あらすじ
「うつ」が繰り返し襲ってくる。いつまでも治らない「うつ」。うつ病という診断は、間違っているのではないか。もしかしたら双極性障がいかもしれない。
双極性障がいと診断されるまでに13年を要した著者が自身の体験をもとに、その症状ならびに確定診断されるまでの経緯、具体的な治療、双極性障がいと上手につき合っていくコツ、同じ障がいをもつ当事者へのインタビューをまとめた。本書は双極性障がいのみならず、幅広く精神障がいを抱えている方にお届けするピアサポートブックである。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
凄くリアルかつ繊細に書き記してくれている。
薬というのは症状を完治させるのではなく緩和させるものとして効果を与えてくれる。
こうやって一つ一つのお薬について具体的に実体験を解説を交えて記録してくれているのはネットの記事よりも貴重だ。
上手に向き合うことが大事だ。
Posted by ブクログ
母がこの病気だった。私が生まれた時から入退院を繰り返すほどの症状だったけれど、子供の私はそんな母のことなんてさっぱり分からなかった。ろくに家事もせず寝てばかりで、子供の事にはあまり関心がなく自分だけの世界。突然情緒不安定になったりゲームセンターでお金を使い込んだり。そんな母を軽蔑していたし、母親っていうのはそういうものなんだと、諦めて自分の感情を圧し殺していた。
大人になって、人とコミュニケーションをとるのに何か違和感のある自分がいた。自分ではその違和感の正体が分からずずっともやもやしていたけれど、何気なく母の話をしていた時に、私のもやもやの原因の一部が母の病気にあるんじゃないかと指摘する人がいた。家では母の病気のことを聞くのはNGな雰囲気もあって、ずっと気にしないようにしてきたけれど、自分の生きづらさを解消するヒントになればと思い手に取った。
この本は実際に双極性障がいと付き合っている著者が書いていて、この病気はどんな感じなのか具体的に書かれている。実際にかつての母の行動を思い浮かべてみて、思い当たる節が多々あった。そして、自分にあてはまる事もあった。
一口に双極性障がいといっても症状の程度は人によってまちまちだと書かれていて、私は多分病院に通うほどの症状にはなっていないけれど、少なからず母の影響を受けているんだなと気が付くことが出来た。
母は私が病気のことを理解する前に死んでしまったので、正直わだかまりが残ったままだし、自分に対しても、人とうまく接する事が出来ない自分が恥ずかしいという気持ちや不甲斐なさをすごく感じてしまう。
だけど、そんな自分を許して認めることが出来るのはもう自分だけ。この本を読んで得たものを、自分が前へ進む足がかりにしたい。
Posted by ブクログ
双極性障害Ⅱ型の著者が平易に病気について解説した本。
1.症状(躁、うつ、混合状態、ラピッドサイクラー)
2.著者の病歴
3.治療(受容、薬物療法、心理社会的療法)
4.コツ(注意サイン、医師の選び方、生活で注意すること)
5.当事者インタビュー(男性、女性)
となっている。平易で書かれており分量も多くないことから、最初の1冊としては良い本ではないだろうか?
Posted by ブクログ
あくまで医療専門家ではない当事者の体験談
同意できない点も少なくない(ex.勝手に徹夜、減薬のコントロール)ものの、
双極の書籍自体が少ない状況で、学術書以外の幅を持たせようという出版社の意欲は感じられる。
◆気になった点
?薬物躁転
著者も、よくある、長期の別疾患の診断(うつ病)→抗うつ剤(パキシル等)→薬物躁転
と病状が悪化するサイクルを辿ったという。
よく、都市伝説的に語られる「薬物躁転」は、どれほどの効果があるものなのか?
よい解説に出会っていない。
効果が一生もの(躁うつサイクル発現)だとすれば、双極持ちはうつ病診断からまず入るので、薬物躁転→病状悪化となる確率が高いはずだが、そこまで酷い話ではないような気もする。
?社会復帰って「障がい界隈」だけじゃないだろ
著者は、躁エピソードが?型なみに重い?型のようである。しかもラピッド気味。
なかなか社会復帰は厳しそうだが、いわゆる「障がい界隈」に身を置くことを選択している。
ピアサポート、講演、そして執筆活動(障害年金は言及なし)。
まあ、選択は正しいようにも思える。プロ患者になられた訳です。
引っかかるのは
通常の仕事をしてきた人が、発症→寛解、もとの仕事に復帰。
となるケースがなかなか語られないことだ。
ホワイトカラーを中心に普通にいると思うのだが、そのような興味深い体験談ほど開陳されない。