【感想・ネタバレ】マリー・アントワネットの日記 Bleu(新潮文庫nex)のレビュー

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面白くて一気読み。フェルセンとの恋も陛下との愛も女に対する押し付けへの反骨も最高で……Roseでの王太子とのすれ違いにやきもきしてたけどあのときはそれでよかったのかも。

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2024年01月07日

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ネタバレ

オヴォワーを最後に使った、マリーアントワネットに深く手を振りたい。
フランス語では「サリュー」と「オヴォワー」と「アデュー」の3つが「さようなら」っていう感じの意味をなすらしいんだけど、

「サリュー」はじゃあね〜
「オヴォワー」はまたいつか!
「アデュー」はさようなら。(永遠の別れみたいな)

て感じ。死刑台に立つ前にオヴォワーを使ったトワネット。うん、こりゃまた読みに来るしかねえなって感じ。
この人と、ルイ16世、それ以外の人たちもそうだけど、とんでもない人生を歩んでるなって思った。まじで濃すぎて、自分の人生がちっぽけに見えちゃうくらい。

慣習と陰謀が漂い、暇ゆえに意味わからん噂が漂うヴェルサイユ。マジでこんなところで生活したくねえ。そう思うけど、多分マリーアントワネットは思う存分楽しんだと思う。それ故にやりすぎちゃったと思う部分もあるけど、少なくともこの小説を読む上では、彼女を嫌いにはなれなかった。

貴族とか、王族とか、そういった「自分が不幸になるとは思っていない」人々の話だというのすごく伝わってきたし、リアルすぎて色んな登場人物を嫌いになり、色んな登場人物を大好きになった。まじパない。

歴史って、奥深いというか、知らないのは損やなって思った。一筋縄では行かない日々だけど、今の生活の発端ともなったであろうフランス革命について、違った視点から見れる良作だと思う。

感動とか、悲しみとか、あぁトワネットよ……みたいな上手く定まらない心持ちだけど、言えることは読めて本当に良かったということ。ベルばらとか、その辺のやつ全然読んだこと無かったけど、読んでみようかな〜なんて思ったりしました。以上

あ、ルイ様推してます。

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2022年12月26日

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夫がフランス国王となり、王妃となったトワネットちゃん。少しは落ち着くのか、と思っていたら前半はパワーアップして贅の限りを尽くしてました。カードでの負けっぷり豪快過ぎる。でも若い身で何かに嵌まってしまったら歯止めきかないよなー。しかもストレス満載の生活の中ならなおさら。そう思うと時代が違ったら彼女には別の明るい道があったかもしれないと考えてしまう。逆に「A」との恋は通俗的になってしまったのかもしれないけど。ルイ16世もしかり。心が通い合うの、通常ならそこからいい家庭が築けたかもしれないけど遅すぎや!革命が起きてからの史実は確定しているのにパリからの脱出は成功して欲しいと願ってしまった。最期まで胸を張って歩く姿は悲しく眩しい。視点が違う「ベルばら」読み返したくなった。

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2022年05月21日

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読み終わったあと、気づいたらマリーアントワネットロスになっていた。池田理代子風→宮下あきら風に変わるとか、詳細はググってとか、相変わらずはっちゃけた文章だけど、フランス革命の臨場感と物々しい雰囲気がリアルに伝わった。犯人探し本能で思考停止した暴徒の様子が恐ろしい。ルイ16世の潔さ、女帝マリア・テレジア譲りのアントワネットの意志の強さ、恋人のフェルセン伯爵の一途さ、ランバル公爵夫人の最後まで共に寄り添う覚悟、それぞれの矜持が胸に痛む。確かに本の帯通り共感せずにはいられない。

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2021年03月26日

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読友さん達が面白い!!面白い!!と紹介していたので、楽しみで仕方なかった作品。

誰もが知っているマリーアントワネットの人生を
こんなに現代の女の子風に置き換えて書いちゃうのが
面白かった。

ただ、その面白さの裏に現実のマリーアントワネットの
忍び寄る最期が分かってるいるから
最後の方は悲しいというか・・・虚しいというか。

無知な14歳の女の子を、そのまま表現されていて
最期の一瞬までマリーアントワネットはマリーアントワネットだったなぁ。
ルイ16世の王になりたくてなりたかった訳ではないのに、
最期まで国の為に命を全うする静かな姿が、おちゃらけたアントワネットと対比してズシンときた。

