【感想・ネタバレ】淵の王(新潮文庫)のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

これはいち舞城ファンの感想なんですけど、舞城作品って物理攻撃に近い気がする。読んでいる間中ずっと、胸倉を掴まれてブンブン引きずり回されてる感じ。この感覚は短編であるほど強いような。
じゃあ「ホラー長編」であるところの本作はどうだったかと言うと、やはり何か恐ろしく強いものに首根っこを押さえられているようで、早い話が途中で読むのを止める事ができませんでした。

影、暗闇、真っ黒坊主――……。
突如現れる黒々とした穴が、主人公たちの日常を侵食する。

主人公?主人公かあ。うーん難しい。
3つのパートは「中島さおり」「堀江果歩」「中村悟堂」という人名を冠してはいるんだけど、それぞれの物語を語るのは名前の人物自身ではなく彼らにぴったりと寄り添う「誰か」で、でもそれは何でも知っている神様みたいな存在って訳でもなくて割と普通の人間っぽくて、だからこそその「誰か」が用いる二人称に愛を感じて切ないのです。
それはさておき、その「誰か」が次のパートにバトンタッチされて行ってるくさいので、やっぱり主人公ということでいいのかな。とにかくこの構造がすごく面白いなーと思いました。

他の作品でも繰り返し扱われる「怖い想像が悪い影響を持つ」っていうテーマも本当に怖い。生理的に怖い。でも読んじゃう。怖いもの見たさって怖いなあ。もう「怖い」しか言ってないけど。

今まで自分の中で舞城王太郎と云えば『煙か土か食い物』が一番好きだったんですけど、そのランキングがちょっと変動するかもしれない。それくらい面白かったです。

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2017年12月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

凄い!
 
舞城王太郎さん。
デビュー作の「煙か土か食い物」で度肝を抜かれたが、そのあとは意味がつかめない作品が多くてご無沙汰してましたが、久しぶりに手に取りました。
 
怖い。というより不気味。
個性的な3人が理不尽に異常な世界に引きずられる物語。
そもそも誰が語っているのか分からない。
二人称かと思ったがそうでもない。守護霊的なもの?

●中島さおり 「私は光の道をあゆまねばならない」18歳の秋に宣言した彼女は友人の危機に……。
 
●堀江果歩 負けず嫌いで努力家の少女はマンガ家を目指して……。
 
●中村悟堂 諦めない。呪いだろうが、怪異だろうが、友人を救い、惚れた女を取り戻すまでは!

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2022年02月12日

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