【感想・ネタバレ】マリー・アントワネットの日記 Bleu(新潮文庫nex)のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

オヴォワーを最後に使った、マリーアントワネットに深く手を振りたい。
フランス語では「サリュー」と「オヴォワー」と「アデュー」の3つが「さようなら」っていう感じの意味をなすらしいんだけど、

「サリュー」はじゃあね〜
「オヴォワー」はまたいつか!
「アデュー」はさようなら。(永遠の別れみたいな)

て感じ。死刑台に立つ前にオヴォワーを使ったトワネット。うん、こりゃまた読みに来るしかねえなって感じ。
この人と、ルイ16世、それ以外の人たちもそうだけど、とんでもない人生を歩んでるなって思った。まじで濃すぎて、自分の人生がちっぽけに見えちゃうくらい。

慣習と陰謀が漂い、暇ゆえに意味わからん噂が漂うヴェルサイユ。マジでこんなところで生活したくねえ。そう思うけど、多分マリーアントワネットは思う存分楽しんだと思う。それ故にやりすぎちゃったと思う部分もあるけど、少なくともこの小説を読む上では、彼女を嫌いにはなれなかった。

貴族とか、王族とか、そういった「自分が不幸になるとは思っていない」人々の話だというのすごく伝わってきたし、リアルすぎて色んな登場人物を嫌いになり、色んな登場人物を大好きになった。まじパない。

歴史って、奥深いというか、知らないのは損やなって思った。一筋縄では行かない日々だけど、今の生活の発端ともなったであろうフランス革命について、違った視点から見れる良作だと思う。

感動とか、悲しみとか、あぁトワネットよ……みたいな上手く定まらない心持ちだけど、言えることは読めて本当に良かったということ。ベルばらとか、その辺のやつ全然読んだこと無かったけど、読んでみようかな〜なんて思ったりしました。以上

あ、ルイ様推してます。

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2022年12月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

下巻のBleuは、フランス国王ルイ15世崩御で18歳で、フランス王妃になったところから。
アントワネットは「‘パンがないならお菓子を食べればいいじゃない‘なんてまじで言ってねえから!」と有名なセリフを完全否定しています。パンとお菓子の原材料が小麦だってことぐらいは知っていると言っています。
そしてロベス・ピエールが登場。
女児出産。
首飾り事件を経て、次はいきなり三十路に突入。
4人目の子供を出産しています。(男児2人、女児2人)
そして、フェルセンとの秘めた恋。
7歳で長男を亡くします。

1789年7月15日バスティーユ陥落。
「敵国オーストリアからやってきて王を意のままに操りフランスを窮状に陥れた雌虎マリー・アントワネット。いまとなって彼らの憎悪の対象があたしでよかったと思うほどです。陛下や子どもたちをこんな苦難にさらすわけにいきませんから」家族を思いやるこころは人一倍強く持っていたのがわかります。
そしてルイ16世はギロチンで処刑されます。

1793年10月14日、革命裁判所でマリー・アントワネットの魔女裁判が行われます。アントワネットは38歳、14歳の小娘ではありません。ギャル語も控えめになってきています。
自分の意志で尋問に答えていきます。
「とにかく、彼らはあたしを毒婦に仕立て上げたいようでした。うちらの歴代の王や王妃にくらべてもそこまで悪玉じゃないっつーか。どっちかっつーと善玉なほうだと思うわけ。ま、あたしが多少やらかしちゃったって気はしないんでもないんだけど。ルイ16世なんてひいき目抜きにしても最善の王だったでしょ?って思うもんね。アンリ4世たんの上いってるっしょ」とまたしてもギャル語で言っています。
その時の裁判の様子は最も感動的でした。
今までで一番王妃然としていました。
マリー・アントワネットは処刑される前のたたずまいが最も高貴だったと思います。
「そんじゃ、行ってくるね。オーヴォワー!」と言って処刑台に向かうアントワネットには涙しました。

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2020年01月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「フランス王妃マリー・アントワネット」に隠された心。

