あらすじ
消えない撃墜説も含め、事故から33年となる今もその原因を巡る議論は続く。事故調査にあたった米運輸安全委員会など日米双方を徹底取材。多くの証言を軸に事故の最深部を描く。
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Posted by ブクログ
日航機墜落事故のことを何も知らずに読んだ。自分が生まれて間もない頃にこんな悲惨な事故が日本で起こったことを日本人として無関心だったことに我が身が恥ずかしくなった。
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この本を読んで日航機123便が墜落した状況やその理由が明確に分かりました。理由は簡単に言うと過去の尻もち事故の修理ミスであり、修理ミスにより、垂直尾翼が吹き飛び、そのことで飛行機が操縦不能に陥ったというものです。尻もち事故の修理に関わったボーイング社の職員が御巣鷹山での墜落事故の際、来日していてその時の様子が以下のように示されています。
「修理に深く関与したメンバーが(来日した)ボーイングの一員にいた。ジャンボ機の機体構造に詳しい人物だった。修理ミスの事実が(会議室で)公表された際、彼は全員の前で嗚咽し始めた。赤ん坊のように泣いていた。仲間が犯したミスの重大性を認識し、いたたまれなかったのだろう」(79P)
筆者は、アメリカでボーイング社の航空安全マネジャーだった方、ボーイング社の元社長(※1)やアメリカ司法省の検事だった方(※2)にもインタビューをしたり、アメリカ連邦航空局職員やOBが入る「国際航空安全調査官協会」の準会員にもなり、パーティにも出かけたりして真実を知るために努めています。また、日本では自衛隊機による撃墜説を訴えている青山透子さんにも会って話を聞いています。(180P)
この本を読んで一つ発見がありました。それは、アメリカではミスがあってもそれが「単純な過失であって、隠蔽や故意、意図的な不注意や手を抜いたりということが無ければ訴追というのは、不適当である又は故意がないと刑事的な立件は目指さない」(152P、172P)と考えらえているということでした。確かに人間はミスをする生き物です。真摯に一生懸命に頑張ってもミスをします。それを日本では「業務上過失致死傷」という罪に問われますが、アメリカでは問わないという風土の違いがあるということです。ミスをしてしまうことをどう捉えれば良いのか、私自身、考えていきます。
※1 ボーイング社長フランク・シュロンツ
※2 米司法省刑事局検事リンダ・キャンドラー
この本は、日航機123便がどうしてどのようにして墜落したのかということが分かりやすく、また、いろいろな情報を元に書かれた素晴らしい本だと思いますので、日航機123便の墜落について興味のある方にはお薦めします。拙いレヴューをお読みいただきありがとうございました。感謝申し上げます。また、厳しい暑さが続いていますのでどうかご自愛ください。
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共同通信社のニューヨーク支局勤務経験もある筆者が、米国滞在時の機会も生かし、日航機123便墜落事故について、主に米国側の事故関係者のキーパーソンたちに取材を試み、両国の様々な立場の人の証言をまとめた本。
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以前、仕事で年に100回程度飛行機に乗っている時期があった。何度乗っても離陸の際は緊張するし、着陸の前も(九州の地方空港)海上を埋めたてられて作られた、その空港に近づくにはかなりの急旋回と急激な高度低下を伴うから(高所恐怖症の私の感覚)、毎回緊張していた事を記憶する。別に飛行機嫌いという訳でもなく、海外旅行でもネパールの航空機で死を覚悟する様な怖い想いをしながらも、相変わらず飛行機には乗り続けている。緊張や恐怖の一つの要因となっているのは、やはりあの事故、日航機123便の事故であろう。
まだ事故の報道を正確に理解し、その全容や経緯を理解できる様な歳では無かったが、ニュースキャスターが話す圧力隔壁という言葉や、ヘリで救出される生存者が吊り上げられた映像は覚えている。今となってはインターネットでフライトレコーダーの音声や飛行機の辿った航跡、飛行機自体の飛行の様子を時間経過と共に見せる様なシュミレーター映像もあるため、当時よりもより詳細に事故について知る事ができる様になった。また、インターネットでは様々な原因説、特に自衛隊機が誤爆して、それを隠そうとした自衛隊の陰謀説まであり、果たしてどういった情報源から集めたのか、真偽不明な内容の映像まで見る事ができる。偶にそうした物を更に集めて「真相!」といったタイトルをつけて事故を語る映像がサムネイルに出てくると、未だ心の傷が残った遺族の方が観たらどんな想いをするだろうと、考えてしまう事もある。
本書は現在原因としてほぼ確定している認識のある圧力隔壁の破損と、それを引き起こしたと言える、事故機が以前に起こしていた尻餅事故の修理対応(圧力隔壁を固定するリベットの修理)ミスを中心に、製造元であるボーイング社の関係者、事故調査にあたった関係者、被害者遺族から国内の事故に関する様々な分析を表明している人々など、多くの関係者へのインタビューを通して得られた情報を元に自己を再分析する内容となっている。その目的にあるのは報道記者としての使命感は元より、起きてしまった悲惨な事故を2度と起こさないため、悲劇を繰り返さないために、我々に何ができるかを考えさせる事にあると感じる。
