あらすじ
人々から魔の森と恐れられる場所に、エリスは独りきりで暮らしている。今は亡き父親に、森を出てはいけない、誰にもかかわってはいけないと、幼い頃から言われてきたせいだ。訪れる者もいない森の中、ある日、一人の青年が倒れていた。絵本に出てくる王子を思わせる──ずっと眺めていたいくらいに美しい青年だ。エリスは禁忌を破ってその青年を家に連れ帰るが……。※こちらの作品には、紙版に収録の口絵・挿絵等のイラストは収録されておりません。
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Posted by ブクログ
お伽話みたいにきれいな雰囲気の物語。
森の中に一人で住むヒロインは、タイトルでは「乙女」、作中では「森の魔女」と言われるシーンもありますが、あまりの健気さと清らかさ、そして何より序盤のイザークとの二人きりの生活シーンで、私の中では妖精のような印象です。
「愛するものができても愛していると言ってはいけない、愛する人を不幸にしてしまうから」という父の教えを守って、イザークから愛を乞われても答えることができず、自分の名前すら偽っているエリス。
この戒めの正体は後々明かされるのですが…
イザークのちょっと強引な感じもよかったです。後半は、エリスの態度にイザーク自身も傷ついてしまっているので、ちょっと意地悪。でもその二人のすれ違いというか…想いが少しずつずれているところが切なくもどかしく、楽しいお話でした。