あらすじ
ある日、ヒースロー空港のバーで、離陸までの時間をつぶしていたテッドは、見知らぬ美女リリーに声をかけられる。彼は酔った勢いで、1週間前に妻のミランダの浮気を知ったことを話し、冗談半分で「妻を殺したい」と漏らす。話を聞いたリリーは、ミランダは殺されて当然と断じ、殺人を正当化する独自の理論を展開してテッドの妻殺害への協力を申し出る。だがふたりの殺人計画が具体化され、決行の日が近づいたとき、予想外の事件が起こり……。男女4人のモノローグで、殺す者と殺される者、追う者と追われる者の攻防が語られる鮮烈な傑作犯罪小説。/解説=三橋曉
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Posted by ブクログ
すごく面白かった!
殺すつもりが殺される。追いつ追われつ、全く予想できないスリリングな展開で、連続ドラマにしたら面白そうだなぁと思った。解説に書いてあった映画化はどうなったんだろう。
主人公のリリーは独自の正義(倫理感)を持っているが、リリー目線で読んでいるとそれほどサイコパス感がないというか、不思議と嫌な感じに見えない。ただし、リリーの殺人の理由はやむにやまれて…というよりは、過剰防衛にも思えるが。
全く知らない地名ばかりだけど、リリーの育った郊外、リリーの通った大学、勤務先の大学、テッドの別荘を建設中のリゾート地、いずれも風景描写が印象的。月が海を照らしていたり、殺人の夜が満天の星空だったり、街に林檎酒の香りが漂っていたり。
ラストのリリーの父からの手紙に驚愕。私は、父はリリーの行動に気づいていると思って驚いたのだが、どうだろう?
Posted by ブクログ
ジャンルとしてはミステリーなのだが、犯人は分かってるのでそういう謎解きを楽しむものではない。
むしろ自分が犯人の立場になって、周辺の人物との攻防でハラハラドキドキ楽しむタイプのものかな。
完璧な殺人、のはずが予想外の事が次々に起こって、先の読めない展開になっていく。
第一部はリリーとテッド、第二部はリリーとミランダ、第三部はリリーとキンボールの独白が交代で進んでいく構成もなかなか面白い。
リリーはいわゆるソシオパス、サイコパス、なのだが、それは人間の価値観・倫理観での基準であって、動物の価値観に当てはめると自分に害をなす者を排除する、というのはごく自然、という記述にするっと納得した。
Posted by ブクログ
面白いやん!
まずこの1人1人の話をわけてるのが分かりやすい。
リリーは結局、大量殺人者?
一気に読めました。
まさかテッドが殺されるとは思わなかった。
そして、スパナでどっちが?とハラハラした。面白い。
最後の父からの手紙で、あちゃー!と思った。↑これによってスカッと終われた。
もしくは完全にリリーが逃げ切れてもスカッと終われたかも。他のアリスとかも読むの楽しみ。
Posted by ブクログ
ずっと気になってた1冊。想像以上にバンバン人が死んで、なんだか読み終わって疲れたかも。でも終始ハラハラドキドキで次に何が起きてしまうのか気になって続きを読んでしまうし、びっくりする仕掛けもあったりして面白かった。
リリーの生い立ちには同情するけど、自分に不利益を与える人間が現れるたびに殺していくのではキリがないよ〜と思いながら読んだ。というか登場人物みんな、わりと簡単に人殺しを決意してしまうから誰にも共感はできなかった!笑
Posted by ブクログ
意外な展開にとても衝撃を受けました。一部でテッド(夫)殺されちゃうんですもん。語り手のひとりなのにそんなことある?って思いました。そして二部ではミランダが語り手のひとりとなり…。ああ、だから『そして』が着くのかと思い至った。最後逃げ切れるかと思いきや森が売られてしまい掘り起こされてしまう(もう掘り起こされてる)という最後の最後にどんでん返し。気を抜けない。面白く読みました。
Posted by ブクログ
「死体から始まらない本は、どうも信用できないんだよ」
ピーター•スワンソン「アリスが語らないことは」の中の一節だが、ミステリー好きには良くわかると思う。死体から始まらない本は、どうにもノレなくて、、、一人目の殺人が起きるまでが冗長気味で、、、そこが今回、星が一つ少ない理由。
