あらすじ
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アメリカン・イラストレーションの黄金時代に数多くの作品を描き、なおかつ最大級の人気アーティストであったJ. C. ライエンデッカーは、ハンサムな男性とグラマーな女性をスタイリッシュかつ印象的に描いたことで、大衆の心をつかんだ。〈ライエンデッカー・ルック〉とも言われる、見ればすぐわかるその絵柄は、アメリカという国の顔を作り上げるのに一役買い、そこから今も知られている数多くの図案が生まれ、広告におけるブランド性を創造することとなった。ただし今に至るまで、そのアートの裏にいた本人についてはさほど知られていない。ノーマン・ロックウェルに〈雑誌表紙の匠〉と呼ばれ、のちに私淑されることになるライエンデッカーが描いたイラストレーションは、あらゆる大手誌の表紙を飾った。また広告においても、最先端の紳士服から、アイヴォリー石鹸やケロッグのコーンフレークに至るまで、幅広い商品の宣伝を支える作品を描いたのである。とはいえ最もよく知られているのは、おそらく〈アロウ・カラーの男〉のポートレートで、これは男性として最初のセックスシンボルとなり、両性から人気を集めた初めての広告スターにもなった。この洗練された優雅な紳士のイメージが、それを見た何百万という人々の心を振るわせ、熱狂する社会に絢爛豪華なライフスタイルを売り込んだのである。しかしこのアロウ・カラーの男のモデルが、ライエンデッカーの長年の恋人たるチャールズ・ビーチであったことを知る者は少ない。同性愛に対する世間の詮索から逃れるように、ライエンデッカーは自分の私生活を詳しく語らなかった。本書では、ライエンデッカーの600枚以上の原画・写真・広告・雑誌の表紙とともに、こんにちまで残されていた多くの謎をしっかり解明し、真実の姿をあぶり出している。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
写真のような情報量を感じさせながらも伝わり易く整理されていて、「イラスト」って言葉がすごく似合うと思った。
モチーフを問わずカッコ良さを感じたので、そういうイラストを描く時は改めて参考にしたい。
Posted by ブクログ
全く明るくなかったが、ふと気になって買ってみたら大当たり。アメリカ写像主義の代表イラストレーターらしい。しばらく忘れられてたが、近年その業績を再評価する動きがあるとのこと。「硬い」筆致で理想化された男性像を描くのが特徴のようだ。彼が定着させたイメージも多く、例えば『ニューイヤーベイビー』、『母の日の花』、『赤服白髭のサンタクロース』など。
Posted by ブクログ
家宝レベル。
アメリカン・イラストレーションの神!「サタデー・イヴニング・ポスト」の表紙イラスト等で、ロックウェルとともに有名な方。
グレート・ギャツビーのあのスタイルは、ライエンデッカーが広告イラストを手掛けたARROWのものなんですね…親交があったフィッツジェラルドが彼をモデルにしてギャツビーを執筆したのではとの噂。
華やかな中にも憂いが垣間見える作風が映画と重なりました。
とにかくどの作品も魅力的!ずーっと見ていたくなります。パリ留学でアール・ヌーヴォ―の神様ミュシャに影響受けたそうで、洗練された画風がとても好みです。
この画集、かなりの作品数が収録されていて見ごたえがあります。ポスト誌の表紙は、1Pに9作とその中から1作が全面でレイアウトされていて、鑑賞しやすくできてます。
もう、ほんとに美麗!こんなにうっとりしたのはミュシャの画集以来。ポスターや雑誌イラストなど、商業アートが世間的に認められてどんどん発展していった軌跡を知ることができて胸アツ。20年代の古き良きアメリカに憧れます…
しかも、このカッコよくてハンサムなモデルの男性は、ライエンデッカーの生涯のパートナーだったという…!腐女子は必見です。
Posted by ブクログ
J. C. ライエンデッカーの画集。
ひと目見たときから目を惹き、個人の画集をはじめて購入しました。
顔の造形美もさることながら、独特な布の描き方に魅了されました。
しかし、アートオブ…とあるので純粋な画集かと思いきや文章が凄く多いです。
それから、各雑誌の表紙イラストは1枚だけ大きくしてあとはまとめて小さく並べられてるだけ。
これだけ美麗なイラストの数々なのですべてそれなりのサイズでみたかったのですが…
文章を詰め込むなら大判のイラストをもっと増やしてほしかったです。
Posted by ブクログ
アメリカの広告ポスターや雑誌の表紙イラストを幅広く手掛けた画家、J. C. ライエンデッカーの伝記かつ画集となります。
主に男性を繊細に描くJ. C. ライエンデッカー、それは同性愛者であったことが功を奏したのだと思います。
彼に影響を与えたであろう他画家による作品も載せられ、それもなるほど美しいです。
絵画やイラストは写真に商業的な座を奪われましたが、画家による意図的な誇張等の表現力を今一度捉えなおす必要性を感じました。
写真とは違った力を持つ絵画、この二つは共存できるはずですしJ. C. ライエンデッカーは絵の追求を止めるべきではないことを教えてくれます。
Posted by ブクログ
ライエンデッカーについて活字での記述が多く、小説のようにも楽しめました。
逆に画集と思って買うと文字が多い!となるかも。
華々しい成功の最後はとても悲しいものだったと初めて知りました。
もちろん絵も多く掲載されており、絵を描く人なら買っておいて損はないと思います。電子なら劣化もないしね。