あらすじ
著者の藤重先生は、吹奏楽コンクールの全国常連校である精華女子高校を、部員5人の時代から育ててきた高校吹奏楽の名指導者。毎年入れ替わる生徒たちをその都度導いて、全国大会常連校の吹奏楽部を作りあげた。そして2015年に、前年まで吹奏楽コンクールに出ていなかった活水学院に異動、たった1年で全国大会に導くという快挙を達成した。そんな著者が語る、子どもの能力を引き出す教え方の極意。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
久しぶりの五つ星。素晴らしい本だった。
吹奏楽の指導者として輝かしい実績を持つ、藤重佳久氏。
いまは九州一円のイベントに携わったりもしている。
藤重氏の最大の特徴は次の3点。
・試行錯誤する力
・ポジティブな質問力
・生徒に気付かせる力
素晴らしい指導者は、生徒一人ひとりを見る観察力や生徒に合った言葉をかける励ます力など、多くの能力を兼ね備えている。
しかし、私が氏の真骨頂だと思ったのが上記の3点。
本書では詳しく書かれていないが、昔は生徒を叱ることがメインの指導者だったようだ。それでは生徒が育たない。
そこで、勉強し、試行錯誤しながら、いまの独自の指導法にたどり着いた。
本書の中で氏は明確に「我流」であると言っている。
必ず成功する指導法は存在する。氏はそれを持っている。
その証拠に学校が変わっても、実績を出している。
しかし、それはきっと修行の末に会得するような性質のものなのだ。
会得した一部の指導者のみが、名指導者と呼ばれる。
それは言葉ですぐに伝わる性質のものではない。
Posted by ブクログ
文字が少なめなのでするする読める。オケや仕事でも参考になる言葉がたくさんあり、大いに役立ちそう。毎日日誌を自由に書かせるという方法は、仕事で言うなら、日報の「今日の一言」みたいなものかな。業務関連の報告だけでなく、そういう「余白」もないと、人間、息苦しくなる。内容は十分良いのだけれど、本のタイトルは、出版社の販売戦略が見えるように思えてあざとい感じがして、もうちょっとなんとかならなかったものかと思ってしまう。
Posted by ブクログ
テレビでも放送されましたね。全国大会に出場するような学校は、ここまで指導されているのだなと、改めて感心しました。
書かれていることは、特に目新しいことはないように思います。あいさつや返事、受け答えの指導であったり、声の掛け合いであったり、笑顔であったり、どの部活でも実際にやられているものが多いと思います。
ただ、徹底的にやっていることは間違いないようです。どれもここまでやるのかというレベルです。
「わかる」で終わってはいけない。「できる」を目指す
「ほめる」から「気付く」
仲間づくりが音楽づくり
など、小見出しを眺めるだけでも、その徹底ぶりが分かります。
学校の部活でどこまで目指すのか、という問題はありますが、やる以上は上を目指すというのが人間です。本気で目指したい人は、こういう指導者の下につくのが一番ですね。
Posted by ブクログ
なぜかサラッと読めてしまう一冊。目新しい指導法は特に無い。しかし、それをきちんと、一人ひとりをよく見ながら徹底してるところにこの先生の良さがあるんだろうなぁ。
Posted by ブクログ
藤重さんは、学生吹奏楽の指導者として著名な方で、現在は長崎県の活水学院で吹奏楽団の総監督を務めています。
過去には福岡県の精華女子高の吹奏楽部顧問を務め、全日本吹奏楽コンクールで19回出場のうち金賞10回と、全国トップクラスの実績を誇ります。
本書は、その藤重さんの考え方、生徒との接し方、指導法などを、まとめたものです。
とはいえ相手は中高生。毎年入れ替わり、一人ひとり異なり、絶対という方法、正解はありません。
藤重さんは、だからこそ一人ひとりを向き合っていくことが大事と説きます。
テクニックも藤重さんだけが教えるわけではありません。時には刺激を与える意味で外部の音楽家に委ねることもあるそうですが、何よりも大事にしているのは、「生徒同士で教えあうこと」だといいます。
そのメッリトは、「教え教えあう」良い文化が根付き、ノウハウやテクニックが内部に蓄積されることだそうです。
まさに会社でいうところのOJTであり、人や組織が成長する基本は、どの分野でも変わらないのだなと思いまいした。
藤重さんの目指すところは、吹奏楽コンクールでいい成績を収めることだけではありません。吹奏楽の指導を通じ、「社会に役立つ人間を育てる」ということにあるとのことです。
私は高校教諭ではありませんが、「人を育てる」という意味では共通する部分があり、大変参考になった一冊です。
ぜひ読んでみてください。
Posted by ブクログ
技術的なお話よりも、指導者としてのマインドのお話が多く、とても参考になりました。指導者の技能も様々です。少しでも生徒のためになるような指導者になりたいと改めて感じました。
Posted by ブクログ
活水学院の吹奏楽部を指導して全日本吹奏楽コンクールまで必要させた指導法をまとめた本。
本のタイトルは奇跡の指導法となっているが、極めて基本的な指導方法がまとめられている。
魔法のような指導方法はなく愚直に基本的に指導することが大事であることをが改めてわかった。
自分の子供や会社の部下に対してやる気と能力を可能な限り引き出せるよう、粘り強く指導を行っていきたい。
Posted by ブクログ
名門精華女子高等学校の吹奏楽部の顧問を35年間務めた藤重佳久先生の本。
長年ピアノをやってきた身からすると、超強豪校の割に意外と普通の練習をしているのだな、というのが率直な感想だ。普通と言っても毎日100人を超える部員の日誌を読むとか、毎日帰宅後にその日最後の練習の録音を共有して聴くことができるようにするとか、やれば確実に伸びるのはわかっていてもなかなかここまでやれる先生は少ないと思う。
著者も書いているとおり、音楽は楽譜がすべてではない。
もちろん楽譜の指示した音や強弱記号を演奏することは絶対条件であるが、そのうえで細かいニュアンスであったり表情をつけて初めて音楽になる。
本書に書いてある指導法を他校の吹奏楽部が忠実に再現したところで、果たして精華女子や活水学院のようにコンクールで勝ち上がって行くことができるだろうか。
楽譜が音楽のすべてではないように、藤重先生の指導法も言葉にできることがすべてではないのではないか。むしろ、言葉にできない、藤重先生だからこそできる指導こそが強豪吹奏楽部を生んだ理由なのだろう。