三人目の殺人からは、思いもしない怒涛のストーリー展開。
ラストは身勝手な女に相応しい幕切れなのも気に入った。
彼の作品は、読まずにはすませられない面白さだ。
Posted by ブクログ
同作家の「アリスが語らないことは」
を読んでからすぐに読み始めたので
地名や設定など、ところどころ似ていて
ちょっと困惑。
早々にテッドが殺されてびっくり。
リリーは人間的には理解できなかったけれど
つい感情移入してしまいハラハラドキドキ。
うまく逃げおおせたと思いきや
結局最後はつかまるフラグがたってしまった。
「アリス〜」にも書いてあった
シェパードパイを作りたくなった。
面白かった
既出のスワンソン氏邦訳本のなかでは一番楽しめた。
俗な視点から
氏の作品の特徴として感じることは、
1)死人がやたらに多いこと。
2)主人公・サブ主人公の女性が皆、美人でスレンダーもしくはスタイル抜群であること。
(金髪率多し。昭和感のあるステレオタイプの美女。笑)
3)いかなる理由があれ、殺人を犯した者を許さないこと。
(デビュー作「時計仕掛けの恋人」を除く)
今後の作品の翻訳が待たれる。
Posted by ブクログ
空港のバーで出会った女と妻の殺人の計画を立てるという話。
全体的にジメジメしたような雰囲気でどこか不気味な感じがよかった。
ミランダとフェイスが同一人物だと分かった時はかなり驚いた。
終わり方が好き。
Posted by ブクログ
先日読んだ『自由研究に向かない殺人』内で本の紹介を見て読みました。
“空港でたまたま出会った人に妻の浮気を知ったことを話す。奥さんを殺す協力を申し出て…”。気になる物語ですぐ読み終わってしまった。
主人公の目線になりつつも、最終的には罪のある人はそれなりの報いをうけるという結末で後味はスッキリ。(最初に殺された方は微妙ですが)
ウィノナ・ライダーやナンシー・ドルーの登場にちょっと親しみを覚えたりして。(ナンシー・ドルーは子供向けなんですね、知らなかった)
Posted by ブクログ
最初から犯人がわかっている、いわゆる「古畑任三郎」方式の倒叙ミステリー。このジャンルはいつか触れたいと思っていたのですが、たまたま手に取った本書がその方式でした。
タイトルからミランダが殺されることはわかっているものの、第一部の終わり、そして第二部の始まりは衝撃でしたね〜。ただ、予想するストーリーとは尽く異なる方向に進み、最後の最後まで安心できませんでした。最後もね……あれはジ・エンドといっていいでしょう。
犯人がわかっているのに何を楽しむのか最初はわからなかったのですが、なるほど犯人の思考回路はこうなっているのか!と新鮮な感覚でした。
それでも、読み進める中でやはり待ち望まれたのは警察(真相を解き明かすもの)の存在。
リリーの最初の殺人はまだわかるとしても、それ以降については、殺人という一方的な暴力を押し付けたことへの怒りは否定できません。正直、浮気しただけで彼氏を殺すような女がそのへんを出歩いてるの、怖すぎる……(しかもアナフィラキシーショックを使うなんて!)。
解説ではサイコパスへの言及もありましたが、同じルールを共有している前提の社会で、独自のルールを押し付けてくる存在は一市民からしたら恐怖でしかありません。そういう意味では、以前読んだ『ザリガニの鳴くところ』の主人公と似たものを感じました。
そして四人目の語り手として警察が出てきたと思ったら、優秀かもしれないけれど下品な詩を作り、個人的な妄執で尾行を始めちゃうんだから……おいおいリリーはこのまま野放しか?と本当にハラハラしました。
一応の決着はついた形ですが、終盤に両親と仲を深めるシーンがあっただけに胸が痛みます。まあたぶん、リリーは両親が悲しんでもなんとも思わないのでしょうが……。
現代ミステリーはあまり読まないのですが、それは必要以上にシリアルキラーだったり性的な描写が多いからだなぁと改めて感じました。
それが物語を刺激的にするのかもしれないけれど、私はもっと奥ゆかしいミステリーが好きですねぇ。面白さとは別のベクトルで、好みの問題です。
もう一人現代作家で気になっているのが、『ボーン・コレクター』で有名なジェフリー・ディーヴァー。
彼も本当に面白いと有名ですが、(物理的に)痛い描写が多そうで、なかなか勇気が出ずにいます……。むむむ。