あらすじ
20世紀前半にロンドンの大銀行の貸し金庫に預けられた謎の回想録。その執筆者はセバスチャン・モラン大佐――ジョワキ戦役の英雄で賭博狂の大物ハンター、そして犯罪王モリアーティの右腕として活躍した傑物であった。犯罪商会(ザ・フアーム)の首魁として様々な犯罪のコンサルティングをこなすジェイムズ・モリアーティが相対してきた個性豊かな犯罪者たちと怪事件。世紀の悪党たちの知られざる活躍を、大胆な発想と魅力的なキャラクターをもって描いた、〈ドラキュラ紀元〉クロニクルで熱狂的支持を受ける博覧強記の著者による破格のホームズ・パスティーシュ。
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Posted by ブクログ
ホームズの宿敵モリアーティ教授の活躍を描いたモラン大佐の手記、という形のホームズパスティーシュ。
犯罪者に計画や助言を与える教授のもとにはさまざまな事件が持ち込まれるが、依頼人も悪党なので一筋縄ではいかず、モランも翻弄されることになる。
上巻には4つの事件が描かれており、どれも元祖ホームズを知っているほどにニヤリとすること間違いなし。
ホームズに出てくるモリアーティは冷酷無比な悪の権化というイメージだったが、この作品ではけっこうお茶目で笑える。気に入らないやつを破滅させるために、他にもっと簡単で安価な手段がいくらでもあるだろうにものすごく手の込んだ茶番を仕掛けて、自分も小芝居に参加するとか。
モランの手記は(イートン校出身だから?)回りくどい言い回しが多くて、慣れるまでたいそう読みづらかったが、彼の教授に対する複雑な想いがにじみ出ているのがよかった。「冷血な哀愁の狂人」とか言ってるし。
上巻ではホームズは登場しないが、下巻ではやはり滝の話で終わるのかどうか楽しみ。