あらすじ
【内容紹介】
東京大学教養学部には、通常のゼミナールのほかに学生自治会が主催する自主ゼミがあります。この本は、10年以上も続いている「栴檀(せんだん)ゼミ」の講義録をもとにして生まれました。栴檀ゼミでは、古今東西の名著をみんなで読み、「情のあるリーダー」の考え方、行動の仕方について学びます。
強いリーダーは「知・情・意」を高いレベルであわせもっていなくてはなりません。ただ、いくら知識があっても、意志が強くても、「情」のない人に人はついていきません。「情」とは何かを知ることが、人に信頼されるリーダーになるための第一歩です。学校で「情」については教えてくれませんが、幸いなことに、世の中には「情」を学ぶための材料がいくらでもあります。もっとも効率がよいのが本でしょう。著者の主張がしっかりした本、物語りの輪郭がはっきりした本を中心に選び、「情のあるリーダーだったとしたらこんなときどうするだろう」「情のあるリーダーはこのような考え方に賛同するだろうか」などと考えながら読むことで、「情」が鍛えられます。
栴檀ゼミでは名著を読んで話し合い、より深く考えるための演習をまじえながら「情のあるリーダーシップ」を学んでいます。本書にはゼミで使っている課題図書とその読み方のヒントなどを一人でも学べるようにまとめました。グループでできるエクササイズも入っていますので、読書会を開くのもよいでしょう。
【著者紹介】
大岸良恵 Yoshie Ohgishi
人事コンサルタント、ギャラップ社認定コースリーダー、認定ストレングスコーチ。
東京大学法学部卒業後、ベイン・アンド・カンパニー、W.M.マーサーを経て現職。2007年から、東京大学にて栴檀ゼミ講師を兼任。東大駒場友の会監事。東京都出身。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
リーダーに必要な姿勢や考え方といったことを、たくさんの参考図書を挙げながら説明している本。
とても読みやすくて、参考図書も気になるものばかりでした。買って良かったです。
これからふと何か良い本を読みたくなった時は、参考図書から選んで読もうと思いました。
Posted by ブクログ
・希望のよりどころを、自分のコントロールが及ばない「外」の事柄に預けてはいけない。自分のコントロールの及ぶところに信じる基盤を持ちましょう
・深い関係の友人を一人でも持つことは、その人にとって幸福なことといわねばならない
・勉強も仕事も自分が主体的にオーナーシップを持って納得して行ったときにすばらしい成果を伴います。腹落ちした「情」がリードして、意欲が形成され、知が集積される
・フォロワーの意見を丁寧に聞きながらも、決して一緒になって重箱の隅をつつくのではなく、リーダーは対極的に、まず目的、そしてオプションとそれぞれのプラスマイナスを明確にし、プライオリティやフィージビリティをつけ、フォロワーの眼に見えるようにしていきます。それをみて、フォロワーもまた考え直し、みんなでコンセンサスを作ることができます
・頭がいいといつもほめられている生徒は、気分はよくなるが、同時に失敗を恐れるようになる。成功しなかったら格好悪いと考え、難しい問題への挑戦を避ける。
・逆境や出来事をAとし、自分の結果や行動をCとすると、AとCの間に無意識下に存在する「今この瞬間の思い込み」が存在し、それが自分の行動や結果を生んでいる。Cに移る前に、自分の思い込みを確認してみる
・リーダーが新しい未来を構築する前には、現状の否定、現状を壊すステップがあります。リーダーは抵抗を織り込んでおいて、今は苦しいけれど、この先必ずよくなるという信念を根気よく説得し続けなければなりません。大局的な絵(ビジョン)を描き、コンセンサスを作り上げ、ふぉ路わーが主体的にその未来への道を歩むようにリードすることが求められます
・他人に嫉妬したり、憎しみを抱いたりするのは、自分の弱点の裏返しを他人にみるから
・主観的な思い込みから悲劇は始まる。自ら事実を確認する習慣をつける
・やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人はうごかじ
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず
