【感想・ネタバレ】協力と裏切りの生命進化史のレビュー

ユーザーレビュー

感情タグBEST3

感情タグはまだありません
ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年12月22日

面白かった。単細胞生物から人間に至るまで、生命進化に共通したパターンを「協力」「複雑化」「裏切りとの戦い」に着目し考えていく。
で、次の進化はどのような形になるんだろう。と思いを馳せたところで、全然関係ないけどなんとなく『幼年期の終り』を連想した。

あとがきで進化を研究する事の価値を語る著者の「...続きを読む先祖から受け継いだ本能に従うも従わないも私たちの自由です」「生命の進化の歴史をよく理解することによって、はじめてそこから自由になれるのです」という姿勢、すごく好き。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2019年12月26日

より複雑な生命には協力が必要。分子レベル、細菌レベル、細胞レベル、血族レベル、社会性と多段階での協力とそれによる進化について説明。その中の裏切りがもたらす進化についても述べていた。多様性と協調性のバランスが大事なのだと思った。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2019年11月09日

ヒトは協力関係を発展させて生存競争を勝ち抜いてきたから、脳は協力を好むように成形されている。だが協力しない裏切り者にも進化を促す役割がある。公的年金に加入しない若者の増加は、年金制度の見直しを促すきっかけにもなると著者は評価する。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2019年06月09日

「進化生物学」という領域があることは知らなかった。こんな幅広い知見を総合的に分析するとは凄い。本書を読み、生命と進化の謎がクリアに理解できたように思えた。
領域を超えたトータルな知見を鳥瞰するかのような本書の内容は、実に知的好奇心を刺激してくれる。
著者は「わかりやすさを第一に考えた」というように、...続きを読む一般人の小生でも興味深く最後まで読むことができた。
ただ終盤の社会学関係の考察について「進化的宿命」と言ってしまうことにはいろいろ議論があるだろうとも思えた。
内容は専門的でありながら、読み易くわかりやすい本である。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2019年05月13日

地球外生命も含めてNASAでは「生命」を「自律的で進化する能力を持つ複製システム」と定義しているという。現時点でわかっている範囲で、地球の「生命」はすべてDNA/RNAを持ち、そのシステムの中で特定のアミノ酸を使って作られている。これはそのシステムが生命の定義を満たすということであり、それ以外のシス...続きを読むテムが地球にはないことは、生命の定義を満たすシステムは、そうは簡単にはできあがらないということも示している。
著者は、この生命の誕生から、その後の進化、人の心まで含めて生命の進化は「協力」という共通のパターンにしたがっているという。具体的には、①分子間の協力による最近の進化、②細菌同士の協力による真核細胞の進化、③真核細胞同士の協力による多細胞生物の進化、④多細胞生物間の協力による社会性の進化、というように「協力」によって進化が次の段階にステップアップするというのが本書の組み立てである。

ちなみに「進化」は、非生命であっても、①複製すること、②変異が起こること、③選択が起こること、という条件を満たせば発生する。しかし、非生物の「進化」においては複雑性が増えないといういう。このことは複雑性の科学が重要であることを示すひとつの証左だろう。この辺りはスチュアート・カウフマンの『自己組織化と進化の理論』なども含めて理解しておきたい。

第2章の生命誕生から進化の物語は、ニック・レーンの『ミトコンドリアが世界を決めた 』 、『生命の跳躍』、『生命、エネルギー、進化』に書かれていることとおよそ大きくずれるところはない。熱水噴出孔の近くで最初の生命が発生したという推定も同書に共通している。おそらくは、これが現時点での学会での共通理解であるということだろう。本書の内容はざっくりと生命進化の内容を知るには手ごろだが、もし、もっと詳しく知りたいということであれば、ニック・レーンの各書を薦めたい。

著者は、生命の進化を知ることが何の役に立つのか、ということに対して、「私たち人間が生命進化の歴史の大きな流れの一部だとわかること」だと答える。
逆に言うと、「一部に過ぎない」ということである。著者は留保を付けずにこれを良いことと捉えているようであるが、これを慰めと見るのか、僥倖と考えるのかは人それぞれであろう。
生命の進化だけではなく、宇宙の成り立ちを知ることも同じことが言えるだろうし、量子論を知ることもそうだと言えるし、脳神経科学を知ることもそうだと言える。ベストセラーとなった『ホモ・デウス』の中でユヴァル・ノア・ハラリが「科学革命によって、人間は力と引き換えに意味を放棄することに同意した」と語ったことと同じことを言っているとも言える。『ホモ・デウス』では、それ以前には「宗教」が「意味」を与えていたが、宗教がそれを与えることが難しくなった後、「意味」がないことに耐えられなくなった人間は人間至上主義を発明した、と続き、その人間主義ももうすぐ有効性を喪失するかもしれない、と主張される。そのときには「プログラム」が新しい視座を与えることになると予言するのである。
著者も、次の新しい段階への進化が「プログラム」によって発生する可能性について触れている。そこでも、底に流れる「協力」とは良きことだという楽観的な思想があり、「プログラム」との間も「協力」によって良きものとなる、という結論にあっさりと落ち着く。よくまとまった本で、「協力」と「裏切り」というキーワードで「きれいに」まとめられた本だが、もう少し戸惑いや畏れが見えればより深さが出るのではと感じた。著者もおそらく、生命に畏れは感じているはずだから。


