【感想・ネタバレ】闇に香る嘘のレビュー

闇の中、真実に辿り着けるのか!
第60回江戸川乱歩賞受賞作。全盲の村上和久は孫に自分の腎臓を提供しようとするが状態が悪く適さない。兄である竜彦に提供を訴えるも拒否され、次第に兄は偽者なのでは?と疑いはじめる…。
視覚以外の描写が続くため、急に襲われたりしたら?今話している相手は本物なのか?と、読者自身も闇の中にいるような恐怖や不安に襲われます。
中国残留孤児という難しい問題を随所に挟みながらも、見事に伏線を回収する爽快感のあるラストに「やられたっ」と思うはずです!闇をイメージさせるようなブックカバーも素敵です。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

視覚障害のある主人公。満州での戦争で幼少期に低栄養が続いたせいでの障害だったが、盲目になると家族に助けてもらってることも当たり前になってしまい、目の前の人に対しての感謝の気持ちもなくなり、当たり散らしみんな離れていった。視覚障害になり、常闇になり後悔や不安で支配されそうな気持ちの描写もありよくわかった。障害があろうとなかろうと、周りの人が気を遣ってくれること、手を差し伸べてくれたら、当たり前のことではないのだから、感謝の気持ちは忘れてはいけないなと思った。

孫の腎臓移植できる親族を探し求め実家に帰ったが、実家にいる中国残留孤児(中国に残された日本人)として、20年以上前に帰国した兄が頑なに検査を受けてくれず偽物と疑っていた主人公。

なにも見えないからこそ、一つ一つが全て悪い方向に考えてしまう描写もリアルだった。

色々調べまわっついるうちに自分自身が本当は血が繋がっていないと知るが、それを知らないよう、アイデンティティを壊さないよう、母も兄も
隠し通そうとしたこと。それは家族として、子を弟を悲しませたくないという愛のもと、細工されていた。

戦争時は国同士は敵だが、人の個としてみると、日本人、中国人関係なく、自分の子供ではなくても、兄は親切な中国人夫婦に、主人公は捨てられそうになってた中国人から、日本人に助けられ、兄弟だが、2人とも生みの親と育ての親は違った。
日本人だから、中国人だから、とはなにも関係なく、他人の子供でも自分の子供として育てたどちらの親の慈愛に頭は上がらない。

戦争時ははとても悲惨で悲しみを生むだけだが、それに負けず、誰かを助けようとする人達もいること。血は関係ない。絆の方が強い。

最後に主人公と育ての親の兄、実の双子の兄、娘、孫とみんな揃って家族愛に包み包まれて幸せに暮らしてほしいと願う内容でした。

改めて今いる自分の家族に感謝して生きていこうと思い涙した。

0
2024年05月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最初に思っていた結末と全然違う結末だった。
点字の謎も面白かったが、全体的なストーリーを通しての謎解きのような感覚が面白かった。
2人の兄を疑い、真実を知り、家族としていい結末になるようにする、この筋書きがとてもスルッと入ってきた。
結果全てが上手くまとまるストーリーでした。

0
2023年01月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

目が不自由な主人公が謎を解く小説は初めて読んだので新鮮でした。
一見単純なトリックでも主人公は視覚以外の情報を頼りに行動するので他者の言葉が全て本当なのか、気配を消した誰かがすぐ近くにいるのではないか等、読み手にも主人公の緊張感が伝わってきて面白かったです。
視覚から与えられる情報を含まない分、ミステリーが単調化するのではと読み始めたときは思ってましたが、ストーリー自体が(主人公が視覚障害者であるため)ゆったりと進行するため十分だと思います。
点字を使ったトリックは普段から点字を使用してなければ理解できない分、著者の発想の素晴らしさを非常に感じる作品でした。

0
2023年12月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

中国残留孤児の話が重く序盤は読み進めるスピードは上がりませんでしたが、中盤から終盤にかけてはあっという間に読み終わりました。
伏線もとても綺麗に回収されています。


序盤はほんとに重苦しい雰囲気が伝わってきますが主人公の心の変化とともに物語も明るいものになっていきます。その過程と結末には感動しました。



久々にハッピーエンドの作品を読んで清々しい気持ちです笑

0
2021年10月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

兄ではなく自分が養子で中国人だったのか。
久しぶりのどんでん返しだな。
戦争時のことや残留孤児のことなど
知らないことがたくさんあったから勉強になった。

0
2023年05月19日

「小説」ランキング