あらすじ
安渓村の水華は、今年もまた父兄につれられて紡ぎ場に向かう。一個の繭から、太すぎず、細すぎず、より均一で長い糸を生み出すのは、なかなか難しい。水華は丁寧だが仕事が遅く、監視官からいつも注意をうけていたのだ。ある日、紡ぎ女たちが一斉に工場長に呼び出される。そこに現れたのは、白国の若き皇帝だった――。
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Posted by ブクログ
ライトノベルだけど、そこまで「ライトさ」はないように思う。
特に紡ぎ場での少女達の過酷な作業の描写は、時代小説を読んでいるような重みでリアルに感じられた。
最初の印象では水華は晃成と良い雰囲気になるのかと思いきや、まさかの王。
傍若無人で暴君のこんな嫌な男なんてありえないと、水華との対面シーンでは思ったけど。
知れば知るほど憎めない、意外と可愛い奴かもしれない。
王のその切り捨てていくような厳しさも、周囲に渦巻く悪意や育った環境ゆえだと思うと悲しくもある。
宮で機織りをしている水華と、その音を聞きながら体を休める王との間に、静かに流れていく時間が心地良い。
とんとん、からり、とん、からり。
絵も綺麗だし、続きが気になるシリーズ。