ルイ15世が崩御し、とうとうフランス王妃となったマリー・アントワネット。自分の思うままに、寂しさや不安を押し込めながら、愛するものを愛し続けたアントワネットがどうなったか。

本人の日記というスタイルで、本人の視点から様々な事件が描かれているので、アントワネットの持ち上げられたら乗っちゃう危うさや、愛を得るための過剰なまでのサービス精神、隠された不安、マリア・テレジアの娘らしい不屈の精神などが、ところどころに現れている。

Aで表されるフェルゼンとの愛、そして固い絆。木訥で控えめ、偏屈でとても「ヴェルサイユ人」らしくない夫・ルイ16世への愛と尊敬。ふたつが矛盾しない形で描かれるのは、最近のアントワネット界隈ではそれほど珍しくもないのでは。ここではフェルゼンへの思いを恋、ルイ16世への思いをアイドルのような対象から同志愛のように描いている。特にルイ16世を「自担」と呼び、認知やファンサをくれる存在と見ていた頃から、最後の方ではともに生きる存在「だぁ(ダーリンの意味)」に記述が変わっているのは、なるほどと思った。

オーストリアからフランスはヴェルサイユに行ったアントワネットが直面する王宮のしきたりは、現代の感覚を持っている読者にとっても冗談じゃないものばかり。彼女の心の動きが、現代の女子のようであればあるほど、アントワネットはわがままな王妃ではなく、感覚が時代に早すぎたのかと思わせる。あまり自分は読まないが、現代の感覚を持った人が、常識が全然通用しない世界でツッコミを入れながら奮闘するという意味で、転生モノに近い読書体験になるのではないか。

途中で、もうこの頃には自分のものを持っていくのも許されないし書くことも許されないのでは、と思い始め、ラストで頭の中の日記と知る。細かいことを考えれば、アントワネットが生きた頃に存在しない言葉遣いで書いているのだから、この日記はまったくのフィクションである。元になった日記も、寡聞にして知らないが、多分なかったと思う。枕草子の桃尻語訳とはまた違う。現代に蘇ったアントワネットでもない。まさに、アントワネットが現代の女の子のように語ったら、このようになるのではないか、という想像を、現代に生きる著者が綴ったのである。ラストの方の展開は、当たり前だがそれこそベルばらやそのほかアントワネットが登場する創作物で見たことあると思ってしまった。そう、これほど共感できるアントワネットの運命は、やはり変わらない。フランス王妃としてギロチンにかかるのだ。

だから、最後で投げ出されたような気がした。何か新しいものを得られると思っていた。新たなアントワネット像に出会ったのに、彼女は誇り高く死んでいく。それが積極的なマイナスだとは思っていない。パリピでウェイ系なアントワネットは、まるで同時代のどこかにいる一人の女の子のように、私に自分の姿を見せてくれた。アントワネットを好きにならずにはいられなかった。

マリー・アントワネットを好きな人にも、あまり好きでもなんでもない人にも、ぜひ読んでもらいたい。

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2021年05月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 「桃尻語訳 枕草子」を思い出す、この先鋭的な表現。縦書きなのに絵文字もバリバリ入って来ます。

 さて、下巻は王太子妃が王妃になったところから始まり、悲劇が迫って来ます。囚われの身になっても、最後まで世話人がついていたりして、少なくともルイ16世の存命中はまあまあ穏やかな暮らしぶりでした。
 豪華な食事や豪奢な服飾品の有無だけは王宮の暮らしと違うけれど、王族は捕えらる前から常に人の目にさらされる不自由さに慣れていたのかもしれないと思います。
 
 涙の完結!という呷り文句があったけれど、ラストはむ
しろ清々しかった。
 レーヌ・ド・フランスではなく、マリー・アントワネットを生き切って、トワネットちゃんはおさらばしました。
 彼女はパリ革命広場からどこかの空にかけのぼり、清々とダンスを踊ったのではないかと思います。

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2019年01月21日

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