【感想・ネタバレ】禅とジブリのレビュー

あらすじ

「過去、未来じゃなく、もっと今のことを考えなきゃ」──スタジオジブリプロデューサー鈴木敏夫氏が禅僧と奔放対談。対するは、玄侑宗久氏(作家・福聚寺住職)、横田南嶺氏(臨済宗円覚寺派管長)、細川晋輔氏(龍雲寺住職)の三人。『もののけ姫』『火垂るの墓』などジブリの名作から、死生観や人生哲学などを禅的に読みとき、宮崎駿・高畑勲両監督との映画制作の経験に照らして禅を語ります。月刊『なごみ』連載に対談と鈴木氏のエッセイを追加収録。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

プロデューサーの鈴木敏夫と、龍雲寺住職-細川晋輔、円覚寺派管長-横田南嶺、作家であり僧の玄侑宗久和尚との対談集。ジブリから入るとわかりやすい。

モロがアシタカに問う「お前にサンを救えるか」
アシタカ「わからぬ」「だが、共に生きることはできる」。
まさに高僧達磨の「不識(ふしき)」。わからない、でも幸せを祈って生きていくことはできるというのが仏教の根底にある教え。

「不立文字(ふりゅうもんじ)」。
言葉ではなく、間。 ハウル

坐禅は何かを得るというよりも捨てる場。少し立ち止まり自分に向ける時間。『魔女の宅急便』のキキも寝込んで仕事できない時間があったからこそ、また空を飛べるようになった。そして、黒猫ジジはキキ自身。まだ自己を確立していないキキが自分になったからジジは話す必要がなくなった。

「壺中日月長(こちゅうじつげつながし)」。
時間を超越した悟りの境地(壺から出てきたら成長していた) 。千と千尋、トトロ

「柳は緑、花は紅くれない」
(見たもの聞いたものを、そのまま受け止める心。私たちも所詮、自然の一部でしかなく、身構える必要などない) 。レッドタートル

「苦」
足下に咲いているユキノシタ。
(思うようにいかない)風立ちぬ

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2021年12月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

仏教の教えには、生きづらい現代社会に癒しの効果がある。この本を読んで救われる気持ちになった。

強調されるワードは『過去や未来に囚われず今を生きる』ということ。

鈴木氏がエピローグで書いていたように「禅とは何か?」の答えがこの本の中にある。これから禅を学んでみたいと、まず手に取る本としては大正解だった。

●ゲド戦記の裏話
●コラムの中で鈴木氏の死生観が語られていて興味深かった
●荘子の100分名著のテキスト読んでみたい

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2021年05月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ジブリのプロデューサーの鈴木さんと禅僧の対談。
ジブリ映画を契機に禅の話がとても分かりやすく語られる。禅の言葉と、ジブリ作品の中で描かれた禅的なものが語られていて、とても興味深い。
今、目の前のことに集中すること、足るを知ること(すなわち、不要なものはすてること)の大切さを改めて学ぶ。理想の自分にとらわれると、現実の自分がみじめになってしまう。だから、今、目の前の事に集中することが大切ということ。
そして、本来無一物。全ては縁によって成り立っているので、自分一人でゴールまで行くのではなく誰かにバトンを渡すというスタンスでいればよいという言葉に感銘を受ける。なんでも、一人で全てやろうと思わなくてもよいし、それは思い上がりだと知る。この本来無一物という言葉が、小説宮本武蔵にも出ていると言われており、再読しようかと思った。
「両行」:対立するもの両方をそのまま生かしておくと、必ず何かがうまれてくる、という考え方が説明されていて、救いを感じる。これは、平川克己の「21世紀の楕円幻想論」での語られた貨幣経済と贈与・全体給付の対のバランスをとるということの基本になるという気がした。
また、怒りもエネルギーの源だから、完全に捨て去るのではなく、怒りをどの程度自分の心に残すかがカギであるという禅僧の言葉には、驚いた。
そして、禅のすべては「着て」「食べて」「出して」「寝る」。ああ、その通りだという横田南嶺老子の言葉は平明で、そこに集約して考えれば、迷いがなくなるような気がした。
しかしながら、荘子の一節で「一切をあるがままに受け入れるところに真の自由がある」というのは、とてもとてもたどり着ける気がしなかった。

とにかく学び、気づきの多い一冊。何度でも読み返そうと思う。

心に残ったのが次の言葉たち。
・即今目前
・放下著
→いろいろと放り出して、目の前のことに集中せよ
・前後際断
→過去も未来もどんどん捨てろ
・小説 宮本武蔵の中で、「本来無一物」という言葉が出ているということ。本来無一物とは、自分は何も持っていない、全ての縁によって成り立っていること。「金も名誉もすべて手放せ」と言っているのではなく、自分が無一物であることを認識すると、悩みも自分の影法師である、と。

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2020年12月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

言わずと知れた、スタジオジブリの名プロデューサー鈴木敏夫氏と三人の禅僧による禅問答。
何故ジブリと禅?と不思議に思って読むと、ジブリと禅との数々の共通点に驚かされる。
鈴木氏によるジブリ作品や宮崎駿監督に関するエピソード、仕事との向き合い方・生き方等々、感心したり感動したりの連続で付箋紙張りまくりとなった。

●宮崎監督の作る映画は人の弱さをちゃんと認めている。認めた上で、弱い子もやりようによっては元気になる、そういう映画。
●過去や未來にとらわれず、今この瞬間に集中する。今目の前のことをちゃんとする。
●「この世の中、捨てたもんじゃないよ」というのがジブリの基本姿勢。だから、先のことばかり考えずに今のことをちゃんとやるべし。
●亡くなった人と再び逢えるかどうかはわからない。しかし共に生きることはできる。「不識」、つまりわからないことこそが人生だ。
●坐禅は何かを得るというより捨てる場。ちょっと立ち止まって自分にベクトルを向ける時間。
『魔女の宅急便』のキキも風邪をひいて寝込む時間があったから、また空を飛べるようになった。自分なりの答えが出てきたのだ。
●キキにとって黒猫ジジは自分自身。まだ自己を確立していないキキが自分になったからジジは話す必要がなくなった。
●「一日暮らし」どんなつらいこともその日一日だと思えば耐えられるし、どんな楽しいこともその日一日だと思えば浮かれることはない。
●宮崎監督は「今、ここ」の人。「今、ここ」への集中力が半端ない。
●現実の壁に突き当たり、思うようにならず、もう一度やり直す。誰でもその繰り返し。
●好きな人とは思うようにいなかないからいい。そこに美がある。
●宮崎監督と鈴木さんとの共通項は過去の話をしないこと。いつも「今、ここ」。そして互いを尊敬していない。
●ジブリ作品は「何が起こるかわからない。それでも行く」
●夫婦で問題が生じるのは、必ず「向き合おう」とするところから。向き合うとたいがい相手の欠陥しか見えない。
●「老いの熟成」年をとれば肉体的には衰えるけれど精神は自由になる。
●慣れを手放す。
●色気をほんのちょっと持つ、枯れない年寄りになる。

77歳(2018年3月現在)になった宮崎監督は未だに成長を続けているという。
強靭な精神力をいつまでも失わず、熟成し続けて新たな作品を生み出してほしい。

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2019年07月28日

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