単独の飛行機が起こした事故としては、最大となる520名が亡くなった日航ジャンボ機墜落事故。大企業の社長や著名な歌手も搭乗し亡くなっている。飛行機は他の移動・輸送手段と比べて、圧倒的に事故の少ない乗り物と言えるが、とても人間が飛び降りて助かる様な確率がゼロに近い、高高度を飛行している。かつ時速500キロを遥かに超えるスピードで飛んでいる。一度事故を起こせば乗客が助かる見込みは極めて低い。離陸の瞬間を思い出せば、そのスピード感にシートに押し付けられる程である。偶々直近高速道路を100キロ近いスピードで走り、車線に5台の玉突き事故と運転者や同乗していたと思われる若者が車外で話している場面に出会した。車なら100キロで走行して追突しても、運が良ければ怪我もせずピンピンしているが、飛行機はそうはいかない。機外に出る事も上空では不可能だ。だからこそ製造元にもパイロットを抱える運航事業者にも高い安全意識が求められる。だがそれでも事故は起こってしまうし、人のやる作業ではミスもあり得る。問題はその先にある、原因調査と再発防止策にあるが、これについても、責任逃れなどあってはならない感情が渦巻く事は多い。特に日本の様な生涯雇用が当たり前で同じ組織に長く勤める日本では、顕著なものとなる。日航機の事故調査でそういったあってはならない状況に陥ったかは、今となってははっきりしないだろう。だが、筆者が訴える様に、真実を早くに突き止め、今より後に起こりうる事故を防止しなければならない場合に、余計な心理は邪魔になるだけだ。
今日本航空は新入社員研修の中でも、この悲惨な事故について、当時の事故機の残骸を見ながら学ぶ時間が設けられているとの事である。遺族の心に寄り添い、同じ事故を2度と起こさせないための取り組み及び、記憶の継承が必要である。それを改めて考えさせてくれる一冊である。
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「日航機123便墜落事故」から39年も経つけど強く記憶に残っている。
随分前にも関連本を読んだけれど、それは自衛隊や米軍が関与しているのではなどといった陰謀論めいたものだったと思う。
この本の著者は、アメリカと日本で、たくさんの関わった人へ直接取材し、証言を集め、科学的根拠で詰めていっている。
ただこの事故は、決定的証拠となり得る事故原因とも言われている垂直尾翼などがいまだ相模湾に沈んだままということが残念でならない。
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まっとうに取材してるまともな本。日米多くの人に話を聞いて筆者なりにまとめていて好印象。ハドソン川の奇跡で不時着を決断し,乗客乗員全員の命を救った機長のインタビューも。やはり全ての操縦翼面を失った123便は何もできなかっただろうとのこと。
もう三十年以上前の事故だけど,いまだに関連本が後を絶たない。去年も夏に日航元客室乗務員のトンデモ本(撃墜説)や,日航元機長の手によるそれへの反論本が出ているらしい。
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森永卓郎のベストセラー本を薦められて読んでそんなバカなと思ってたどり着いたのが本作であった。
いろいろな方面から時と場所をこえたアプローチで一様の納得が得られよかった。
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残念ながら答えは書いてありませんでした。読み物としては面白いのかも知れませんが、米国側担当者の30年後の証言だけが新しい内容であとは事故調の報告書の反復と情緒的な物語りでした。報告書が結論づけた事故原因の裏付けや撃墜説や様々な疑問への科学的回答を期待しましたが客観的な分析や検証はごく僅かで、今回公開された米調査チームの報告書等の公文書もほとんど生かされていませんでした。消去法や状況証拠、見つかっていない物からの推論だけでは今までと何も変わりません。結局、本当の事は何も分からないまま、時間を無駄にしてしまいました。マスゴミの使命として、政府見解の追認、補強のために書かれた本なのでしょうか。
Posted by ブクログ
1985年の日本航空123便墜落事故については、これまで様々な立場からかなりの関係書籍が刊行され、またテレビのドキュメンタリーも何本も作られたが、それらと比べた本書の特徴は、ニューヨーク常駐勤務の利を生かして、アメリカの航空当局やボーイング社にかなり食い込んだ取材を行っていることにある。結論から言えば、運輸省事故調査委員会の最終報告書(圧力隔壁の修理ミスが原因)をほぼ追認しているが、機密解除となったアメリカ連邦航空局の公文書(特にアメリカの来日調査団のリアルタイムの報告書類)で裏付けをとったことは特記される。惜しむらくは、新書サイズであるため内容が相当圧縮されている感があること。できればハードカバーで出して欲しかった。