真相を先に知っているからこその楽しめる作品。
今時の若者言葉が随所に使われていて何度も笑ったけど、
その軽さと迫り来る悲劇のヒロイン幕引きが
楽しいやら悲しいやら自業自得やら・・・複雑な気持ちでした。
何度読み返す事が出来る1冊です。

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2020年01月12日

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ネタバレ

下巻のBleuは、フランス国王ルイ15世崩御で18歳で、フランス王妃になったところから。
アントワネットは「‘パンがないならお菓子を食べればいいじゃない‘なんてまじで言ってねえから!」と有名なセリフを完全否定しています。パンとお菓子の原材料が小麦だってことぐらいは知っていると言っています。
そしてロベス・ピエールが登場。
女児出産。
首飾り事件を経て、次はいきなり三十路に突入。
4人目の子供を出産しています。(男児2人、女児2人)
そして、フェルセンとの秘めた恋。
7歳で長男を亡くします。

1789年7月15日バスティーユ陥落。
「敵国オーストリアからやってきて王を意のままに操りフランスを窮状に陥れた雌虎マリー・アントワネット。いまとなって彼らの憎悪の対象があたしでよかったと思うほどです。陛下や子どもたちをこんな苦難にさらすわけにいきませんから」家族を思いやるこころは人一倍強く持っていたのがわかります。
そしてルイ16世はギロチンで処刑されます。

1793年10月14日、革命裁判所でマリー・アントワネットの魔女裁判が行われます。アントワネットは38歳、14歳の小娘ではありません。ギャル語も控えめになってきています。
自分の意志で尋問に答えていきます。
「とにかく、彼らはあたしを毒婦に仕立て上げたいようでした。うちらの歴代の王や王妃にくらべてもそこまで悪玉じゃないっつーか。どっちかっつーと善玉なほうだと思うわけ。ま、あたしが多少やらかしちゃったって気はしないんでもないんだけど。ルイ16世なんてひいき目抜きにしても最善の王だったでしょ?って思うもんね。アンリ4世たんの上いってるっしょ」とまたしてもギャル語で言っています。
その時の裁判の様子は最も感動的でした。
今までで一番王妃然としていました。
マリー・アントワネットは処刑される前のたたずまいが最も高貴だったと思います。
「そんじゃ、行ってくるね。オーヴォワー!」と言って処刑台に向かうアントワネットには涙しました。

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2020年01月04日

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上巻のRoseに続く下巻のBleu。

Roseはそうでもなかったが、こちらは一気読み。
結末がどうなるか(史実として)分かっているだけに、どのようにマリー・アントワネットが自分自身を語るのか?という、もうその一点だけで一気に読み進んだ(ベルバラ世代なだけに)。

フランス革命を世界史の授業(代ゼミ)では、「1789=ひなわくすぶるバスティーユ」と覚え、そこに付随するいくつかの用語を覚える程度でおしまい。そこに至る道のりは池田理代子先生の「ベルサイユのばら」が教科書だった。
そして、それらはどれも革命側=庶民の目線の歴史だったんだなぁ…ということがこの本を読んだ率直な感想だ。

吉川トリコさんの、マリー・アントワネット自身の手で彼女の伝記を綴るという、斬新なアイデア(しかも今時ギャル文体で)は、誰もが持つフランス革命のイメージを大きく変えることだろう。
確かに、民の血税を享楽に費やしたことは一国の王妃としてあるまじきことだけれど(どこかの国でも血税で桜の宴催しちゃってるからね、歴史は繰り返す!)…。
時代が時代、朝から晩まで儀式漬け、私欲まみれの貴族のお取り巻きばかりで、民の生活など知る余地もなかったのだろうなぁ。
読後に去来するのは、愛すべき気高き王妃マリー・アントワネットなのである。2019.11.25

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2019年11月25日

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死刑になる前の裁判で
子供との近親相関を疑われたり・・・
なんか 下劣な話が多い中で
「ばっかじゃないの」と強気なアントワネットちゃんが
素晴らしい!
イメージだけで責められたら
たまったもんじゃないです
こんな 言ったもん勝ちが
通用するなんて やだやだ 今の世とそっくりだよ!

