【感想・ネタバレ】中国最凶の呪い 蠱毒のレビュー

あらすじ

呪殺。それは人を呪い殺す呪術の奥義である。そして、蠱毒は人の命を奪う呪術、呪殺の手段の中で、最凶の邪法として畏怖されているのだ。蠱が恐れられているのは単に人の命を奪うからではない。蠱は人を病の苦しみに沈めるのだ。
蠱の呪力に憑かれた人は、何か月も、何年も、病の苦しみに苛まれ、絶望の果てに命を落とすのである。毒針、粘液、強靭な牙、獰猛な食欲を持つおびただしい数の毒虫、爬虫類、小動物を狭い容器に閉じ込め、互いに殺し合い、食い合いをさせる。やがて一匹だけが生き残る。それが蠱だ。
もちろん、このイメージは誤りではない。しかし、蠱を作ることは蠱術の一部であって、全体ではない。蠱はどのような姿をしているのか、蠱をどのように利用するのか。それだけでも、大きな謎である。
しかし、それだけではない。中国史に詳しい人なら、隋代の中国社会を騒がせた猫鬼をご存知だろう。猫は死ぬと鬼になる。その鬼が猫鬼である。蠱師に操られる猫鬼は猫蠱とも呼ばれる。蠱師が操るのは虫から作られる蠱だけではない。毒虫に殺し合いをさせることは、蠱術の必須の要素ではないのである。
古代から現代まで脈々と受け継がれて来た蠱術の謎に肉薄し、知られざる蠱術の謎を白日の下に晒す。それが本書の目的である。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

古代から現代に至るまで、中国で信じられている蠱毒。
漠然としか知らなかったから、細かな違いまで把握出来てよかった。
かの有名な「三角屋敷」で用いられていたのは、金蚕蠱だったんだろうなぁ。

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2022年09月28日

Posted by ブクログ

中国で発展した蠱毒について、網羅的に説明されている。一般に毒虫などを容器の中に沢山詰め、喰い合いをさせて…という手法を蠱毒だとイメージしていたが、押並べて何か呪術的なものを媒介すれば、大体それは蠱毒になる、ということらしい。蠱毒が用いられる具体例などをもう少し掘り下げて読みたかった。

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2021年08月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった。
漢方医の著者が、主に蠱毒に中った事例、症例、蠱毒の作り方、対処法などを古今の文献の中から拾いだし分かりやすくまとめてある。
一般的に蠱毒とは、百種の毒虫等を器に入れて互いに喰わせあい、最後に残った一匹で作ると思っていたが、本場中国では様々なバリエーションがある。
それが日本に伝わった時、安倍晴明等の陰陽師が使った術の他、日本ではその風土にあわせて「憑きもの」として伝承していったのではないか。

中国共産党は宗教や迷信を否定しているが、中国では現代でも蠱を信じている人も多いようだ。
歴史的に中国国民は国家を信用していない、医学書とかで必ず昔の記述を載せてから新しい知見を書き加えるというところ、中国とはそういうものなのか!と改めておもった。

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2021年06月12日

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