あらすじ
クリスティーの愛読者も、これから読む読者も楽しめる! 推理作家協会賞&本格ミステリ大賞の2冠に輝いた傑作評論集が待望の文庫化。解説収録/杉江松恋
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Posted by ブクログ
一冊で108回楽しめる本!
(((((コロナ失業で)暇で)ケーブルテレビでBBCのドラマシリーズを観ていて)原作が読みたくなって)本屋に行って見つけた)どのタイトルがどんなストーリーだったかを手っ取り早くかつネタバレなく一覧できる本書の楽しみ方。↓
1〜100
気鋭のミステリー評論家・霜月蒼氏が、早川書房のクリスティ文庫の順番に一冊ずつ読み、読んだ順に解説しているので、作品ごとに自分の読後感と比べたり、これからどの作品を読もうかの計画立案を、ネタバレに怯えることなく楽しむ。
101〜104
幕間として、氏がその時までに読んだ中からベスト10を選んでいるので、その解説を楽しむ。
105
幕間の解説1から4の、氏の変遷を楽しむ。
106
本書への書評を楽しむ。
107
関連書目録及びクリスティ文庫全作品の広告を読んで、さらなる読書計画を立てて楽しむ。
108
奥付を見て驚く!
私信ですが、松原有子さん、お元気ですか?
Posted by ブクログ
アガサ・クリスティーの全作品を改めて読み,ネタバレ無しで各作品を詳細に紹介しているガイドブック。作者自身が「文庫版のあとがき」に,「別冊宝島 刑事コロンボ完全事件ファイル」と「別冊宝島 JAZZ名盤 入門!」の2冊を意識して執筆したと書いている。確かに,刑事コロンボもJAZZも,作品が多数存在し,なかなか手を付けにくい。著者自身が「別冊宝島 刑事コロンボ完全事件ファイル」を読んだあと,1か月足らずで全話コンプリートさせて,DVDボックスまで買った。「別冊宝島 JAZZ名盤 入門!」を読んで読後の1年で150枚のジャズCDを芋づる式に買った。著者自身が同じように「読者にクリスティーを読ませる」ことを目的として書かれた本。そして,そうさせるだけの魅力がある本だと思う。
まず,本の構成が見事。「第一部」は「エルキュール・ポワロ長編作品」,「第二部」は「ミス・マーブル長編作品」,「第三部」は「トミー&タペンス長編作品」,「第四部」は「短編集」,「第五部」は「戯曲」,「第六部」は「ノンシリーズ長編作品」として,それぞれを時系列で書いている。そして,時系列に長編を読み,その都度感想を書くというスタイルでアガサ・クリスティ―の全作品が攻略されている。そのため,著者の中で「アガサ・クリスティ―」という作家の像が徐々に焦点を結んでいく様を見ることができる。これも面白い。
この本を読んで,2019年は,アガサ・クリスティーの作品を改めて何作品か読んでみようと思った。この本がブックガイドとして優れているからだろう。
高校時代に,「Yの悲劇」の次に「そして誰もいなくなった」を読んでから,「ゴルフ場殺人事件」,「アクロイド殺し」,「オリエント急行の殺人」,「三幕の悲劇」,「ABC殺人事件」,「ひらいたトランプ」,「ナイルに死す」,「五匹の子豚」,「葬儀を終えて」,「ハローウィン・パーティ」,「予告殺人」,「火曜クラブ」,「ゼロ時間へ」は読んだ記憶がある。いつか読もうと思って「カーテン」と「スリーピング・マーダー」の2冊は置いておいたつもりだったが,クリスティは十分に読んだと思っていた。しかし,まだまだクリスティのことを知らなかったと痛感した。
とりあえず,「カーテン」を読み,「終わりなき世に生れつく」,「ポケットにライ麦を」,「ハルにして君を離れ」,「白昼の悪魔」,「鏡は横にひび割れて」,「謎のクィン氏」,「死との約束」,「NかMか」と読んでいきたいと思う。
かつて,高校時代に「早川ミステリ・ハンドブック」を読んでから,いろいろと読書ガイド,ガイドブックを読んできたが,最良の1冊だと思う。文句なしの★5で。