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2019年02月21日

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「マリー・アントワネットの日記」下巻。どんなときも誇り高く生き抜いた意外すぎるマリー・アントワネットの姿に、クライマックスには涙がとまりませんでした。

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2019年01月07日

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時代がそうさせた。
ルイ16世もアントワネットも、歴史上の人物の中ではそんなに酷い事をしたわけじゃない。
もっと悪い人はいたと思う。

こんなにも長く語られ愛される王妃はいない。
苦しく、ツラかったろうけど、この本のアントワネットはそれに気付いている。そこが救い。

面白可笑しくしてるけど、きちんとした歴史小説でした。

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2018年10月10日

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Roseでは王太子妃殿下として、Bleuではフランス王妃として ルイ16世の戴冠式の日の日記は泣いた というか日々が革命へと突き進んでいくなかでも王妃たれと、あたしが陛下をお守りしますの一言にわたしは泣いた 締めくくり方にも泣いた オヴォワーッマリー!マリー!(号泣)

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2018年09月02日

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IのRoseと比べると爆発力はないけれど、怒涛の歴史的展開にハラハラドキドキ。改めて今の平和な時代に生きていることに感謝。

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2024年03月10日

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とことん現代語&マリーアントワネット視点で綴られる日記を読んでいくと、悲劇のフランス王妃が、かわいいものと楽しいことが大好きで、ファッションに夢中で、こなれた感じの悪い先輩に憧れて、恋愛に一喜一憂して、傲慢で浅はかで、だけど繊細な、要するに普通のイマドキの女の子にしか思えなくなってくる。
調子には乗りすぎたアントワネットだけど、その代償が、夫や友達皆殺しの上で斬首だなんて、いくらなんでもオーバーキルすぎる。

マリーアントワネットは、憎悪をぶつけてくる群衆に自分のことを「知らないからこそ嫌えるってこともあるのかもしれません」と思う。
確かに今でも、芸能人や、皇族や、ちょっと気に食わない親族や同僚なんかへのヘイトは燃え上がりやすく、それも彼らのことをよく知らないからこそなのかもな。自分も身につまされた。

ラスト、見せしめのように迫害され、悪口を言われまくる中で、最後までへつらわず、毅然とした態度で凛として前を向いていた気位の高さは、本当にかっこよかった。とっても魅力的。
実際に「軽やかなステップで断頭台を駆け上がって」みせていてほしいなと思った。

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2022年09月29日

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前作Roseで少し慣れたのか、今作はさほどつまずかずに読み切れたと思います。読み終えて楽しかったなぁ~と感じました。マリーアントワネットの明るくて前向き、物事をプラス思考にとらえることができるのは特技といってもいいかと思います。落ち込むことはあっても、王妃のプライドでそれを周囲の人に悟らせない…周囲の人や、読み手はマリーアントワネットに親しみを持つことができます。さすが、吉川トリコさんです!

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2022年07月12日

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これは…ワクワクドキドキボロ泣きの冒険小説です!
中編あたりで、プチトリアノンの贅沢な環境に怒りを覚え、フランスを捨てて逃げる描写に、結果がわかっていながらもハラハラドキドキし、Aとの最後のロマンスに、ちょっとちょっとf^_^;と焦りながら微笑ましく思い、最後の陛下との別れや断頭台へ向かう描写にはもうボロ泣きし…
なによりこれがトワネットの頭の中の日記だったことにびっくりし!
漫画みたいな表紙に騙されることなかれ!ギャル語を侮るなかれ!
なかなか面白い本ですよこれは☆

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2022年06月21日

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「Rose」は面白く読んだものの、「Bleu」を読むのはためらってしまった。だって、大抵の人は知ってる。もちろん私も知ってる。この主人公の最期がどうなるのか。もう、後半からはポロポロ泣きながら読んだ。「世界に嫌われた王妃を、愛さずにはいられない。」って、正にそんな感じでした

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2021年05月28日

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マリー・アントワネットが書いた風の日記を、現代日本人女性が書いたように変換する。

橋本治の桃尻娘風、もしくは桃尻語訳のようだと言ったら古いだろうか。

マリーがオーストリアから、フランスに嫁に来る辺りから、処刑されるまでを、実に軽薄な文体で綴る。

<男子が「男になる」のは社会的に一人前と認められたときで、女子が「女になる」のは出産の準備がととのったとき。なんだそれ。飲み込めない。激安焼肉チェーン店のゴムみたいな牛ホルモンより飲み込めない。>

とか、ラスト近辺、フランス革命の後逃亡するとき、

<財産はほとんど没収されちゃったも同然だし、この先の収入のあてもないんだから。夫婦そろってノン収入☆ ひーっ、心の知覚過敏にしみるわ。>

など、18世紀のフランスのことを21世紀の日本語で描く奇書。なかなか面白かった。

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2021年03月01日

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Bleuは切ない。結末を知ってるだけにラストに向かっていくのは泣ける。
現代のギャルみたいな文章がとっても似合う。
時代が時代ならきっと楽しく過ごせただろうに、不憫だな~。
Roseから再読したい。

