もはや経済小説を超えた!スパイ映画並みのシリアス感!
主人公は『ハゲタカ』に登場した老舗ホテルのオーナー松平貴子。
『ハゲタカⅡ』~『レッドゾーン』の間に起ったパリの一流ホテルの買収をめぐる内紛騒動を描いています。『ハゲタカ』の時と同様に、買収を目論む様々な輩(失礼)から中国当局まで!あらゆる陰謀に巻き込まれる貴子。それでも、タイトルにもある貴子を指す言葉、「ハーディ」(丈夫な、頑健な)の通り、何事も自分で決める強さ、意志が随所にあり、成長した貴子を見ることができます。スピンオフですが『ハゲタカ』シリーズの主人公・鷲津はほんの少し登場します(笑)
また、『ハゲタカ』シリーズは企業買収がテーマの企業小説ですが、本作の特徴としては「スパイもの」といえるほどのスリリングな諜報戦も描かれています(シリーズとしては異色)。そのスパイ映画さながらの活躍を見せているのはもう一人の主人公といっていい、美麗です。鷲津の右腕・アランの恋人であり、中国当局のスパイであった美麗はアランの死の真相を知り、復讐を誓います。復讐のために裏切り、騙し、時には要人を殺害していくその様はまさに、スパイ映画さながらです。
貴子が「陽」であれば美麗は「陰」。対照的だがどこか似ている二人が交差するとき、物語は急展開を見せます!『ハゲタカ』シリーズ初心者にも、スパイものが好きなあなたにもおすすめできる傑作です。
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Posted by ブクログ
ハゲタカシリーズは経済小説のはずです…
本作は経済小説ではなく、中国国家安全部が出てくるスパイ小説の要素もありましたが、簡単に言うと将陽明が松平家(松平貴子ではなく)に恩を返す話であると思います。
Posted by ブクログ
テンポよく話が展開して、サクサク読めるが、終盤に暗殺が多すぎて暗いイメージになった。
続きがきになる楽しさがあり、順番が逆になってしまったが、このハーディからレッドゾーンの順で読めたらもっと楽しめたと思う。
Posted by ブクログ
感想
将はどんだけ鷲津と会いたいねん。ミカドの再生と金色屋の再生の話はどこへ?
途中から中国の政争に。中国以外でもあんなに影響があるのが本当だとしたらちょっと怖い。
ゴタゴタに巻き込まれたけど、貴子としては結果オーライなのか。ホテルマンの精神とは全く関係なさそうだが。
あらすじ
ビーナスグループ内でゴタゴタが発生する中、貴子はミカドホテルの解体を新社長より指示される。貴子は鷲津に助けを求めるも、自分でどうにかしなさいと言われてしまう。
一方、将への復讐に燃える美麗は、ビーナスの社長を失脚させ、将のビーナス買収を明るみに出そうとしていた。将は何としてでも貴子に鷲津を自分のところに来るように言いつける。
貴子は、将を失墜させようとする中国国家安全部との政争に巻き込まれていく。中国国内での争いが激化し、関係者が殺害され、貴子も中国公安部に拘束される。
将は結局、政争に敗れ、日本で殺害され、美麗は記憶を消される。貴子は火中の栗を拾う覚悟でビーナスグループのCEOに就任する。また、将が亡くなる前にミカドグループの権利を取り戻す。