あらすじ
私の歴史観はなぜ変わったのか?滞日50年、三島由紀夫との交友でも知られる最古参外国人ジャーナリストの瞠目の発言!来日時には「日本=戦争犯罪国家」論、「南京大虐殺」を疑うことなく信じていた著者は、やがてその歴史観を180度転換させる。「日本悪玉論」は有色人種を蔑視した白人優位主義から発した、歴史をあざむく思想である。日本は侵略国家ではない。さらに、南京事件、靖国参拝、従軍慰安婦問題は、すべていわれなき非難だと断じた話題のベストセラー待望の電子化!解説・加瀬英明。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
(2014/4/29)
三島由紀夫と親交があり、自害する直前に手紙まで受け取ったというイギリス人記者の書いた日本論。
目から鱗だ。
恥ずかしながら、なぜ戦中日本が大東亜戦争と呼んでいた戦争を、戦後戦勝国が太平洋戦争と読み替えたか、
その理由を初めて知った。
「大東亜戦争」と呼ぶのははばかられる、軍国化思想、のように言われる向きがあるが、
それはあくまでアメリカの都合だったことがこの本に書かれている。
というより、アメリカの見方で戦前の日本が全面否定されたことが改めてわかる内容となっている。
私も最近は、様々な本を読み進める中で、「戦前の日本は悪い国でした、原爆投下も日本が悪かったのです。
戦後は平和憲法のもとでいい国になりました」的なものの考え方のおかしさがようやくわかってきてはいた。
原爆投下や東京大空襲は明らかにアメリカによる戦争犯罪、市民大虐殺であること、
東京裁判は裁判の名に値しないものであることなどなど。
ただ、深い意味はこの本を読んで初めて理解した。
大東亜戦争。欧米のアジア植民地化に日本が立ち向かって、アジアを解放しようと闘ったのだ。
それが証拠に、(とこの新書は書いているが)日本が戦後東京裁判で裁かれる中、
欧米が再びアジアを植民地化しようとした際に、戦うことを知ったアジア各国は独自で戦い、独立を勝ち取っている、と。
だからあの戦争は大東亜戦争だったのだ。日本とアジアにとって。
しかしそれは欧米にとって都合が悪いので、太平洋戦争と矮小化したのだ。
それを黙って受け入れる日本。
戦後日本は、その戦争観でいくつかのグループに分かれると考える。
①アメリカのポチ。とにかくアメリカに従う。米軍基地もなんでもOK。
②アメリカに押しつけられた憲法(日本が作れなかったからアメリカが提供した、という説を読んだことはあるが)を恥とし、
独自憲法を作り、米軍を排除し、独自の軍隊を持ち、国としての独立を図ろうとする。
③護憲政党。共産社民。それでいてアメリカ的競争社会は嫌う。
おかしなことに、いま日本を牛耳っているのは①で、安倍政権は②になる。
なんだこりゃ。①は官僚組織ということになろうか。政官財マスコミ一体、官報複合体。とにかく戦後体制を維持したい守旧派。
自民党の党是は改憲。②なのか?①におもねっているように見えるのだが、、、。都知事選で若者の表を集めた田母神さんは②か。
③も結局①と同じ土台にいる。今の仕組みと共産党は同じところにいる?
