あらすじ
都の片隅にある春霞宮。公主の彩華は、献上された珍獣を世話しながらひっそり暮らしていた。そこへ新皇帝・朗清がやってきて「無駄だ」と取り潰しを宣言! 先帝の悪政により国庫が逼迫しているという。何とか撤回してもらおうとする彩華だが、一部の珍獣を『吉兆を告げる瑞獣』と勘違いされ大騒ぎ!! しかも皇帝としての権威付けのため、瑞獣と共に後宮入りを命じられて……? 珍獣が国を救う、もふもふ中華ファンタジー!!
●書き下ろし短編「春霞宮、犬の不満」&「特別公開・キャラクターラフ」を収録!
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Posted by ブクログ
後宮モノもバリエーションが増えている。もっともこれを書いている時点では出版は既に3年前だが、いつのまに飼育員系公主なんてものがいたのか。
出てくる動物は世界各地津々浦々の動物たちで、漢字表記で一瞬戸惑うが馴染み深い動物たち。かつては江戸の見世物小屋にもアフリカの動物さえいたというのだから中華にはもっと様々な動物がいたのだろう。
双頭の蛇にニシキヘビ、レッサーパンダとパンダなど、時代が時代なら珍妙な動物たち。
確かに縁起物だと思える。
さて、公主の彩華は世間知らずでこそあれ礼儀知らず、また常識知らずでもない好感の持てるまっすぐなヒロイン。実際無血開城してしまったんだし、戦乱の気配が薄い遠戚の公女であれば戦に対しての意識などこんなモノだろう。
皇帝も実利を重んじるものの話の分かる武官系。考えを受け入れる若さも柔らかさも持ち合わせていてなかなか良い。
終盤のもふもふ大乱闘はカタルシスたっぷり。ゆき哉先生のイラストが挿入されているのだがライオンと虎に混じって子パンダが吠えてるのが面白おかしい。この辺は男心をくすぐられる。でも角川ビーンズ文庫でくすぐるのが男心でいいのか?
続刊出てないのは残念。