全を主張し、日本の弱腰を

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Posted by ブクログ 2022年02月09日

【297冊目】読んで良かった。国際社会において名誉ある地位を占めたいと願う日本国憲法を持つ我ら国民は、本書の内容を吟味すべき。

 UNTACの機能不全と現場軽視の官僚文化、日本政府の非紛争地域であるとの建前維持のための現実無視など、本書から学ぶべき教訓はとてもとても多い。そして、2017年の南スー...続きを読むダンPKOにおける自衛隊日報問題にみられるように、その教訓は過去の話とはなっていない。

 240ページからの数ページは、紛争地で活躍することを志す日本人や、それを他者に望んだり指示したりする人たち全員が必ず読むべき。「国際貢献」の美名の背後にある現実は本来筆舌に尽くしがたいはずで、この記載ですら現実の悲惨さの一端しかとらえていないのだろうけれど、これぐらいの地獄の描写を読んで自分がどう感じるか、その気持ちをよく覚えておかないといけない。

 本書に登場する明石UNTAC代表や柳井俊二PKO事務局長などの発言からは、外交官にこういった現場を担当する能力はないのではないかと感じてしまう。外交上の建前や日本の国際社会における立ち位置ばかりを気にして、執行現場で勤務する職員の健康や生命をそれらに劣後させる発想しかみてとれない。インタビューに答えている人の中で、河野洋平官房長官(当時)だけは、当時は自衛隊派遣のことばかり気にしていたと反省の弁を口にする真摯な姿勢をみせているように思える。

 髙田警視殉職後も、現地での勤務継続を願った同じ班の警察官の思いや、そのうちの何人かは後に在外公館勤務を務めた経緯から察するに、日本史上初の重大ミッションに派遣された警察官たちは士気高く、また、能力も高かったのだろうと思われる。それだけに大変に惜しい出来事。

 本書の副題は「23年目の真実」だが、当事者たちが辛い思いを抱えていたこと、政府から喋らないように圧力がかけられていたこと、そして、マスメディアも一時ニュースに取り上げたもののその後の調査報道につなげられなかったことから、真実がこのように具体的に明らかになるタイミングがここまで遅くなってしまったよう。本書の内容を放送したNHKの番組が数々の賞を受賞したのは納得の出来。

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Posted by ブクログ 2021年01月14日

この本を読んで初めて知ったことがたくさんあった

ただこれ以上書くと硬直した縦割りな仕組みへの罵詈雑言だらけになるのでやめることにする

知れて良かったと心から思う

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Posted by ブクログ 2019年02月16日

PKOで邦人に死人が出ていたこと自体知らなかった。カンボジアPKOだけでボランティア1名、文民警察官1名。

建設業者でなく各国軍隊の工兵部隊、自衛隊の施設科部隊を送っているあたり、派遣先が安全なわけがなかろうとは常々予想していた。

PKO法制や安保法制は、先進各国のやり方が現代社会の「多数派」と...続きを読むみなされているのだから、やるべきと思うならそりゃやれば良いんだけど、そもそも前提データ、知識が無いとか、あっても隠すとか、そんな状態で法整備をして最後は現場に責任丸投げ、というのは勘弁してやれやと思う。

そのあたり、文民警察官も似たような状態だったようだ。護身の品はたとえ防具であっても武器に該当するので日本から派遣先に輸送不可、そもそもPKO法制整備時は自衛隊の話ばかりで文民警察官の話は殆どしなかった、とある。

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Posted by ブクログ 2019年02月10日

とにかく、こんなにカンボジアの為に尽くしてくれた日本の警察の方がいたこと、知らなかったことがはずかしかった
そもそも、警察官がカンボジアに派遣されていたなんてニュースになっていたのだろうか
何ごとも初めに関わる人間は大変な思いをするが、これは、日本の官僚の能天気さによる苦労がほとんどだった
語ること...続きを読むすら許されなかった方々の証言が生々しく苦しかった 
23年も胸に抱えてきたなんて、どんな日々だったのか
読むのが苦しかった
でも、日本人として知るべきことだと思った

現在も活動中のPKOは、本当に必要なのだろうか
意識もバラバラで、寄せ集めのチームが、本当に平和を促すことができるのだろうか
私なら、自国の争いに外国人がやってきたら、恐怖を覚える

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Posted by ブクログ 2019年01月14日

中田厚仁さんがカンボジアで襲撃されて亡くなったのは知っていた。でも、文民警察として派遣されていた男性がなくなったことは知らなかった。その無知を、いや無関心を恥じた。

この本を読んで憤りを感じるのは私だけではないと思う。「国益のため」「平和に貢献するため」と言いながら、自分は安全地帯から一歩も出ず、...続きを読む丸腰の警察官を派遣する。しかし、まともな情報収集も事前準備もせず、まともな防弾チョッキも支給しない。「ここは戦闘区域」という現地の声に耳を貸さず、「平和条約は守られている」と平和ボケした議員に官僚。人の命をなんと思っているのか。