そのあたり考えたのは三島由紀夫自決前の自衛隊とのやり取りが書かれた部分。これも衝撃的だった。
「改憲のデモを自衛隊が排除した」という事実を三島は厳しく非難した。
自衛隊を否定している憲法を護るとは自己否定だと。
このやりとりで自衛隊員からちゃんとした答えが出ないことで、三島は自害した。死を賭して改憲の必要性を訴えた。
アメリカからの独立を訴えたのだ。
そんなことも知らなかった。
・・・いまや現状を前提にしている人が多すぎる。
アメリカの属国でいることに何の違和感も持たない人々。
違和感も持たないまま安倍政権に多数の議席を与える人々。
そのくせ安倍政権が改憲の動きを見せると、親米マスコミはそれを非難し、それにのせられる人々。
いったいこの国はどこに行こうとしているのか。
そういうことを考えさせる新書だ。必見。
第1章 故郷イギリスで見たアメリカ軍の戦車
第2章 日本だけが戦争犯罪国家なのか
第3章 三島由紀夫が死を賭して問うたもの
第4章 橋下市長の記者会見と慰安婦問題
第5章 蒋介石、毛沢東も否定した「南京大虐殺」
第6章 『英霊の聲』とは何だったか
第7章 日本はアジアの希望の光
第8章 私が会ったアジアのリーダーたち
第9章 私の心に残る人々
終 章 日本人は日本を見直そう
Posted by ブクログ
歴史観や認識はある意味相対的なものなので、絶対にこれしか無いというものは無いなと思う。日本が属国化しているのは事実で、国民主権では無いが、今回の選挙は大きなチャンスかもしれない。ここで国民の意思を示すべき。
Posted by ブクログ
元ニューヨーク・タイムス東京支局長の著書。南京虐殺や従軍慰安婦の強制連行を否定する立場に立って、報道の経験や三島由紀夫との交流をベースに、かなり客観的に書かれている。右翼的な主張をする人は概して攻撃的で敬遠してきたが、この本は、その主張にもしっかり根拠があることが分かって参考になった。
Posted by ブクログ
こういう本を書く人が居て、歴史の見方(史観)には視点によって色々な見方があることがよくわかる。事実・史実は一つでも解釈のしかたや史実の裏側にある思惑や狙い、意味合いなど、史実そのものをねじ曲げて宣伝する国があるが、これはやり過ぎ。一方日本は日本としての見方、意味するところをもっと戦略的に発信すべきだろう。
自分もこれまで数々の歴史本を読んできたが、子供の頃から教科書を中心に習ってきた歴史というものが戦勝国史観であったことがよくわかる。数々の見方があり、それを見て自分の考えを創っていくのが勉強だと思うが、日本の教育は一つの史観を教え、設問に対して再生させることを目的にしているようで創造とは程遠い。
Posted by ブクログ
実はスゴい内容です。甘く見ていてご免なさい。
筆者が長期にわたる記者人生を語るものです。
三島由起夫との付き合いのくだりはスリリングですらありました。
ストークス氏を通じて三島本人が語りかけてくるようです。
Posted by ブクログ
日本で海外の報道誌の編集長を歴任した著者による、日本を語った一冊。
若干右よりの感はあるものの、巷のネトウヨの言説と違って、イギリス人から見た日本だから勉強になった。
あと、息子がハリー杉山らしい。
Posted by ブクログ
この作品が扱っている出来事は,とても地理的な範囲が広いとともに,時間軸でも長いものです。それだけ,いろんな見方ができると思います。それについて読んで,知り,考えることは大切だと思って読んでいました。
話題が少し多岐にわたっていて,もう少し詳しく書いて欲しいと思った項目もいくつかありますので,そこは残念です。
Posted by ブクログ
三島由紀夫の精神と安倍政権の関連性で結ぶ本著は、誤認されたかつての日本人を思い出させてくれる。GHQの呪い。外国からのプロパガンダ。これらを拭い、戦後レジームから脱却するには、圧倒的強さを得なければいけない。簡単にはいかない。
