【感想・ネタバレ】人知原理論のレビュー

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Posted by ブクログ

存在するとは知覚されることだという主観的観念論で有名な一冊。
精神の内の観念だけが存在するものであり、精神の外にいわゆる「物質」は存在しないという極めてラディカルな主張である。
いわゆる客観が確固として実在し人間が受動的にそれを追認するという素朴実在論の構図を大転換したエポックメイキングな書物だ。また、バークリーも科学的認識を批判しているが、科学的世界観に対する人間の存在論的優位の宣言ともいえる。「存在」とは何かと議論するときに、人間にとって意味のあるものこそが「存在」として有意味だという主張には同意できる。観念として知覚される以上、眼前の対象物も空想も同じ次元で「存在」として扱うというのは、科学的世界観を転覆し「存在」の多元性を許容する。その意味でヒューマニスティックな存在論の道を開いたと評価できる。(もっともバークリーは神を持ち出すが)。
ただし、素朴な目的論的証明により神の存在を「証明」し、その後は全世界を知覚する者としての神の存在を前提とするので、結局のところ世界はそのまま存在することになる。この点が聖職者であったバークリーの限界である。
ただ、ある精神にとって「他者の精神」は直接観察できないので、独我論こそが自然な態度になりそうだが、どうだろうか。

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2024年03月30日

Posted by ブクログ

面白かった!

抽象観念を否定する冒頭は、ロックを読んだあとだと、「いやー、ロックの考え方、好きだけどなー」と思ってたけども、

「ある言葉が一般的になるのは、(中略)言葉がいろいろな個別的観念を表示する記号とみなされ、したがってこれらの個別的観念のどれをも精神にたいして無差別に示唆する」p33

これは素晴らしい

それって、たとえば、木、という言葉は、一般的な木、というのを示すのでなく、ありとあらゆる個別的な木が重ね合わされてる状態をいうのかと。

そして、それを脳裏に想像するときには、常になんらかの個別的な形をもつ、と。

これ、量子論やん

確率的に重ね合わされた電子が、観察においてある1箇所に定まるのと同じく、あらゆる木の観念の重ね合わせとして存在している木という言葉があり、それを実際に考えるときには、ひとつの具体的な木が選ばれて脳裏に浮かぶ

量子観念論

脳のことを知るには量子重力理論が必要と考えたペンローズへと思いは広がる

観念論自体はどうにもなっとくしきれず。
量子としての世界があって、それが人間の認識のレベルの都合で世界としてあらわれてる、という、今日の脳科学的な理解であれば理解できるけども。
ただ、最後の精神についてのところで色々と納得できてく。

バークリってものすごくスピノザ的なのでは?バークリとスピノザ、という考察はどこかでされてないのかしら

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2020年03月13日

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