・部下はリーダーを信頼するがゆえについてくるのだ。だからリーダーは常にチームに信頼関係を築くことを念頭に雨後かなあければならない、そのような信頼は、他人を信頼する無私のリーダーからしか生まれない
Posted by ブクログ
東大のゼミの書籍化。全14回、課題図書を読みそれについて演習を行う形式。斜め読みではもったいない深い内容。
読書好きにはきっと楽しいだろう内容。俗に言うリーダシップの教科書的な本ではなく普通の本からリーダーシップに役立つ事項を学んでいく。
「藪の中」「夜と霧」「愛するということ」「プロフェッショナルの条件」「人間の建設」「木のいのち木のこころ」「人生の王道王道~西郷南洲の教えに学ぶ」「名画を見る目」「オセロー」「アルケミスト」「祖にして野だが卑ではない」「リーダーを目指す人の心得」「星の王子さま」「木を植えた人」
さりげない文の中から筆者が相当数の本を読み込んでいることが伝わってくる。
リーダーシップに限定せず、読書論としても十分に楽しめることだろう。
Posted by ブクログ
東大の名物ゼミの書籍化したもの。リーダーは「知・情・意」のバランスが取れている必要がある。
このうち、「情」については古今の名著を元に身につけることが有効という趣旨。
良い本だった。ここで紹介されていた本を読んでみたいと思う。
以下は一番心に響いた一文。
「「人間というもの」「自分というもの」が本当にわかってくれば、他人の欠点もお互い様として受け止められる。こうなって初めて、他人のことをわかろうとする「情」が生まれてくるのです。」
Posted by ブクログ
人事コンサルタント、マネジメント研修講師である著者が東大教養学部学生自治会主催の栴檀ゼミとして行っている、高いレベルの「知・情・意」をもったリーダーをめざす講義をもとにした本。
課題図書のあらすじ、問い、著者の見解がメインで、名作を踏まえて「情」感を養成していくための認知のあり方などが示される。また、さらに各人のパーソナリティーを分析していくなどのワークも提示されている。
やはり多人数のゼミナールとして異なる見解に接し、ワークすればこその内容であり、自分の場合はただ一人で読んでも、著者の見解が押し付けのようになり、実際のワークにも結びつかなかった。
18-75
Posted by ブクログ
本から学べることは多く、本は自分で経験できないことも疑似体験させてくれる。
知(知識、知恵)、意(意志、意欲)、情がリーダーには必要。
マザーテレサの言葉やジョハリの窓など、結構知っていることが出てきたので、今までいい本を読んでこれていたのかなーと思った。
■人間
人間には、様々な欠点や不完全さがある。
自由であることは責任を伴い、不自由であるとは他人に依存している。(自由からの逃走:エーリッヒフロム)
読むことは人を豊かにし、話し合うことは人を機敏にし、書くことは人を確かなものにする。
■愛
愛するとは一緒に同じ方向を見つめること。
与えることが、愛を生む力。
相手を気に掛ける。これが、相手をかけがえのない存在として遇するということ。
■リーダーシップ
主観的な思い込みを避けること。
「実ほど、頭を垂れる稲穂かな」。自分が成長すればするほど、まだまだだと実感する。
What is my contribution?
頭がいいことをほめるのではなく、頑張ったことをほめる。
■マネージャ
自分も業績を上げ、部下を育成し、チームの業績を上げなくてはいけない。
■プロフェッショナル
ワンダラー・マンの存在。何らかの仕事をやり遂げたとき、やり遂げることに責任を持つのがプロフェッショナル。1$であっても報酬は報酬。プロとしての仕事を果たす。
セルフマネジメントが行えること。
なまけそうになる自分と戦うこと。
読んでいて頭によぎったのは、
塩狩峠(三浦綾子)の、「一粒の麦、地に落ちて死なずば、唯一つにて在らん、もし死なば、多くの実を結ぶべし。」
華麗なる一族(山崎豊子)の、「いや、友人として力及ばなかったことを今、鉄平君に詫びて来ました」
天地明察(沖方丁)の、「頼みましたよ」「頼まれました」
1000冊くらい読んでいても、思いつくのはたった数本の言葉で、こうした言葉が自分を形作っているんだろうな。