あらすじ
「これは貸しだからな。」謎の言葉を残して、債権回収担当の銀行員・坂本が死んだ。死因はアレルギー性ショック。彼の妻・曜子は、かつて伊木の恋人だった……。坂本のため、曜子のため、そして何かを失いかけている自分のため、伊木はただ1人、銀行の暗闇に立ち向かう!第44回江戸川乱歩賞受賞作
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池井戸さんのデビュー作で、江戸川乱歩賞を受賞した作品。銀行マンの経験をミステリーに活かした内容。
次々と人が亡くなり、病死や自殺と思わせるが他殺であり、ただ世間には他殺と出回らない。銀行マンの伊木は警察に疑われながらも真実に近づいて行く。派閥や出世争いの激しい銀行内部の動きとともに、融資先の会社を通した熾烈な覇権争い。のちの半沢シリーズや下町ロケットなどの作品につながる原点の作品。
ミステリー色が強く、色々起きる事件とともに楽しめた。
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池井戸潤デビュー作
「最後に一つだけ、教えてもらえませんか。信越マテリアルから技術者を引き抜いてるというのはなんという会社ですか」
「社名は──株式会社テンナイン。代表取締役仁科佐和子」
109──あれはテンナインと読むのではないのか。
「つまり、99・9999999999パーセントのことをテンナインっていうの。半導体でいうと、シリコンウェハーの材料になる単結晶シリコンは高純度でなければならないわけ。そのメルクマールがテンナインなの。
東京シリコンが割引に持ち込んだ手形はすべて信越マテリアルが振り出した実体のない手形だった。しかし、その代金は信越マテリアルではなく、仁科佐和子という女性に振り込まれていた。
形もなく、概念もないもの。あるのはただ、醜い思念のみ。まさに暗渠だ。魂の深淵、果つる底なき暗澹たるもの
「これは貸しだからな。」謎の言葉を残して、債権回収担当の銀行員・坂本が死んだ。死因はアレルギー性ショック。彼の妻・曜子は、かつて伊木の恋人だった……。坂本のため、曜子のため、そして何かを失いかけている自分のため、伊木はただ1人、銀行の暗闇に立ち向かう!第44回江戸川乱歩賞受賞作
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池井戸先生の著作は半沢シリーズをはじめとして多くの作品を読んできたが、デビュー作の本作は未読のままだったので、この機会に読むことができて良かったと思う。
読む前に思っていたのは、大企業で生きる主人公のキャラクター作りは上手く、それなりに読んで面白いと思うことになると想像していた。しかし、推理小説という点では、どれぐらいの力量を発揮するのか、皆目見当がつかない状態だったので少し不安な点もあった。
だが、読んでみると、本作は想像をはるかに超えるほど面白かった。懸念していたミステリー要素も雑に扱わずに念入りに話を進めて、読者に飽きさせないように終始徹底されていた。
一つだけ気になったというか、想像できていたのだが、主人公がほぼまんま半沢直樹だったという点だけかな笑
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面白かった。銀行を舞台にしたお仕事小説としても興味深かったし知らないことも多かった。渋谷の街並みも目に浮かぶよううだったし半導体のところも自分としては懐かしい思いだった。真相を追う伊木を応援したくなった。次々と死人が出るのは現実味がない気がしたけどハラハラドキドキ最後の最後まで黒幕は分からなかった。元銀行員の著者だからこその銀行内のアレコレ描写がリアルで楽しめた。
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池井戸さんの著作を一から読み耽て見たいと思いデビュー作を拝読。身体衰弱の状態で異父兄弟にすぐ気づくか!?とツッコミたくなる点もあった。
池井戸氏の著作は複雑なストーリながらもサクサクと読み進められる簡明さが伴っている。ドロドロした部分は極端な例だが職業図鑑的な要素があって面白い。次は半沢直樹シリーズを繙きたい。
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池井戸潤のデビュー作。江戸川乱歩賞受賞、1998年出版。
この人、最初からすごいんだ!と驚いた。
デビュー作ってことは、書いたときは素人。なのに序盤から本業の作家とした思えない水準の読み応え、引き込まれまくる。
池井戸潤の真骨頂、銀行内部の情報はやはりすごくリアル。それだけじゃなく、ミステリーとしても面白かった。
後半、真相が明かされていく過程のところがやや理解しづらかったり、前半に出てきていた登場人物が名前だけ出ても誰だかすぐに把握できなかったりといった、若干の読みづらさは感じた。でも大した不満ではない。
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よくも銀行と企業を舞台にここまで深く情景から心情から書き出せるなと。読み終わりの、自分の息が切れる感じ、知らないものへの興味、何人もの登場人物が1人も欠けてはならない充実さ、なんとも言えない満足感である意味驚きが湧く感情で、ほんとに面白かった。
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とても面白かった!前に読んだ鉄の骨よりも展開がスムーズで楽しく読ませて頂きました。とくに最後の〆の文章が個人的には好きでした!ありがとうございました!