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2020年11月03日

Posted by ブクログ

知ってるようで詳しくは知らないマリー·アントワネット。
今の若者が使う言葉が散りばめられていて、歴史物とは言え、読みやすい構成だった。
こういう言葉を使う若い人に読んでほしいなあ。
改めてフランス革命について紐解いてみた。
ティーンズコーナーに並べたい作品だ。

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2022年03月03日

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はじめて、マリー・アントワネットという人にちょっと共感することがあった。
贅沢にうつつを抜かし、国を傾けた悪女としか思えなかった。

でも、こんなところを読むと、ちょっと応援したくなる。

あたしはマリア・テレジアのような女傑じゃないし、政治のことなんかこれっぽっちもわかりません。わかんないけど、女だからって外野に回されるのには苛立ちを感じる。「女は女のやり方でうまく立ち回って男を操縦しろ」なんて発想はもっといや。シンプルじゃないし汚らしいし男も女もばかにしてる。
だけどこれ(註:ファッション)は違う。主導権はあたしの手の中にある。あたしがあたしであるためにあたしにはこれが必要なのです。「そんな格好してたら男ウケ悪くなるよ」って? うるせーバカ! なにを着るかはあたしが決める。だれにも左右させたりしない。 この国の女たちもいずれそうなる。世界中の女たちがそうなる。
ファッションで世界は変わる。あたしが変えてみせる。(pp.62~63)

処刑を控え、コンシェルジュリーに連行されるとき、アントワネットが娘のマリー・テレーズに遺した言葉は、涙なくして読めない。
やられた――。
見かけのチャラさになめてかかってると、大変な目に遭わせてくれる作品だ。

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2020年05月06日

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小麦粉戦争の最中に王妃が言ったとされる例のパンチライン。
「マジで言ってねえから!」
Bleu版からはもう親友のように思えてきたトワネットちゃん。
王妃になり母になり初めての恋をしイツメンとの夜遊びに明け暮れおしゃれに膨大なお金をかけ取り巻きたちに裏切られフェイクニュースで炎上し民衆の目の敵にされついに最期の日を迎える私たちの王妃…。
かわいそうな女だと思われるのだけはマジかんべんって言ってたよね。
世界に嫌われた王妃をこんなに愛おしく思う日が来るなんて。
マリー・アントワネット像が180度変わりました。オススメ。

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2018年12月19日

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面白かったー!
読みながら漫画ベルばらのシーンが次々と浮かんでくる。
でもこの本のアントワネットすごく可愛い。
ラストはちょっとウルっときたよね。
(あ、口調移った?w)

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2018年10月21日

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日本史、世界史、歴史全般が苦手だが、話言葉の日記なので、楽しくわかりやすく読めた。
マリーアントワネットという名前を知っていても彼女の人生はまったく知らなかったので勉強になった。
最後はとても切なく、もう少しマリーアントワネットについて知りたくなった。

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2022年05月11日

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おちゃらけキャラは前作と変わらないけど、最後の運命に向かってひたひたと忍び寄る暗い影に、胸が押し潰されそうになった。
家族や友人との壮絶な別れ。特に夫(ルイ16世)の処刑が決まり、子どもとも引き離されるシーンでは、おちゃらけキャラは消え去って、ただ淡々とした文章に。
この本を読むまで、マリーアントワネットは華美なことが大好きだった人、くらいにしかイメージがなかったけど、この本を読み終わってからは、フランスや家族のために弱さを見せず、不当な圧力に屈しなかった女性という印象に変わった。
辛い…

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2022年04月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「フランス王妃マリー・アントワネット」に隠された心。

ルイ15世が崩御し、とうとうフランス王妃となったマリー・アントワネット。自分の思うままに、寂しさや不安を押し込めながら、愛するものを愛し続けたアントワネットがどうなったか。

本人の日記というスタイルで、本人の視点から様々な事件が描かれているので、アントワネットの持ち上げられたら乗っちゃう危うさや、愛を得るための過剰なまでのサービス精神、隠された不安、マリア・テレジアの娘らしい不屈の精神などが、ところどころに現れている。

Aで表されるフェルゼンとの愛、そして固い絆。木訥で控えめ、偏屈でとても「ヴェルサイユ人」らしくない夫・ルイ16世への愛と尊敬。ふたつが矛盾しない形で描かれるのは、最近のアントワネット界隈ではそれほど珍しくもないのでは。ここではフェルゼンへの思いを恋、ルイ16世への思いをアイドルのような対象から同志愛のように描いている。特にルイ16世を「自担」と呼び、認知やファンサをくれる存在と見ていた頃から、最後の方ではともに生きる存在「だぁ(ダーリンの意味)」に記述が変わっているのは、なるほどと思った。

