【感想・ネタバレ】キンノヒマワリ ピアニスト中村紘子の記憶のレビュー

あらすじ

日本人のピアニスト像を決定づけた中村紘子。華やかに輝き続けたピアノの女王は、2016年7月、惜しまれつつ世を去ったのちも圧倒的存在感を放っている。戦後復興を目指すなか最高峰の音楽教育を受け、高度経済成長、空前のピアノブームなど日本の熱いうねりとパラレルに弧を描く人生。賢く、屹立する覚悟をもち、キュートでお茶目、度胸ある美しいひとだった。その生涯と音楽をたどる。当代きっての音楽家たち、調律師、マネージャー、コンクール界のレジェンドなどゆかりの人々によるオン&オフステージの貴重な証言が集まった。頂点を極めた一人の女性の生きかたは、力強く厳しい、愛に満ちたエールである。 【目次】序/第1章 中村紘子のキャリア確立/第2章 時代の流れとともに特別な存在となっていった中村紘子/第3章 中村紘子の音楽/第4章 ピアノ界を牽引、指導する立場となった中村紘子/第5章 中村紘子が育てた日本のピアノ界と今後/おわりに/あとがき/参考文献

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Posted by ブクログ

思いのほか時間を取られた本。本文に出てくるが、著者と中村紘子との関係が深くはなかったということで、中村本人のインタビュー記事や著書、あえて周辺にいる関係者からの取材で構成されている。確かにニュートラルな立ち位置で、日本で最も有名なピアニストの実像を浮き彫りにしているが、読み進めるには骨の折れる本になってしまった気がする。
しかしながら、著者の意図通り、中村紘子という音楽家のシルエットが、余計なバイアスがかかる事無く見えたような気がする。また、こんな凄い女性を生み出したのは、時代と場所と才能のバランスによるものだとも感じられた。
自分にとって中村紘子は、CMに出演していた有名人の一人であり、旦那が芥川賞作家で、コンサートの出演料が半端ない金額という知識しかなく、人となりなど想像もしていなかった。実際にコンサートも行ったが、クラシック初心者にとって評価云々出来るほどの見識も無く、正直なところ、ステレオタイプの大御所というのが彼女に対するイメージだった。
今更だが、この本で大きく彼女への興味が湧き、やっと大御所の大御所たる由縁がわかった。
この本を読む直前に彼女のCDを手に入れて聴いていたのだが、残念ながら自分の耳にはフィットしなかった。しかし、無理な話だが、今一度彼女の演奏をコンサートホールで聴いてみたいと思った。

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2018年12月03日

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