なお著者は、巻末に生命の起源や進化について読むべき本として、
『アストロバイオロジー 地球外生命の可能性』 山岸明
『生命と地球の歴史』 丸山茂徳、磯崎行雄
『生命の起源はどこまでわかったか - 深海と宇宙から迫る』高井研
『宇宙からみた生命史』小林憲正
を挙げる。また影響を受けた本として、
『進化する階層』ジョン・メイナード・スミス
『銃・病原菌・鉄』ジャレッド・ダイヤモンド
を挙げている。
ニック・レーンやユヴァル・ノア・ハラリの名前も挙げられてもよいと思うのだが、読んでいないとなると不思議だ。読んだ上でこのリストに挙げていないのであれば、それはそれで不思議なのだが。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2021年03月05日

本書は「生命とは何か?」という大きな命題が与えられた後に,生命が進化のプロセスの中で「協力」と「裏切り」をどのように繰り返してきたのかが分かりやすく記載されています。そして,協力と裏切りの間から,如何にして「進化」が生じてきたのかを理解することができました。

進化といえば,ダーウィンの提唱した「進...続きを読む化論」が非常に有名です。しかし,ダーウィンのいう「適者生存」というプロセスは何も生物に限られる必要はないのだそうです。進化を起こすためには三つの条件があります。

複製をすること
変異が起きること
選択が起きること

現代の科学技術を用いれば,非生命でありながら進化をする能力を持つものを作ることができるのだそうです。それがシュピゲルマンモンスターと呼ばれるものです。この怪物は,現在コロナのワクチン製造で非常に注目されている RNA が元になっています。

研究の結果, RNA の複製反応を長期間繰り返すことによって RNA の中に含まれる遺伝情報がいくつか変異することが確認されたそうです。そうして変異前の RNA に比べて1000倍も早く増えるような RNA に進化したことが確認されたのだそうです。驚愕ですね。

つまり著者らの研究は,生き物のような遺伝子を持つ RNA が情報を失うことなく,進化をしたという非生物の進化を証明したと言えるのかもしれません。しかしこうした非生命の進化は,私たち生命が進化してきたプロセスと質的な部分で大きく異なっているのだそうです。

生命の進化はその長いプロセスの中で徐々に複雑化する方向に進み,より多くの機能や組織が進化していくという特徴があります。しかし RNA などの非生物の進化のプロセスは,複雑化が起こることはないのだそうです。むしろ進化するにつれて機能が減っていきより単純な複製へと向かってしまうのだそうです。

それではなぜ生物が進化をすることができたのか。ここには生命の進化に共通した協力というパターンが根付いたことによっています。加えて,裏切り行為が協力をさらに複雑化させる加速要素となっているようでした。このように,生物とは生命の誕生から一貫して協力関係を発展させることによって,その生存競争を勝ち抜いてきたと言えます。協力の本来の効果は,分業して一人ではできない価値を生むことです。

DNA や RNA といったマクロな世界の生命の進化からスタートして,人間の社会に至るまで,なぜこのように生物が複雑化してきたのか?を「協力関係」と「裏切り関係」のカクテルからよく理解できたように思います。特に細菌より前に存在したはずである原始生命体の謎はまだよくわかっていないという点は,以前読んだ書籍(深海ー極限の世界)との内容と強くリンクしたように思います。とても興味深かったです

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2019年10月21日

生命が進化するのは、互いに協力し、時には裏切った結果である。

細胞でも生物でも、協力することで自分にはない能力を補い、自分にある能力を伸ばそうとする。それが進化のメカニズムだ。逆に協力関係が何世代も続いていると、時にその協力をブチ壊す裏切り世代が現れる。が、その裏切行為に反発・予防しようと、さらに...続きを読む自分の能力を高めようとして、さらなる進化が促されることがある。

こうした協力と裏切りが繰り返された生物進化の中、頂点を極めたのが我々人間。人間ほど協力し合う生物はいない。チンパンジーだって自分以外のチンパンジー、それが家族だとしても、無償の施しや助け合いをすることはない。

「協力」というDNAを持った人間が生物進化のチャンピオンになったのは必然だ。だから、進化したいのであれば、人間はもっと助け合おう。という、生物学者らしからぬスピリチュアルな結論で著者は本書を締める。

このレビューは参考になりましたか?