あらすじ
那須高原麓にある老舗「パン・アキモト」が1996年に発売した「パンの缶詰」は阪神・淡路大震災の被災者の声から生まれた。防腐剤無添加で3年間保存が可能な「奇跡の缶詰」として、全国から注目を集めている。秋元社長は、災害が起きると国内外問わず、企業、学校、自治体、NGOなどと連携をとり、「パンの缶詰」を無償提供し続けており、被災地では、この「パンの缶詰」は必須の保存食として活用されている。さらに「パンの缶詰」の特性を生かして、海外の飢餓地域を救う仕組みまで作りあげたという。
本書は、社長や働く社員、さらに協力を惜しまない企業、学校、NGOへのインタビューを通じ、様々な組織や人々とともに社会に貢献するという「これからの働き方」を示す感動のノンフィクション。
[目次]
[プロローグ] パンの缶詰、西日本豪雨災害の被災地へ
第1章 助けになりたい――パンの缶詰誕生秘話
第2章 缶詰が売れない!――大きな視点で考える
第3章 缶詰が捨てられる?――救缶鳥プロジェクト発進
第4章 被災地や海外へ――ピンチを乗り越える
第5章 人と人をつなぐ――救缶鳥をめぐる取り組み
第6章 世界とつながる――夢をかなえていく仕事
[エピローグ] 心を満たすパン屋になる
【著者】菅 聖子(すが・せいこ)
1965年生まれ。自由学園卒業。出版社勤務を経てフリー編集者、ライターとして活躍中。『世界を救うパンの缶詰』(ほるぷ出版)、『シゲコ!―─ヒロシマから海をわたって』(偕成社)、『子どもが幸せになる学校──横浜サイエンスフロンティア高校の挑戦』(ウェッジ)など、著書多数。
※この電子書籍は株式会社ウェッジが刊行した『小さなパン屋が社会を変える──世界にはばたくパンの缶詰』(2018年11月20日 第1刷)に基づいて制作されました。
※この電子書籍の全部または一部を無断で複製、転載、改竄、公衆送信すること、および有償無償にかかわらず、本データを第三者に譲渡することを禁じます。
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Posted by ブクログ
パンの缶詰とサブタイトルにあり、自分も買ったことあるブランドかなと思い手に取り。
家の備蓄用に購入したパンの缶詰が期限切れしてしまったので購入し直そうかなと思っていたところでした。
まさにこの本の企業「アキモト」のパンでした。とても美味しくて、ふわふわと甘く缶詰と思えないクオリティに最初は驚きましたが、どんな発想でパンの缶詰を考えたのか、どのような努力や苦難があったのか本書を読むとよくわかります。
「甘すぎるんでは」と思っていましたがわざと甘くしているということも本書を読んで知りました。
確かに被災した際、傷つき気持ちが折れている中でこの甘いふわふわしたパンを口にしたら元気がもらえるかもしれないと納得しました。(p135)
今の若い世代の人は食品の期限切れを気にしつつ育っているから、期限の切れたものは食べてもらえないという意味の話が出てきます(p91)
自分の近辺にも一日でも期限が切れたらその食品は口にしないという人がかなりいるので「そういうものなのか」と逆に驚きました。自分は自分の鼻と感覚で確かめて期限を気にせず食べるのですが、今はそういう人はかなりの少数派なのだと知りました。(ちなみにそれでお腹壊したり具合悪くなったことは一度もありません)
アキモトのパンは何度か買ったことがありますが救缶鳥という仕組みは知りませんでした。
よく考えられているとともに、その仕組を考え稼働させるまで大変だったろうなと。先代や社長がすごいのはよくわかりましたが、ここにはあまり書かれていませんが周りの家族や従業員もなかなかついていくのが大変だったのではないかと感じました。
でも確かに、本書に書かれているように人に恵まれて仕組みが完成したのだなと「思いの力」の強さを感じさせられます。
商品を宣伝するためにメディアを利用するに当たり「社会性というふりかけ」をかけ「ストーリー」を加えてアピールする(p63)、という発想をしたことは社長に記者経験があったためとのことですが、このやり方は他の一般の人でも何かを知らしめたいとき使えるヒントになるのではと思いました(やれるかどうかは別ですが)
パンの缶詰が、世界に広まるどころか宇宙にまで行っていたことには驚きました。いやほんとにすごい。
p121で利益をきちんと出すことで継続的な支援ができる、ボランティア活動で商売っ気を出すとすぐに「人の不幸で稼ぐのか」というような非難をされるということについて書かれています。これは結構重要なことなのではないかと思いました。
継続的支援や活動というものをボランティアに頼るというのは間違っているんでは、と自分は常々思っていました。
近頃なにかイベントごとというとすぐに「ボランティアで活動できる人」という募集を見かけますが本来ボランティアというのは、災害や人名救助などの緊急の場面で人を集めて応急処置的にその現状を凌いでいくための人材だと思うので、継続的にその場所で必要な人材ならばきちんと対価を支払ったり、利益を出すという方向にするべきなのではないかと思っていました。
最近の(◯博などでも)スタッフをボランティアで賄おうとしていましたが、人の善意を「タダで使える労働力」と募る側が捉えているのではないかと思えてなりませんでした。
行政が何かしようとするとき、このところすぐに「ボランティア」で人を集めようとすることに自分は以前からとても嫌悪を感じます。(自分だけかもしれませんが…)
(p150)会社の危機が思いも寄らない方向から救われる状況ができて、注文の電話がガンガン鳴り始めるところを読んで思わず涙が出ました。
(p119)批判というのはまだ改善できる余地があるということすごく前向きな言葉です。
(p173)そうだ、自分も最初セシールから買ったんだった、と思い出しました。
最近確かに他のメーカーのパンの缶詰見るようになりましたが、アキモトのパンを買い直そうと思います。