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Posted by ブクログ
戦後の一番の問題は、なぜこのような規範に従っているか考えないこと。
日本人が知らずうちに強く信じ込んでいる”日本教”を構造神学から読み解く。日本教には教義(組織神学)が存在しない。古来より天変地異が多かった日本では、歴史感覚に乏しくつねに「今」だけで、その瞬間ごとに生まれる「空気」が教義となる。情緒における美的感覚が即規範化し、「空気」を通してみた事実である”実情”に対して
行動することが正直であるとされる。事実を事実として言うのは嘘つき、事実に対して行動すれば不正直。情緒規範であるため論理は通用せず、人の外面だけでなく内面の規範まで求められることになる。事実に対応する「実体語」を機能させる、「空体語」に対して行動することが規範化される。天皇を「実体語」として尊敬することは意味をなさない。戦前もまた天皇制ではなく、天皇信仰は空気によるものであった。
本書は1981年のものであるが、冒頭で「1980年代というのは、日本の骨組みそのものにガタが来ているのではないか」と予言しており的中している。