あらすじ
20XX年、凶悪犯は手術で動物に改造されていた。改造センターの監視員ザムザがたどる戦慄の運命を描く衝撃作「ザムザ復活」をはじめ、手塚治虫が自らの作品の大きな要素のひとつと認める「変身=メタモルフォーゼ」を主たるテーマとして編んだ、傑作短編集! <手塚治虫漫画全集収録巻数>『メタモルフォーゼ』シリーズ(手塚治虫漫画全集MT88『メタモルフォーゼ』収録)/『インセクター』(手塚治虫漫画全集MT284『サスピション』収録)/『インセクター 蝶道は死のにおい』(手塚治虫漫画全集MT284『サスピション』収録)/『夜よさよなら』(手塚治虫漫画全集MT325『夜よさよなら』収録)/『ダリとの再会』(手塚治虫漫画全集MT128『タイガーブックス』第8巻収録) <初出掲載>『メタモルフォーゼ』シリーズ月刊少年マガジン掲載(「ザムザ復活」1976年5月号「べんけいと牛若」 1976年6月号/「大将軍 森へ行く」 1976年8月号/「すべていつわりの家」1976年9月号/「ウオビット」1976年10月号~11月号/「聖なる広場の物語」1977年1月号)/『おけさのひょう六』1974年4月21日号 週刊少年マガジン掲載/『インセクター』1979年4月8日号 週刊少年マガジン掲載/『インセクター 蝶道は死のにおい』 1979年5月27日号 週刊少年マガジン掲載/『夜よさよなら』1985年7月31日号 週刊少年マガジン掲載/『ダリとの再会』1982年3月31日号 週刊少年マガジン掲載
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Posted by ブクログ
メタモルフォーゼ
「すべていつわりの家」が圧巻。何よりも戦争と核兵器を憎み、神仏をも恐れなない手塚の真骨頂。
手塚は平和の問題でハッキリものを言うだけでなく、収入源の漫画作品、表現領域として大切にした芸術領域のアニメーション(手塚の言う実験アニメ)、その両方で、戦争や殺人兵器を賛美する作品は作らず、それら作品で積極的に戦争、核兵器を批判し、おちょくった。「すべていつわりの家」はそのエッセンスであると思う。
全面核戦争のただ一人の生存者である少年を引き取り育てる悪魔夫妻のまだ若い奥さんの神に対する言い分「あんなものに・・・」が凄く冷めている。戦争で酷い目に逢った人でないと書けないと思う。
補遺
「ロボット、異星人、悪魔、魔女、異形、政治犯・・・そう蔑まされた、人間扱いされない、最も虐げられた人々こそ最も優しい美しい心を持っている。」これが手塚治虫の思想だと思う。
手塚は幼少時から宝塚歌劇に入り浸る程の筋金入りのお坊ちゃんの出だったが、戦後一貫して虐げられた庶民の語り部だった。
この辺はやはり筋金入りのお坊ちゃんの出、つまり世襲の大工場主であったが、虐げられた人々の側に立って奮闘した、エンゲルスに似ていると思う。
クチでは戦争反対、環境保全を言って見せるが、その作品で腹の底では戦争や殺人兵器が大好きな事を正直に表現している宮崎某とは大違いである。