国益、国際貢献、人、命、国ということについて考えさせられた一冊。

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Posted by ブクログ 2018年12月21日

内容についてほとんど知らなかった自分を恥じたい。国際平和活動や政治、組織について考えさせられる。ぜひ番組も見てみたい。

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Posted by ブクログ 2018年10月12日

こんなことがあったなんで全然知らなかった。
それ自体が今後もふつうの「おまわりさん」や戦場に行く予定のない人が、戦場に行かされてしまう可能性を高めているのではないかと思った。
多くの人に読んでほしい本。
文章としても読みやすいし、死に至るまでの経緯も分かりやすきまとめられている。

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Posted by ブクログ 2018年04月10日

NHKにも立派な仕事をしている人々がいることを知った.関係者から聞きにくい話を聞き,資料を提供してもらい,現地にも足を運び,過去の扉をこじ開けた.TVを見なかったことが悔やまれます.でも文章に本にしてくださって読めて良かった.安倍内閣のきれいごとに惑わされないで,過去を現在に生かしていきたいです.政...続きを読む治はメンツのためのゲームではないということを政治家は知るべきです.

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Posted by ブクログ 2018年04月01日

特殊な訓練を受けず、街のおまわりさんが文民警察としてカンボジアに派遣された。
カンボジアも含め、PKOへの理解が圧倒的に低い日本。
いつまでそのままでいるのか。

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Posted by ブクログ 2018年03月11日

1993年、日本が初めて国連のPKOに人員を派遣したカンボジアで文民警察官の高田氏が殉職されるという悲劇を覚えておられる方は少ないのではないでしょうか。
政府は自衛隊を初めて国外に派遣することになったこの機会に万が一戦闘に巻き込まれる様な事態を恐れていました。自衛隊が配置されたのは治安も良い地域に全...続きを読む員が1か所に派遣されるという恵まれた状況であったのに対し、文民警察官の方は政府の関心も自衛隊ほどではなく、事前の根回し不足もあって数人ずつの小グループで各地に分散し、タイ国境付近の治安の悪化した地域にも配置されました。彼らが派遣されたのはポル・ポト派が支配するまさに「戦場」だったのです。「支給された防弾チョッキは拳銃にしか対応しておらず、そんな装備で普通の農民がAK47という自動小銃を携帯している所に放り込まれた」、「夜には遠くで迫撃砲の着弾音がひっきりなしに鳴り響き、塹壕の中で身をかがめていた」、「自動小銃の乾いた発射音。銃弾が車体をこする高い金属音。車体に銃弾がめりこむ鈍い金属音。窓ガラスが割れる粉砕音。頭上でロケット弾の炸裂音。弾丸が顔の肌を舐めていく。その弾丸の風圧が顔の皮膚に伝わる。」等の証言があります。襲撃を受けた際に殉職された高田氏と同じ車両に乗っておられた方の証言は、もはや戦闘の最前線としか言いようのない激しいものです。
派遣の前提である「紛争地域には派遣しない=派遣先に危険はない」という建前論のために十分な装備も準備されない中で起こった悲劇であったのです。
当時のカンボジアの政治状況から、PKO活動の実態、そして驚くべきことには襲撃した加害者側であるポル・ポト派の元司令官にまで取材をして証言を得ています。現地に派遣された警察官の方々の信じられないほどの責任感、派遣された文民警察官の現地指揮官が部下の安全を案じる苦悩と、建前論に徹する政治家の議論がここまで対照的に、かつしっかりとした裏付けで描かれている本書はハードカバーで400ページ近い大作ですが、是非一読をお勧めします。ここ数年で読んだノンフィクションの中で間違いなくベスト3に入ると思います。
政治家の答弁が「停戦合意は成立している」等の建前論に終始する様は南スーダンPKOの時と全く同じじゃないか、と改めて憤りを感じます。

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Posted by ブクログ 2018年02月12日

どうにも救いのない話… 国内政治や外交において、語られれ国際貢献と現場の落差。完璧に安全であることはあり得ないにしても、あまりにも体制が整っていない中に大した装備もなく投入されてしまう。官僚組織同士の妥協の中で一番犠牲になってしまったのは、未経験ゆえなのだろうか。日本政府の手には負えないものではなか...続きを読むろうかとも思ったりする。

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Posted by ブクログ 2019年03月01日

日本が初めて参加したPKO、UNTAC、明石代表。
断片は覚えていたが、文民警察官の死については
完全に忘れていた。

カンボジア復興を旗印に、海を渡った文民警察官を題材にしたNHK 特集の書籍化。
日本特有の臭い物にはフタ。現場とトップとの意識の乖離。その中で頑張っていた警察官たち。
トップにはト...続きを読むップの行動、考え方があるのは理解するものの、現場の警察官たちのことを考えると涙が出てくる。