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池井戸潤のデビュー作。
銀行にまつわる話の中で、周りの登場人物がどんどん死んでいく。。。
これはこれで面白いが、ミステリー要素が強いと銀行のドロドロ感はその分薄まってしまう着はする。
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池井戸潤さんの作品は初めて読んだけど銀行用語が多くて一般人には難しくスマホ片手に読みました
登場人物のキャラ立ちがあんまりされていない中どんどん人が死んでびっくり
主人公が真実に一歩ずつ近づくところはハラハラ面白かった
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人死が出る半沢直樹だった。
銀行員である主人公の伊木。彼の同僚である坂本が急遽、死亡したという事から物語は幕を開ける。
巨額の債権、不渡倒産の会社、それにまつわる人々。なかなか全貌を見せない深い闇に向かい、その果つる底なき底に落ちていく。
という感じのあらすじ。
ミステリーをあまり読まない自分にとっては、殺人の方法やトリックが、なんとなく現実離れしすぎている気がしていたが、とにかく先を読ませる展開が凄まじく、最後まで退屈しない作品だった。
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銀行とミステリーを掛け合わせて、非現実と現実を右往左往させるような小説だった。終わり方が少し不完全燃焼だったが、そこがミステリーとしての作品の価値を上げているのかなぁ
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安定の銀行ミステリーです。ただ、今回は主人公の友人の不可解な死からスタートします。使途不明金や左遷人事からスタートしがちな池井戸潤のミステリーですが、その意味で今回は所謂定番ミステリーが銀行という舞台で行われている点に違いがありました。
正直、企業間・企業銀行間の取引や資金繰りの仕組みが難しかったです(笑) 登場人物も多く、それぞれの立場や関係がミステリーを解く大きな鍵になっているので、読みながら情報を処理していくのが中々大変な印象でした。
それから、本作では主人公が銀行(組織)にあまりいない、どこかうだつのあがらない人であったこと、主要人物がみな似た孤独を共有していたことも特徴のひとつだと思います。
心情と経済と思惑の絡み合った本作を推理するのは非常に骨が折れました(笑)
Posted by ブクログ
ぐるっとまわってデビュー作。
のちの作品につながるような雰囲気を感じる作品だった。
最初に出たのが1998年とあったので、30年近く前と思うと古い感じがしなくて面白かった。
「ようこそ、わが家へ」に近いかな。
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半沢直樹が代表作になった池井戸潤先生のデビュー作。銀行の取引の裏に黒幕がいて不正な金が流れ、それを知ってしまった同僚の不審な死をきっかけに主人公が闇を暴いていく、というサスペンス王道のストーリー。銀行・金融のどろどろした駆け引きが中心かと思っていたが、黒幕と直接対決して拳で解決したり、トラック事故で社会から消されそうになったりと、割と露骨な暴力による解決が見られるのが逆に新鮮だった。
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まぁまぁ面白いんだが、ちょっと辛気臭い。
著者の作品では『下町ロケット』の印象が強いだけに、ちょっと思っていたより読後感もスッキリしない。
しかし、決してつまらない訳ではない。
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古本市で見かけて、作者名と『江戸川乱歩賞受賞作』に惹かれて購入。
池井戸潤の作品にしては、少し雰囲気が違うなと思いながら読んでいて、読み終わってからデビュー作だったことを知った。
銀行員だった作者自身の経験を活かした、企業融資にまつわる悪事だが、派手な事件で何人も人が死ぬ展開に驚いた。暴力シーンがけっこうあり、ちょっと苦手だった。
大勢死んでいるし、あまりスッキリする読後感でもなかったが、スピーディーな展開で面白かった。映像化にむいてそうなので、ドラマ化されたと知って納得。
Posted by ブクログ
大分初期作品のようで、携帯電話も出てこないし、パソコンも古いし、ビデオデッキが現役。それが日本製半導体が斜陽になりつつあった時なのかな。
バッタバッタと人が死ぬ。その割には主人公は体力モンスターかつ不死身。
人が死ぬような交通事故の当事者なのに事故車のままお家に帰れないと思う…
銀行マンというか、エリートの世界を覗けて面白いけど、スカッとはしない。
Posted by ブクログ
池井戸潤シリーズから初のミステリー小説。
池井戸さんの世界観と緻密に練られた構成、また金融業界ならではの展開に面白さを混じる一方で、
ミステリー小説専門の作家よりもやや驚きに欠けるのも正直なところ。伏線の回収も少し粗い気がしたが、ある程度の期間が空けばリピートしたい本の一つである。
Posted by ブクログ
類似業界の4年目社員として、
20数年で大分デジタル化したんだなと思った笑
下町ロケットみたいな読みやすさとワクワク感は無いけど、物語に知らず知らずに引き込まれてく感じ、良い。
黒猫のサキが印象的かつ効果的だと思った。
池井戸潤作品他も読みまくろーっと。
Posted by ブクログ
著者のデビュー作とは知らずに手に取りました。テンポよく、先が気になる展開で、ついつい手に取り、あっという間に読んでしまいました。
読み終えたあとのスッキリ感は、、、他の作品に比べて少ない…かな?
Posted by ブクログ
半沢直樹のような痛快でサラッと読める作品と予想していましたが、まさかの銀行を舞台にした読み応えのあるミステリー小説でした。
長めの小説だと途中でだいたいダレることがありますが、展開が早くサクサク読めました。
銀行の専門用語や登場人物の利害関係がちょっと難しかったかな。。。
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時間かけてゆっくり読んでいたら登場人物がわからなくなってこの人誰だっけ?ってなってしまった。
ちゃんと集中して読んだら多分面白かった。
でも半澤シリーズが好きです!!
Posted by ブクログ
ひやおろしが出て来る季節になりましたね♪
ってな事で池井戸 潤の『果つる底なき』
池井戸さんらしい銀行ミステリー、銀行ハードボイルド♪
ちょっと異端な銀行員の伊木遥の同僚坂本が朝に『これは貸しだからな』と謎の言葉を言い残し、その数時間後に営業車内で遺体となって発見された……。
伊木は坂本の死に不審を抱き色々と調べて行く内に、深く見えない闇へと嵌って行く……
いや~、面白い!初っ端の謎から段々と解明されてくる謎とそれに関わる人物と関係。
殺人まで無いと思うけど、銀行内や関係会社等に於けるお金のやり取りの仕組みや、闇なお金の作り方の勉強になりますよ(笑)
2016年39冊目