オーストリアからフランスはヴェルサイユに行ったアントワネットが直面する王宮のしきたりは、現代の感覚を持っている読者にとっても冗談じゃないものばかり。彼女の心の動きが、現代の女子のようであればあるほど、アントワネットはわがままな王妃ではなく、感覚が時代に早すぎたのかと思わせる。あまり自分は読まないが、現代の感覚を持った人が、常識が全然通用しない世界でツッコミを入れながら奮闘するという意味で、転生モノに近い読書体験になるのではないか。

途中で、もうこの頃には自分のものを持っていくのも許されないし書くことも許されないのでは、と思い始め、ラストで頭の中の日記と知る。細かいことを考えれば、アントワネットが生きた頃に存在しない言葉遣いで書いているのだから、この日記はまったくのフィクションである。元になった日記も、寡聞にして知らないが、多分なかったと思う。枕草子の桃尻語訳とはまた違う。現代に蘇ったアントワネットでもない。まさに、アントワネットが現代の女の子のように語ったら、このようになるのではないか、という想像を、現代に生きる著者が綴ったのである。ラストの方の展開は、当たり前だがそれこそベルばらやそのほかアントワネットが登場する創作物で見たことあると思ってしまった。そう、これほど共感できるアントワネットの運命は、やはり変わらない。フランス王妃としてギロチンにかかるのだ。

だから、最後で投げ出されたような気がした。何か新しいものを得られると思っていた。新たなアントワネット像に出会ったのに、彼女は誇り高く死んでいく。それが積極的なマイナスだとは思っていない。パリピでウェイ系なアントワネットは、まるで同時代のどこかにいる一人の女の子のように、私に自分の姿を見せてくれた。アントワネットを好きにならずにはいられなかった。

マリー・アントワネットを好きな人にも、あまり好きでもなんでもない人にも、ぜひ読んでもらいたい。

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2021年05月04日

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クライマックスに向けて、マリーアントワネットの緊迫感が伝わってきて、はらはらした。

アルジャーノンに花束をみたいな感じに思った。

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2020年01月01日

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世界に嫌われた王妃を、愛さずにはいられない。え、あたしがフランス王妃とかwww ウケるってかんじなんですけどー。1774年 5 月10日、ルイ15世が崩御し、夫・ルイ16世が国王に。だが、アントワネットへの世間の風当たりは強まる一方だった。取り巻きたちとの夜遊び、膨大な服飾費、授からない子ども、根も葉もない噂。そして、本当の恋。だが革命が起こり、すべては終わる──。王妃の最期の言葉に、涙があふれるクライマックス!

最初から最後まで軽やかで華やかで、自分のことも家族のことも大好きで乙女な部分を持ち続けたマリー・アントワネット。本当の姿はどうだったのか、今となっては分からない。でも小説とは思えないくらいリアルで、母から受け継いだ強さも大好きな人との叶わぬ恋で知った弱さも全てひっくるめてこんな愛おしく思えるキャラクター描写がすごい。こんなちゃらけた王妃で大丈夫かwと序盤は思ったのに、最後は結末を知っているにも関わらずハッピーエンドで終わってほしいと願わずにいられなかった。もっと詳しい歴史書を読みたくなったので探そうかな。いくら姉妹ブランドとはいえ、あのお堅い新潮文庫からこんな革新的作品が出るなんて時代は変わるものなんですねえ・・・。

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2019年01月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 「桃尻語訳 枕草子」を思い出す、この先鋭的な表現。縦書きなのに絵文字もバリバリ入って来ます。

 さて、下巻は王太子妃が王妃になったところから始まり、悲劇が迫って来ます。囚われの身になっても、最後まで世話人がついていたりして、少なくともルイ16世の存命中はまあまあ穏やかな暮らしぶりでした。
 豪華な食事や豪奢な服飾品の有無だけは王宮の暮らしと違うけれど、王族は捕えらる前から常に人の目にさらされる不自由さに慣れていたのかもしれないと思います。
 
 涙の完結!という呷り文句があったけれど、ラストはむ
しろ清々しかった。
 レーヌ・ド・フランスではなく、マリー・アントワネットを生き切って、トワネットちゃんはおさらばしました。
 彼女はパリ革命広場からどこかの空にかけのぼり、清々とダンスを踊ったのではないかと思います。

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2019年01月21日

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