あらすじ
─真の健康と安らぎを求める現代人に語りかける名講義・シリーズ全4巻─
本書第3巻は、中世ヨーロッパ最大の賢女と讃えられ、薬草学の祖にして、神秘家、作家、詩人としても知られる修道女ヒルデガルトの『石の本』(『フュシカ(自然学)』収載)を読み解きながら、自然と信仰の調和からなる神秘的な宝石療法の世界を真摯に語る。
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Posted by ブクログ
中世(11世紀)を生きた修道女ヒルデガルトが書き残した、現代で言うなら宝石セラピーについての本を著者が現代語訳しつつ解説を交えた雑誌連載をまとめた物。
この時代に女性では教会の歴史上初、書くことや書いた物を公開することを教皇に許された人であり、ラベンダーなどのハーブの活用法も記した人だそう。
音楽の才能まであったりと多彩。
ウィリアム・ブレイクの詩『汚れなきものの占い』(Auguries of Innocence/無垢の予兆、無知の告知、無心のまえぶれなどの邦訳タイトルがある)が引用されていて、多分中高生の時にこれを知って好きだったな~と懐かしく。
いろいろな宝石の利用方法があるのだけど、唾液でしめらせて鼻の穴に詰めたり耳の穴に詰めたりと、なかなかに…11世紀だものなぁと。
まだギリシア時代に提唱された四体液説が医学で幅をきかせていた時代。
病気になったら医者よりも聖職者頼みにされていた時代。
現代のパワーストーンみたいにアクセサリーとして身につけるというよりは(そういうのもあったけど)、沸かした鉱泉水やお酒にひたしたり、患部をさすったり頭の天辺にのせたりともうちょっと実用道具的に使われていたもよう。
ただ解毒作用とか、てんかんが治るとか、どう考えても無理筋な用法まで書かれているので、試した人から効かなかったよって苦情が来なかったのかなぁと思うのは現代人の思考でしょうか。
いやまぁ、死ななければ効くでしょうみたいな書き方もされているけれど(笑。
清らかで信心深い人間に恵みをもたらすでしょう的な。
宗教が根底にある連想ゲーム的な効能が興味深いかなと思いました。
種村季弘さんのビンゲンのヒルデガルトの世界も気になる。文庫化はしてないのか~。