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Posted by ブクログ
愛とは何だろう?と悩み右往左往する主人公、うまく愛を注げずに悲劇に見舞われる主人公、きっとバッドエンドだと分かりながらも愛することを止められない主人公などなど。傷付きまくる不器用な「好き」が飛び交う狂気の短編集。
なかでも印象に残っているのは「新世界」。いわゆる結ばれない運命的なストーリー。ヒロインである「たま子」の、相手から見て恥ずかしいであろう(本当はそんなことないのに)自分の境遇なり世界に泣きたくなる気持ちと、それでもなお自分のことを知ってもらいたいという気持ち。
うまく思うことを伝えられない二人であるが故に、行間から伝わる感情が美しく、それでいて、美しさは必ずしもハッピーエンドを約束してはくれない。
「不器用で切ない」(裏表紙より)物語を娯楽として受容できるほど、私は成熟できていないのかもしれない。この小説を読んで思ったのは、そんなこと。