【感想・ネタバレ】こちら、あたためますか?のレビュー

あらすじ

見知らぬ二人が出会い、心が触れ合った瞬間を、それぞれの立場から描く新感覚ショートストーリー。舞台は郊外にあるコンビニ(ローソン)。さまざまな人たちが行き交うこの店で、毎回一人にスポットライトを当て、日常の中で「小さく気持ちが動く」瞬間を切り取っていくハートフル・オムニバスコミック。登場人物は、同じローソンに立ち寄る客や、この店の店員。店で起きたちょっとした出来事を、それぞれの立場から心情を描いていく。ほんの些細な出来事、ほんの少しの会話、ほんの一瞬の心の交流…が、それぞれの心に灯をともす。各話の中で、ちょこっと見切れていた人物が、次の回では主人公として登場したり、他の回で主人公だった人物が、さりげなく他の回の背景に出ていたり…と、様々な工夫がされた構成も魅力の一つ。主人公となるのは、ローソン店員、彼氏に振られた会社員女性、目標を見失いつつあるフリーター、部活を頑張る女子高生、赤ちゃんを抱えた新米ママ、奥さんを亡くした老人…など様々。最終話では、第1話と第2話で主人公として登場した男女が再登場。

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コンビニを舞台に、日常の一コマをドラマにしたような本作品。
人々のリアルな心情を色濃く描く技術は、さすがは今井大輔といった印象です。

特に第7話「マチカフェ」・第8話「コーヒー」が好きです。
決まった曜日にコーヒーを注文にくるおじいさんと、固定シフトで出勤している就活中のアルバイト店員の2人。注文後、勝手にイートインの席に着くおじいさんのマイルールは、長年連れ添った伴侶との思い出と重ねていたからと分かったときには少しジーンとしました。店員との会話では不愛想な感じなのに、注文の時は「コーヒーを一つお願いします」と敬語で話すところもまた良いです。

たった数ページで描かれる「小さく気持ちが動く」一コマに、心も温められる作品です。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

今井大輔の初期作品。タイトル通り、コンビニ店員の目線から切り取った街の風景の、とても、穏やかでいてそれなのにどこかに鋭さを感じさせる数編。

コンビニの店員という存在は、とても微妙だ。だれもそこで自己実現を成し遂げようとは思っていない。客と、マニュアル通りのやりとりを1日に何百回となく繰り返し、その中で、ふと異なる「なにか」が見えた時あるいは聴こえた時、それとも感じられた時、その瞬間を今井の線画は見事に捉えて描き出す。それはシンプルでいて、これ以上ないくらいに的確だ。

こういう感覚を男性の作家から感じるのは初めてのような気がする。かと言って、今井の作品が女性的だというわけでは全然ない。たぶん彼らの世代はごく自然に、ジェンダーの「らしさ」を飛び越えていけるのかもしれない。

羨ましいこと。

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2020年08月11日

Posted by ブクログ

一編一編は「セツナフリック」同様とても短いのだけれど、誰かの何気ない一言が誰かを救い幸せな気持ちにもさせることが出来るということをしみじみ実感できた。
良い漫画だったなー

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2018年03月04日

Posted by ブクログ

街の片隅のコンビニを舞台に、袖振り合う人々の小さなドラマを描く短編連作。いろんなことがあっていろんな人がいて大変なことも多いけれど、ちょっとした人とのふれ合いで人は前を向ける…そんなことを感じた一冊でした。

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2018年03月03日

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