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Posted by ブクログ 2018年10月10日

NHKはたまに残しておかなければならない隠された真実を、ドキュメンタリーとして放送することがある。

本書に書かれているのは、日本が初めてPKOに人を出したカンボジア選挙のこと。
そして、その活動中に命を落とした文民警察官の事。
政府、警察組織、そしてそれらに阿るマスコミ達は、カンボジアPKOで何が...続きを読むあったかを覆い隠し真実を語らない。
それは、本書の元となったドキュメンタリーが制作された時点でも変わらない。だから本書には現役警察官の証言は語られていない。
本書に書かれているのは、組織の一員として、現場でないがあったかを隠し続けてきた元警察官、他国の軍人、そして当のカンボジア武装勢力たちの言葉で綴られた、何が為され、何が起こったかと言うストーリー。
それはおそらく、政府の公式報告書には書かれない事。

紛争地域に人を派遣するということはどういうことか、こちらが武装しているとかしていないとか、文民だとか軍隊だとかには関係なく、相手はどう接してくるのか、よく考えた方が良い。
日本は戦争を放棄すると同時に、国際協力を行い、平和を維持する国際社会において名誉ある地位を占めたいと思うと宣言した。

これは、国際協力である国連の活動に積極的に参加するということ。そして、国連は今まさに戦闘が行われている地域に殴り込んで力づくで双方を引き剥がすような活動をも行なっているということ。
その現場に、明後日の方角の議論で無理を押し付けるぐらいなら、名誉ある地位なんか放っぽり出して、撤退したろうが良い。

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Posted by ブクログ 2018年05月19日

読んで良かった。1992年、PKOとしてカンボジアに自衛隊が派遣された時、同時に75人の警察官が「文民警察官」として派遣された。自衛隊は安全な場所に基地が置かれたが、文民警察官は危険な場所に分散して配置され、毎日銃声が鳴り響くような中過ごしていた。文民警察官がいくら現状を訴えても、政府は停戦合意が成...続きを読む立しているとの姿勢を崩さず、薄い防弾チョッキしか用意もさせず、結果、日本人が一人殺され、何人もが重軽傷を負う。人民警察官について他国は検証を行っているが、日本は検証を行っていない。日本は隠す国家なのだと思った。

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Posted by ブクログ 2018年03月10日

 初めて日本が自衛隊を海外派兵したカンボジアPKO。あのとき、文民警察官75名もまた派遣されて、そして一名が殺された。
 派遣のための条件である「停戦合意」が事実上破綻していたのは明白にもかかわらず、政府は都合のいい解釈を続け、国民世論を欺き、したがって撤収することをせず、一名を見殺しにした。現場の...続きを読む隊員からは、実態は内戦状態にあること、具体的な命の危機にさらされていること、そして実際に多くの「事件」(ほんとうは「戦闘」)が起こっていることが報告されているにもかかわらず、「面子」にこだわり、何もしなかった。ほんとうに何もしなかった。そしてそれは、UNTACも同様だった。
 生きて帰ってきた隊員たちは、組織によって声を上げることを封じられた。そして、政府は何の検証もしなかった。なぜ一人の隊員は殺されなければならなかったのか、本来ならば派遣の意思決定ないたる経過も含めて、徹底的に検証されてしかるべきだった。結局そうしなかったことが、今日の例えば南スーダンのPKO問題(現実を直視せず「戦闘状態にない」と、カンボジアのときと同様に強弁を続ける)ことにつながる。犠牲を強いられるのは、いつでも最先端のものたちてある。

 23年の沈黙を破って、元隊員たちが真実を語った。日本の政府、官僚組織がこの悲劇を受けても何も変わらなかった、それが悲しい。

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Posted by ブクログ 2023年03月29日

カンボジアPKOにおける、警察官の死。

ニュースになったのかも、記憶定かでない。

これは、あまりに酷い。
日本が、世界貢献出来るきっかけかどうかは関係ない。いや関係なくはないか。
それは大事だが、だからと言って、現地の危険の「現状」を検証もせず、その覚悟も確認せず、いや、戦地じゃありませんから、...続きを読む突発事故ですからで押し通したPKO上層部の判断はもっと、徹底的に追求されていいんじゃないのか。

自衛隊だけじゃないのか。
つか、お前らには、自衛隊だけだったのか。

そう思ってしまう。
あまりに辛く、それでも責任と責務から逃げようとしなかった日本人。
その現場。

一旦決定すると、方向転換が出来ない上層部。

全く、大戦時の日本軍と同じじゃないか。

NHKよく頑張った。
が、最後の方の構成が今ひとつ。
「最後の言葉」が知りたいからって、全然関係ない、あなたが好きな歌を載せられて、どうしろって言うの。

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