【感想・ネタバレ】NHKラジオ深夜便 絶望名言のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

見たことのなかった世界を見た。
絶望する境地は、普通は個人がたった独りで体験するもの。それを複数人で共有するという、新しいものの見方。
絶望は誰も体験することなのかもしれない。
その時はいつも独り。周りは暗闇の中。
なのにそこで語り合う。先人たちの残した言葉。
絶望の中でつぶやいた心の闇を絞り出す言葉に共感しつつ、語り合う世界。 初めてみた世界だった。今までに見た太宰も芥川も、みな独りで語っていた。それを個人で読者は味わっていた。

深夜便にも興味を持った。

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2022年12月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

絶望している時こそ絶望名言を、という考え方が健康的だなと思った。
特に好きだった名言は
「人間は昼と同じく、夜を必要としないだろうか。」(ゲーテ)
「あの人の弱さが、かえって私に生きて行こうという希望を与える。」(太宰治)

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2022年10月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ラジオ深夜便で放送してたのを書籍化したもの。
ラジオを聴く習慣がなく、夜に聴きたくないというのもあって本を購入。
いわゆる文豪さん的な人の言葉や小説からネガティブな言葉を集めてそれについて対談を行うという形式。


この本では、カフカ、ゲーテ、ドフトエフスキー、シェイクスピア、太宰治、芥川龍之介、とぱっと見それっぽいような方々が選ばれてます。著者の専門である第1回目のカフカは揺るがない。この人が最初じゃなくて誰が最初だ(笑

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2021年06月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

NHKラジオ深夜便で放送されていた「絶望名言」という番組を、ほぼそのまま収録したのがこの本。2016年と2017年に放送された内容が掲載されてます。
このラジオ番組自体は聞いたことがないのだが、調べたらなんと今(2019年6月)も定期的に放送しているらしい。それだけ要望が高いということなのでしょう。

一般的に「名言」というのは希望や夢を持たせるような、あるいは人を奮い立たせたり勇気づけたりするような、そんな言葉。でも、そんな燦然と光り輝く言葉が、眩しすぎて口に出したり心の支えにしたりするには重すぎることもある。そんなときには、絶望を表現した言葉の方がストンと腑に落ちたり、つらい気持ちに寄り添ってくれたりすることがある。

そんな視点で、実際に13年間、難病で苦しみ続けた文学紹介者(頭木氏)と、脳梗塞で倒れリハビリを経験したNHKアナウンサー(川野氏)が、有名作家たちの残した言葉や作品から「絶望」を拾い上げ、それについて語っていく。面白い切り口です。

取り上げられている作家は、頭木氏曰く「絶望名人」のカフカを筆頭に、ドストエフスキー、ゲーテ、太宰治、芥川龍之介、シェークスピアと、錚々たる「絶望のプロ」達。ゲーテだけはあまり暗い人生を送った人という印象がなかったのだが、読んでみると意外と(というか生きている生身の人であるからには当然に)絶望を感じるエピソードがたくさんあったのだと気づかされ、雑学としても面白い。

しかしまぁ、ものの見事に出てくる名言がどれもこれも絶望的です。かといって読後に暗くなるわけでもなく、むしろすがすがしくなる。絶望すること、不安に思うこと、落ち込むことを悪いこととせず、気持ちを立て直そうと努力したり無理をしたりせずに、時と場合によってはそのまま倒れててもいいじゃないか、という頭木氏と川野氏、そして文豪たちの声が聞こえてきそうな感じ。

いろいろな絶望名言を読んでみて、一番心惹かれたのはカフカと並ぶ我が国の絶望名人(この本ではそうは書いてないけど、そんな雰囲気がある)、太宰治が『人間失格』で書いた言葉。

「弱虫は、幸福をさえおそれるものです。
綿で怪我をするんです。
幸福に傷つけられる事もあるんです。」

書いた本人は真剣かもしれんけど、頭木氏も本書で言っているように、「綿で怪我をするんだから、もうどうしていいかわからない。もう他にくるむものがない」というのがまさにその通りで、ここまでくると絶望的な言葉のはずなのにちょっと笑えてくる。
そういうおかしみというか、楽しさを文章という形にして表現できるのだから、やはり文学史に名を残す作家というのは、美しい文章を生み出せる凄さがあるのだということをしみじみ感じます。

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2019年06月27日

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