本著にも記載があるが、思い出すたびに全ての象徴のような気がして嫌悪感を持つのが、原爆ドーム前の、二度と過ちを繰り返さないという、不思議な言葉。肉を食らう摂理を受容する視座に立てば、戦争は過ちではない。可能な限り避けたい人類の選択肢だ。
Posted by ブクログ
1964年フィナンシャル・タイムズ東京支局長を皮切りに、ザ・タイムズ東京支局長、ニューヨーク・タイムズ東京支局長を歴任した英国人ジャーナリストH.S.ストークス氏が、米国を中心とした連合国戦勝史観によって作られた事実のように語られる日本の伝説について、ひとつひとつ丹念に根拠を示しながら虚構であることを証明している。
本書で丹念にその虚構が指摘されているのは、東京裁判で積み上げられる戦争犯罪国家日本、南京大虐殺、慰安婦、さらに光州事件、金大中...そして、隠蔽され葬り去られている事実の例示としては、ドイツの迫害から逃れシベリア鉄道経由で満州国に入国を求めたユダヤ人2万人を、ドイツ外務省の強固な抗議にも屈せず「当然な人道上の配慮」として受け入れた(元)戦犯東条英機の姿など。
1938年イギリス生まれのストークス氏は、第二次世界大戦中に幼少期を過ごし、アジアの植民地を次々と解放し、大英帝国の崩壊をもたらした日本を憎み育ってきた。しかし、戦後ジャーナリストとして赴任した日本においてジャーナリストとして冷静に物事を見聞きし、さらに証拠を積み上げることによって、世界の大マスコミがいかにいくつかのできごと、もしくはなかったこと(?)を利用し反日宣伝攻作に利用してきたことに気づく。
日本のように戦勝国に隷属はしていないが、戦後パクス・アメリカーナともいわれる世界で、英国がアメリカに従属する立場であった立場が、その判断に影響していたのではないだろうか。
原発事故報道では嘘ばかりついていると大マスコミの報道を批判する人が、同じそのキャンペーンであるその他の報道について、なぜ大マスコミの報道を信じるのか、わけがわからない。
原発事故報道等において、日本外国特派員協会での発表、質疑応答が、日本の記者クラブ報道と食い違うように思えたことは記憶に新しい。しかし、外国記者であってもさらに情報は操作されうるという重要な指摘も、外国人記者クラブの主要なメンバーでもあった筆者は認めている。
さらに、いみじくも著者は前書きでこう述べている。「もう一つ私が声を大にして言いたいのは「南京」にせよ「靖国参拝問題」にせよ「慰安婦」にせよ、現在懸案になっている問題のほとんどは、日本人の側から中国や韓国に嗾けて、問題にしてもらったのが事実だということだ。」
これらの問題についてどう判断し行動するかは、私たち日本人次第であり、今後丹念に真実を証明し、訴え続けていかなければならないのも、私たち日本人である。
どんな非常識であったにせよ、一時的にであっても一国の総理大臣、官房長官がしてしまったこと、言ってしまった事は重い。原発事故対応をみても、国民が背負ってしまう負債の大きさは非常に大きいものであることがわかる。その間違った行為、歴史を正す努力をし続ける必要があると思う。
Posted by ブクログ
第二次世界大戦の位置付け、その後のいわゆる平和、そこの人種戦争やら何やらの要素が絡んでいるのが現在の世界。
日本がやや独特な立ち回りをしたことはおそらく間違いないが、この辺の本を読んでいて一番感じるのは、たかが数十年でこんなに見事に骨抜きになるのかってこと。
それとも根は変わっていないのか。
この先間違いなくなんらかの意味で日本は有事に巻き込まれるわけで、そのとき生き延びられるのか。
東京裁判、慰安婦、日本国憲法等に関する主張は大凡同意。
南京大虐殺も、事実はこっち寄りなんだと思うが、そもそもこの文章自体が著者の書いたのもんではないという情報もあってやや微妙。
三島由紀夫の話も、一部だけだから結局なんだか判らないし、アジアのリーダーも、だからなんだって。本のテーマからすると唐突感があって、締まらない。
金大中がクソ野郎だったってのも目から鱗だが、事実関係があまり示されてない。
Posted by ブクログ
