【感想・ネタバレ】サイコパスの真実のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

こういった犯罪系の分野にうとい自分にとって、専門分野としても勉強になったし、何より読みやすかった。ミクロな視点とマクロな視点、科学的なエビデンスや哲学的な考察など、色んな角度からの視点が書かれており、何度か読み返したいと思えた一冊。


P231
■マクロな視点から見たサイコパス
病気を克服し生命を守ろうとして医学が進歩したが、超高齢化社会や人口増加に歯止めがかからない。幸福を追求しようとして産業が発展したが、環境破壊や地球温暖化は悪化の一途である。自らの国を守ろうとして多くの兵器を開発したが、地球を破壊するほどの核兵器を保有するに至った。人類はまさに、地球と言う乗り物、知恵と言う毒針で何度も何度も続けるサソリのようである。サイコパスも、鋭い毒針で周囲の人々を刺し続けるサソリである。

しかし、サソリの毒がサソリという種の繁栄のための武器であったのと同じように、また、人間の知恵が、人間という種の繁栄のためには必須の武器であったのと同じように、サイコパスの得もサイコパスの生き残り戦略のためには「適応的な」ものであったのだ。だからこそサソリもサイコパスも、滅びることなく存続し続けている。

■進化論的な意味から見るサイコパスの存在意義
サイコパスのように利己的にしか生きれないものは、他のおとなしい者を出し抜いて生きていくことができる。それは進化論的な意味では、生き残り策としては効果的だったのだろう。そしてそれは、悪意を持ってそうしていると言うよりは、そうするようにできているというだけのことである。

サイコパス特性の全てが「悪」で、人類に会をなすものとは言えない。強いリーダーシップや冷徹な判断力が、我々の生存や進化に役立つこともある。社会には果敢にリスクを取って前進したり、外敵と戦ったりするものも一定以上は必要なのだ。サイコパスがどの社会にも1% 程度はいるということは、それが進化にとって最も適切な割合であるとして神の見えざる手によって配分された結果なのかもしれない。

■現代においてどうしても気ををつけるべきこと
P238
進化論的な意味からはサイコパスの存在には人類にとってそれなりの意味があり1つの個性として共存するしかないことを述べたがしかしやはり、核兵器時代の現代においてはどうしても気をつけなければならないことがある。それはシリアルキラーによる犯罪でも身近な隣人のサイコパスによる迷惑でもなくサイコパスを指導者として選ばないと言うことだ。いかに表面的にカリスマ的魅力があり、響きの良い言葉を操り、強い言葉で感情揺さぶられようとも、その正体を見極める目を養わないといけない。
乱世では革命家として国民から熱狂的な支援を得た指導者が、平和な夜になると独裁者に変貌遂げる事は、洋の東西を問わず珍しいことではない。ヒトラーを選んだドイツ国民はもうほとんどが死に絶えているかもしれないが、この民主的の時代でもサイコパスの弁舌に乗せられて彼らを指導者に選んでしまう国は歴然として存在している

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2022年09月14日

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