幼少期に見た王者のように振る舞う若い米軍人と戦車へのルサンチマンから書かれたような気のする本。
いわゆる修正主義者の史観をイギリス人が言っているんだけど、なぜそうなるに至ったのかの丁寧な描写は好感。一時期もてはやされていた白洲次郎が尊大であるということでガッカリする。
Posted by ブクログ
50年日本に在住する英国人ジャーナリストが、敗戦国の劣等感を持ち続ける必要はないと日本人を鼓舞し、彼が会った近代の有名人などの印象を記した本。
前半書かれていることは、田中正明の「パール判事の日本無罪論」と同じで、東京裁判の不条理を厳しく追究するもの。白人が有色人種に初めて負けた日露戦争は、西洋世界にとって衝撃だったようで、その悔しさや有色人種への侮蔑が根に残っていると主張している。一方、日露戦争の結果は、アジア各国にとって別の意味で驚きを持って受け止められ、日本がアジアの手本とされるようになったという。欧米で太平洋戦争で日本はアジアを侵略しようとしたと思われているが、著者に言わせると、日本は植民地だったアジア各国を独立に導いたという。
有名人と実際に会った印象も興味深い。著者は三島由紀夫と親交が深かったといわれ、三島への憧憬が行間から読み取れる。他には、シアヌーク殿下についての記述も面白かった。
本書を通して、著者の日本への愛情が感じられる。
Posted by ブクログ
イギリス人である著者が主張する分説得力があるような気がするが、まあそれほど目新しい話ではない。「連合国戦勝史観」の方が「自虐的なんとか」よりは聞こえがよい。自虐的何とかは誰が言い始めたのか知らない。ステレオタイプとしては面白いと思うが、真剣にそれを信じている人がどれくらいいるのだろうか。
友人だったという三島由紀夫のくだりが最も興味深かった。
Posted by ブクログ
戦勝国の歴史観というより、それを声高く断罪する内容。コテコテの保守政治家のような主張にびっくり。ここに記されていることには多くの事実もあるのだろうけれど、希代の表現者である三島由紀夫との親交を通して「大和魂」を培養してしまった模様。僕のヒーローだった白州二郎の強欲ぶりはがっかり。それにしてもGive me gumっていうのは裸足のゲンの世界だと思っていたら、英国でも米軍兵は同じことをしていたなんて、驚き。聞いた話では不足していたストッキングをあげたりして英国女性をかどわかしていたと、英国人はご立腹でした。
Posted by ブクログ
「大東亜戦争(太平洋戦争)は、アジア諸国の西洋植民地からの解放が大義名分だった」と、日本人が言えば「戦争を美化している」、「軍国主義の復活」と誤解・歪曲されてしまうが、戦勝国側のイギリス人が言っていることに意味はあるだろう。
Posted by ブクログ
第2次世界大戦戦勝国が支配する国連。なかでも安保理の常任理事国に日本が加わることは当分のあいだ無いだろう。日本は敗戦国なのだから。しかしながら日本からの主張をもっと行うべきという著者の言葉には勇気づけられる。ただ著者も交友関係からもみられるように政財界の一部の見解に強く影響を受けていて、そのままでは受け入れられない引っ掛かりをかんじてしまう。
ところで、白洲次郎はヤな奴だというくだりには、ああやっぱりなと . . . 。
Posted by ブクログ
三島由紀夫やアジアの指導者達との交流を書いたページの方が多く、タイトルから想像する内容を期待すると少し宛が外れます。
東京裁判で日本を裁く側であった英国人であり、日本を知るまで、連語国の史観を信じていた作者の言葉には説得力があります。
なるべく公平に太平洋戦争を見ようとしても、連合国の史観に縛られている自身に気がつき驚きました。
Posted by ブクログ
著者と三島由紀夫との交流を描いた部分の方が、内容としてはむしろ濃い。
帯にあるような著者の歴史観がなぜ変わったのか、の部分や、題名の連合国戦勝史観の虚妄についてはあっさりとした印象(というよりも著者の中では詳細に述べるまでもない常識か)で、それを期待するとややはずされる。